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おっちょこちょいのかよちゃん

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71 学祭内の捜索劇

 
前書き
《前回》
 休む間もなく唐揚げを揚げ続けていた三河口は奏子と共に休憩する事にする。二人で知り合いの小学生に会いに行こうとしていた所、大学生程の男が現れ、三河口を連れ去った!! 

 
 かよ子達はは食事を楽しんだ。かよ子は焼きそばやたこ焼などを食べた。まる子は食い意地のあまり、チョコバナナやなども食べていた。
「君、よく食べるね・・・」
 北勢田もまる子の大食いに驚いた。
「いやあ、文化祭といえばいろんな美味しい物が食べられる事だからねえ・・・」
「お前、少しは遠慮しろよ・・・」
 大野が突っ込む。
「そうよお、さくらさあん、食いしんぼうなんて女の子らしくないわよお!」
 冬田も大野に追従するように言った。
「はい、はい・・・」
「そうだ、お兄さん、お兄さんたちが売ってる唐揚げと焼き鳥の店を紹介してくれないかい?」
「ああ、いいよ」
 北勢田は皆を自分のクラスの模擬店へ連れて行った。北勢田や三河口が経営する焼き鳥と唐揚げの店は軌道に乗っていた。
「ここがウチの焼き鳥と唐揚げの店だよ」
「うわあ、美味しそう!」
「そうね、皆の分、奢ってあげるわ」
 親たちは子供達に焼き鳥と唐揚げを奢ってあげた。かよ子、たまえ、ブー太郎、杉山、藤木は唐揚げを、まる子、大野、冬田、笹山、長山、小春は焼き鳥を食べた。
「この唐揚げ、美味しいね!」
「焼き鳥もうめえぜ!」
「あれ?そいえば君達は確かウチの妹達と友達になってた子だったよね?」
 生徒の一人が尋ねた。
「え?」
「妹のすみ子って名前なんだけど」
「すみ子・・・。ああ、すみ子ちゃんのお兄さんだね!」
 かよ子は思い出した。
「すみ子ちゃんも来てるの?」
「うん、午前中に友達と来て焼き鳥と唐揚げ食べてったよ」
「ありがとう、会えたらいいな!」
「すみ子ちゃんって?」
 とし子が聞く。
「隣町の小学校の女の子だよ。ちょっとした事があって仲良くなったんだ」
「へえ、会えたらいいね」
 その時だった。一人の女子高生が走って店に来た。
「ねえ、大変よ!」
「あ、お姉さん!」
 笹山が歓喜の声を挙げた。
「え?あ、かず子ちゃん!」
「あ、もしかしてこのお姉さんが笹山さんの知り合いのお姉さんなの?」
「ええ、そうよ」
「結構友達連れて来たのね」
「うん、最初はこの藤木君を誘うつもりだったけど、この学校の生徒と知り合いがいる友達が多くて皆で行く事になったの」
「へえ」
「ところで大変な事って?」
 濃藤が聞く。
「ああ、そうそう、三河口君が知らない男の人に無理やり連れて行かれたの!探してほしいの!」
「え!?」
 かよ子にも衝撃的だった。何しろ隣の家に居候している高校生男子だったのだから。
「三河口って山田んちの隣にいるあの高校生の事だよな!?俺達も探すぜ!」
「分かった、皆で探そう!」
 かよ子達は三河口の捜索を始めた。その時、かよ子の脳裏にある事が浮かんできた。
(もしかして、異世界の敵か、日本赤軍・・・!?)
 かよ子はそんな気がして不安になった。
「そうだ、私、この羽根を使って空から探すわあ!」
 冬田はフローレンスの羽根を取り出して空から探した。
「よし、俺達も手分けして探すぞ!」
 皆動き出す。クラスメイト達も店番・調理をしている者を除き、三河口の捜索をクラスで行った。

 杉山や大野はある事を確認し合う。
「なあ、大野。あの三河口さんが連れて行かれたって事は日本赤軍とか異世界の敵なんだろうか?」
「いや、違うと思うぜ。奴等ならもっと激しい胸騒ぎがするはずなんだが、それがなぜか感じねえんだ」
「って事は違う別の人か!」
 大野と杉山は日本赤軍でも異世界の人間でもない敵と察知した。
(でも前に石松から聞いた話では三河口には能力があるから追っ払えるはずなんだが・・・!!)
 杉山はそう疑いながらも濃藤やブー太郎と共に探し続けた。

 冬田は上空から文化祭内に異常がないか偵察していた。
(そうだわあ、もしいい所を見せたら大野君からあ・・・)
 冬田はもし自分が手柄を立てる事ができたら大野から「やるじゃねえか、冬田!俺、お前が好きになっちまったぜ!」などと言われる所を妄想した。
(や~ん、大野くうん・・・!!)

