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おぢばにおかえり

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第六十話 朝早くからその十八

「はったおすわよ」
「えっ、叩くんですか?」
「そ、それはしないけれど」
 暴力反対です、それは絶対にしない主義です。
 ですがそれでもです、ついつい立腹して言いました。
「それでも立腹したから」
「今みたいに言われたんですね」
「そうよ、本当に何考えてるのよ」
「何って言われましても」
「全く、いつもそうなんだから」
 このお調子者ぶりに困ります。
「だから私も言ったのよ」
「そうなんですね」
「そうよ、しっかりしなさい」
 お調子者にならずにです。
「そんなのでどうするのよ」
「いや、そう言われますと」
「私には厚かましくて馴れ馴れしいみたいだけれど」
「駄目ですか?」
「何で私にはそうなのよ」
 このことがどうしてもわからないので阿波野君に言い返しました。
「私だけなのよね」
「そうなりますね」
 阿波野君はお饅頭を美味しそうに食べながら私に答えました。
「どうも」
「どうもってね」
「何か先輩と一緒にいると落ち着いて」
 そしてというのです。
「自然とあれこれ言いたくなるんですよ」
「あれこれって何よ」
「ですから先輩の外見のこととか」
「小さいっていうのね」
「小柄な女の人っていいですよね」
 こんなことも言ってきました。
「そうですよね」
「そうかしら、やっぱり背はね」
 私としてはです。 
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