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八条学園騒動記

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第五百八十四話 何もない様にその二

「それでね」
「いい感じだね」
「まずはね」
「本当に変な人がいたら」
「警戒するしね」
「心配になるから」
 だからだというのだ。
「最初からっていうのは」
「本当に最善だね」
「何もなさそうで」
「実際に何もないなら」
 それならというのだ。
「本当にね」
「最善だね」
「何といっても。ただね」
「ただ?」
「舞台だけれど」
 アロアは舞台を見てネロに話した。
「最初は何もなかったのに」
「それがね」
「もうね」
 今はというのだ。
「整ったわね」
「そうだね」
 ネロもその舞台を見て頷いた。
「無事に」
「最初何もなかったのがここまでなるなんてね」
「それだけで達成感あるね」
「あれよね」
「あれっていうと」
「何でも最初は何もないのよ」
 こうネロに言った。
「それこそね」
「その何もないものがね」
「そう、皆が築いていくのよ」
「それ魯迅が言ってたね」
「中国の作家さんね」
「二十世紀のね」
 この時代でも読まれている作家だ、中国の近代文学の父と言っていい。その作風は時として怪奇とすら言えるだろうか。
「あの人が本で言ってたよ」
「確か故郷だった?」
「うん、その作品でね」
 魯迅の代表作の一つである。
「実際にね」
「道だったわね」
「そう、最初は道がなくても」
「皆が歩いていくとね」
「そこに道が出来るってね」
 その様にというのだ。
「魯迅は言ってたよ」
「それと一緒ね」
「最初は何でもね」
「何もないわね」
「そして何も出来ないけれど」
「やっていったらね」
「次第にね」
 徐々にというのだ。
「出来ていくよ」
「それが世の中ね」
「それで舞台もね」
「皆で作ったわね」
「ここまでね」
「もう今から開幕出来る位に」
「皆頑張ったしね」
 舞台を作るそのことにだ。
「そうなったよ」
「うちのクラス幸いさぼる人いないし」 
 アロアはこのことは笑って話した。
「よかったわね」
「いるよね、こうした時さぼる人」
「そうでしょ」
「他の人に押し付けてね」
「それも偉そうにね」
「自分は何もしない」
「そんな質の悪い人がね」
 アロアはこうまで言った。 
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