 かよ子はまる子、たまえ、とし子、そして両親達と共に探していた。そんな時、奈美子に利治と合流した。
「あら、まきちゃん達、どうしたの?」
「あ、奈美子さん大変よ!健ちゃんがなんか男の人に連れ去られたって聞いたから皆で探してるのよ!」
「ええ!?」
(やっぱり・・・)
 奈美子はある事を告白しようと思った。
「あの、その男の人っていうのは、きっと・・・」

 長山の家族も北勢田と共に探す。
「三河口って人は確かあの大雨の日に一緒に敵と戦ってくれたお兄さんの友達だよね?」
「ああ、その通りだよ」
「聞いた話じゃ、結構強い能力(ちから)を持ってるはずなんだけど、それを使わないって事は、相手は異世界の人間でも日本赤軍でもないんじゃないかって思うんだ」
「そうか、となると・・・」
「『あの事』とは関係なく三河口さんに何かの恨みがある人かもしれない」
「よし」

 奏子は藤木、笹山を連れて三河口を捜索する。
「お姉さん、その三河口君ってどんな人?」
「そうね、結構優しいし、唐揚げ揚げるのも上手だし、凄い頑張ってたかな・・・」
「うわあ、もしかしていい男子ね」
(いい男子・・・)
 藤木は自分も笹山にとっていい男子って言われるようになりたいと思った。だが、卑怯な自分じゃ無理かもって少し思っていた。
「ところで今日かず子ちゃんが連れて来た文化祭に行きたいって言ってた子ってその子?」
「うん、藤木君っていうの」
「こ、こんにちは・・・」
「私は徳林奏子。笹山かず子ちゃんの家の近くに住んでるの。ごめんね、こんな事に巻き込んじゃって」
「いえ、いいんです、元々、運悪いし・・・」
「そんな・・・」
(もしかして、この藤木君って子、かず子ちゃんの事好きなのかもね・・・)

 冬田は上空から異変がないか確かめる。その時、人気の立たぬような体育館裏にて一人の高校生男子が別の男性と喧嘩しているような様子が見えた。
(あ、あれだわあ!!大野君に教えなきゃあ!!)
 冬田は今度は大野のいる場所を探した。まず冬田はかよ子達の姿を見る。
「ああ、山田さん達い!見つけたわよお!この羽根に乗ってえ!」
「え!?うん!!」
 かよ子は冬田の羽根に乗せて貰った。そして次に長山達を見つけ、笹山達、そして遂に念願の大野達を見つけた。
「大野くうん!!あのお兄さんがいたわよお!!乗ってえ!!」
「まじか!」
 大野、杉山、濃藤は冬田の羽根に乗った。
「この羽根、凄いわね!」
 笹山は少し興奮していた。
「これね、異世界の人から貰ったのよお!」
 一方、藤木は落とされないかそわそわしていた。かよ子は三河口が心配だった。隣の家のおばさんから三河口と「関係の深い人物」である事を聞いていたからである。

「あ、いた!!」
 濃藤が指を差した。方向は人気のない体育館裏かつゴミ捨て場の近くであった。一人の高校生が大学生くらいの男性に殴られ、蹴られている。暴行されている人物はまさに三河口だった。
「お兄ちゃん!!」
 かよ子は思わず叫んだ。
「なんだ、お前ら?」
 暴行している男が聞く。
「このお兄ちゃんの友達だよ!」
 かよ子はビクビクしながら答えた。
「皆、来たのか・・・」
「ミカワ、大丈夫なのか?」
 濃藤、北勢田、そして奏子がボロボロの三河口を心配する。
「あ、ああ・・・」
「また、テメエはそうやって人に迷惑懸ける!」
 男は三河口を非難した。
「何言ってんだよ、人をこんなに痛めつけて!お前の方が迷惑かけてんじゃねえか!!」
 杉山は相手の男を非難する。
「は、テメエこそ偉そうに!!」
「お前は一体誰なんだよ!?」
 大野が聞く。その時、三河口が立ち上がった。
「こいつは・・・、俺の兄貴・・・、三河口響(みかわぐちひびき)だよ」 
 

 
後書き
次回は・・・
「武装の能力(ちから)
 三河口を暴行する男の正体が彼の兄だと知ったかよ子達は、異世界の道具を使うか迷う。肉弾戦しかないと思い、道具抜きで三河口響と戦おうとする杉山達だが、そんな時、奏子にある能力(ちから)が発動し・・・!! 
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