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病弱な魔法師

作者:普通
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生徒会との接触(前編)

今日の夢は最悪だった。どう最悪だったかと言うと...小さい子二人に殺される夢を見た。その二人とは七草香澄さんと七草泉美さん。

 

あれが本当に夢で良かったと思える。それとあの二人が俺を殺す直前に言った言葉が今でも頭に残っている。

 

 

 

 

        「「(ボク)が君を殺して自分のものにする」

 

 

 

 

 

この言葉を最後に意識が覚醒した。最悪の目覚め。ここまで酷い夢を見たのも久しぶりな気がする。それにまさか知っている人に殺される夢を見るとは思わなかった。

 

僕が知っている七草家の双子の一人は活発系の子でもう一人はとても清楚な感じのある子だったと記憶している。二人ともとてもフレンドリーで初対面の時も僕が楽しそうに見えなかったのか一緒に居てくれたりした。そんな優しい子たちが僕を殺す夢はそれなりに僕にとって精神的にくるものがある。

 

 

まあ、所詮は夢だから気にする事はないけどね。

その後に僕は朝食を食べて制服に着替えて家を出た。

 

 

 

 

 

「八十島家」とは少し特別な家で十師族とも関わりが深い。何で十師族と関わりが深いのかについては長くなるから今回は省くけど色々と事情があったりする。そして話を戻すと関わりが深いという事は一家一家の秘密を知ってたりする。例えば四葉家の家系図だったりね。

 

 

それほどの信頼があるのが「八十島家」。特殊が故に他の家からはこう呼ばれている。「調整者アジャスター」。この呼ばれ方で呼ばれる理由は色々とあったりするけど今日は説明を省くとしよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

考えながら歩いているといつの間にかもう校門の前まで来ていた。

 

「綺羅」

 

 

呼ばれたので後ろを振り返ると後ろに居たのは....渡辺摩利先輩だった。

 

「渡辺先輩。おはようございます」

 

 

「おはよう。それでお前は風紀委員に入らんか?」

 

 

これで何度目か分からない勧誘を僕に聞いてきた。それに唐突すぎる気がする。

 

「何度もお断りしていますよ。僕は委員会に入る気はないと」

 

 

「入ってくれてもいいじゃないか?」

 

 

「嫌です。僕はあまりそういう感じなのは嫌なんですよ。委員会に入ると忙しくなりますしね」

 

 

生徒会に入っても風紀委員に入っても同じことが一つだけある。それは時間を取られてしまう。僕は別にせっかちな人間ではないけど無駄に時間を使うのはあまり好きじゃない。

 

 

それに僕には自由に出来る時間がもう限られているから。学生が終わったら家を継ぐために色々と学ばなきゃならなくなる。そしたら自分の時間なんて無いも同然だ。

 

 

「君を説得するのはとても難しいからな。今回のところは諦める事にするよ」

 

 

「そうしてくれると助かります」

まあ、これで諦めてくれるなら僕はここまで渡辺先輩に苦労する事はなかっただろう。

 

 

 

 

その後は少しだけ話をして別れた。

 

 

 

 

 

 

 

教室に着くと僕は迷わず自分の席に向かうと.....何故か僕の席に誰かが腰を下ろしていた。誰だろうと見てみるとそこに居たのは....あずさだった。

 

見た目は小動物と思われても仕方ないかもなと思うぐらい年の割に成長がなされていない。こんな事を本人の目の前で言ったら怒ってしまうだろうから言うことはないけど。

僕は少し近付いて行くとあずさもどうやら気付いたようで急いで僕の席から離れた。

 

 

「すみませんでした!」

 

 

「いや、全然大丈夫だよ」

 

あずさは何故か今だに僕に萎縮しているようだった。もう一年という長い月日が過ぎたのに………僕はそんなに怖がらせるような事をした覚えはないんだけど。

 

僕は何でだろうと考えながら自分の席に付いた。するとほぼそれと同時に先生が入って来てHRが始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

授業を受けながら昨日の夕歌さんとの電話を思い出していた。夕歌さんは体が不自由で外に出ることをあまりしてこなかった僕のために誘ってくれたんだろう。

 

その気持ちは嬉しいけど夕歌さんは僕と一緒に居すぎる気がする。夕歌さんと出掛けるのは嬉しかったりするけど夕歌さんには夕歌さんの時間がある。僕なんかのために時間をさいている時間なんて本当はないと思う。夕歌さんは津久葉家の次期当主になることは目に見えている。

 

 

 

そうなると当主になるために色々としなくてはならない事があったりする。なのに夕歌さんは僕のために時間をさいてしまっている。いつも断ろうと思ってはいるけど折角、夕歌さんから誘ってもらっているんだからと思って断る事が出来ない。

 

だけどそろそろ本当に断った方が良いのかも.....。

 

 

 

 

 

 

そんな事を頭で考えているといつの間にか授業は終わっていて休み時間に入っていた。

 

「あの.....綺羅くん...」

 

 

今にも消え入りそうな声がどこからか聞こえた。辺りを見回すとそこには..申し訳なさそうにしている、あずさの姿があった。

 

「気付くのが遅くなってすまない。それであずさは僕に何の用かな?」

 

 

「...あの..七草先輩が今日の昼食に生徒会まで連れてきたと言われたのでお誘いに......」

 

 

何でまた生徒会長から呼び出し何て......いくら考えを巡らせても呼び出されるような事をした覚えは全くないんですけど。それに今日の昼は静かに一人で食べたかったんだよな。

 

でも、生徒会長からのお誘いを無碍にしたともなれば「八十島家」の恥になってしまう。だって僕たちは全てに平等に接さなくてはならないのだから。

 

 

「うん。分かった。お昼に生徒会室まで行けば良いんだね?」

 

 

「はい!...良かった......」

 

あずさは僕に断られるのは心配していたのか...僕の返答を聞いて胸をなでおろしている。そんなに僕が断ると思ったのかな。今まで一度も生徒会のお誘いに関して断った事はないはずなんだけどな。

 

 

僕はずっと気になっている事をちょうど良いと思い聞いて見る事にした。

「あずさって僕の事怖いと思ってる?」

 

 

「..................いいえ...そんな事微塵も思ってませんよ....」

 

いや、この反応確実にある時の反応だ。本当に僕の事を怖いと思っている何て思わなかった。

 

 

「どこが怖い?正直な事を言ってくれ」

 

あずさが怖いと思っているところを少しずつ直していかないといけないしな。自分では自分の事はあまり気付けなかったりするから。

 

 

「...怖くはないんです」

 

 

「いや、別に遠慮しなくても良いよ。正直なことを言ってくれた方が僕にとっても嬉しいから」

 

 

「..本当に怖くないんです。でも...綺羅くんとどう接せば良いのか分からなくて....私も他の人と同じみたいに仲良く話したいんですけど..どうやったら良いのか分からなくて....」

 

 

「本当に怖くない?」

 

 

「はい、怖くないです」

 

 

「なら良かった。それに普通に接してくれれば良いよ。別にそんなに悩むほどの事じゃないよ」

 

まさか、どう接すれば良いのか分からないと言われるとは思ってなかった。一年もの間、僕との接し方が分からずに悩んでいたのか。

あずさは真面目すぎるからな。適当に接してくれればいいのに......

 

 

「それじゃ改めてよろしくね!あずさ」

 

 

「はい、よろしくお願いします!綺羅くん」

 


 
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