雨でも散歩して

　　　　　　　　　　　　　　　　雨でも散歩して
　優木家にクロという黒いプードル家が来た、垂れ耳の雄である。名前は一家の娘である彩奈茶色の短い髪の毛と奇麗な大きな目をした小柄な彼女が名付けた。
　ペットショップから家に入ったが家にクロを入れるとだった。母の聖子茶色の髪の毛を後ろで束ね娘と同じ奇麗な大きな目をした彼女が娘に言った。背は一六〇位で普通位のスタイルだが脚が長くてズボンが似合っている。
「これからは毎日ご飯あげるわよ」
「クロにそうするの」
「そう、そしてね」
　そのうえでというのだ。
「お散歩にもね」
「毎日なのね」
「行くわよ、おトイレもさせてあげてね」
　散歩の時にというのだ。
「お注射に連れて行ったり病院にもね」
「行くの」
「人間と同じよ」
　注射や病院のことはというのだ。
「だからね」
「それでなのね」
「クロもそうするからね」
「犬も色々あるのね」
「ああ、狂犬病もあるしな」
　父の哲章も言ってきた、眼鏡をかけて黒髪で細面の優しい顔立ちの中年男性だ。
「蚊も怖いし」
「ワンちゃんも蚊に刺されるの」
「それで大変なことにもなるんだ」
「そうなの」
「だからな」
　その為にというのだ。
「犬もちゃんと注射をさせて」
「病院にもなのね」
「連れて行かないとな」
「お注射や病院はお父さんとお母さんがするけれど」
　難しいことはとだ、母は娘に話した。
「ご飯とお散歩はね彩奈ちゃんがね」
「私がなのね」
「してあげてね」
「毎日なのね」
「どちらも朝と夕方にね、雨でもね」
　それでもというのだ。
「どちらもしてあげてね」
「お散歩もなの」
「そうよ」
　これもというのだ。
「傘をさしてあげてね、クロちゃんには犬用のカッパ着てもらってね」
「お散歩に行くのね」
「いいわね」
「うん、わかったわ」
　彩奈は自分がペットショップで飼おうと言ったので幼いながらも責任感を感じてそうして素直に頷いた。
　そうして毎日クロにご飯をあげてだった。　
　散歩に連れて行った、その中でだ。
　ドッグフードをあげる時母に尋ねた。
「クロはいつもドッグフードとね」
「それがどうかしたの？」
「ワンちゃんは人間のご飯食べないの」
「食べることは出来ても」
　それでもとだ、娘に優しい声で話した。
「犬と人間じゃ身体が違うからね」
「それでなの」
「犬用のご飯の方がいいの」
「ドッグフードの方がなの」
「いいから」
　それでというのだ。
「クロはいつもドッグフードなのよ」
「そうなのね」
「それでね」
　母は娘にさらに話した。