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戦国異伝供書

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第百七話 国府台の戦いその一

            第百七話  国府台の戦い
 氏康の読み通り里見家は動きだした、武蔵と下総の境にある城からの狼煙を受けて氏康はすぐに言った。
「ではこれよりじゃ」
「はい、下総の方にですか」
「出陣しますか」
「そうしてですか」
「里見家との戦じゃ、ここで里見家を破り」 
 そしてというのだ。
「今度は下総を当家の領地としてじゃ」
「さらにですな」
 綱成も言ってきた。
「上総にもですな」
「兵を進めたい、そしてじゃ」
「上総も多く手に入れたいものですな」
「そうじゃ、里見家は上総の端に追い詰める」
「安房の方に」
「そうしてやがては降したいが」 
 それでもというのだ。
「まずはな」
「下総から追い出し」
「そして上総の領地をかなり奪ってだ」
「力がない様にしますな」
「そうする、そしてな」 
 氏康はさらに言った。
「常陸の佐竹家にもな」
「対しますな」
「しかし常陸はな」
 この国についてはだ、氏康は綱成にどうかという顔で述べた。
「これといってな」
「攻めるお考えはないですか」
「うむ、佐竹家は強いからな」
 だからだというのだ。
「当家もな」
「攻めませぬか」
「そうしたい、宇都宮家や結城家もであるが」
「攻めず」
「そしてじゃ」
 そのうえでというのだ。
「関東管領になった時にな」
「その権威によってですか」
「従わせる、だからな」
 それでというのだ。
「我等はな」
「そうした家には攻めず」
「そしてじゃ」
「里見家とですか」
「戦う」 
 そうするというのだ。
「これよりな」
「わかり申した」
「ではです」
 今度は幻庵が言ってきた。
「すぐに出陣しましょう」
「それでは」
「はい、では数は」
 軍勢のそれはというと。
「どれだけにしますか」
「二万を考えています」
「二万ですか」
「里見家も多く出してくるでしょうが」
 その兵をだ。
「しかしです」
「二万出せばですな」
「勝てます、当家は今の兵は三万五千程」
 百四十万石でだ、相模と伊豆そして武蔵を合わせて百二十万石に上野と下野の降った国人達でそれだけだ。
「一万五千で、です」
「領地を守り」
「その二万の兵で、です」
「里見家と戦いますな」
「そうしましょう」
「それでは」
 幻庵は氏康のその言葉に頷き述べた。 
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