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戦姫絶唱シンフォギア~響き交わる伴装者~

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そして今日も暁は(ifきりしら登場記念)

 
前書き
9月13日の惨劇から11日……。世間は既に闇堕ちグレの話で持ち切り……で・す・がッ!
イベント開催期間が終わらない限り、旬を逃したとは言わせないぜッ!!

って事で、シンフォギア二次SS界隈最速最短で、IFきりしらのNLものを書き上げた錬糖術師のお通りだァッ!!
NLっていうか、キャラ紹介がメインだから付き合ってるかどうかさえ疑問な程度の描写しか入れてないけど、NLだと敢えて言い張るぞ俺はッ!!

それでは、全世界最速のIFきりしらNLもの。どうぞお楽しみください。 

 
アメリカ本国から、小型ボートで数時間の場所に位置する無人島。

ここがアタシ達が暮らす秘密の研究所。

朝の6時、いつもと同じ時間にスリープモードが解除され、アタシの朝はこの研究所の誰よりも早く起きるところから始まるのデスッ!

アタシは、人工知能搭載ヒューマノイド型アンドロイド。暁切歌デスッ!

「さあ、今日も一日、頑張るデスよ~」

誰より早く起きるアタシの仕事はまず、皆の朝ご飯を作る事。
今朝のメニューを検索したら、キッチンに向かって……その途中にある培養槽の前で足を止める。

「おはようデス、()()

培養液の中で眠っている、アタシとそっくり同じ外見をした、髪の長い女の子。

この子の名前は”暁切歌“。
え?どうして同じ名前なのかって?

それは、アタシが造られた理由が、眠り続けるこの子を救う為だったから。

ここで眠り続けている、本物の切歌のスペアボディとして造られたアタシ。
けれども、切歌の意識を移すことは出来ず、アタシには本物の切歌を元にしたAIが搭載されている。

そして、今のアタシは雑用アンドロイドの役割を与えられ、こうしてアタシを造ってくれた皆の為に働いているのデス。

さて、切歌に挨拶もしたデスし、朝ごはんを作らなくっちゃデース!

ff

「ふあぁ……おはよ、切歌ロイド」
「あっ、飛鳥さん!おはようデス!」

朝ご飯が出来上がる頃、研究所で一番早起きの飛鳥さんがやって来る。

「今日の朝ご飯は……目玉焼きにウインナー、野菜サラダとコーンスープ、そしてガーリックトースト。うん、今日も美味しそうだ」
「えへへ~、それほどでもないデスよ~」

アタシの作った朝ご飯を見て微笑むと、飛鳥さんはアタシの頭をヨシヨシと撫でてくれる。
やっぱり飛鳥さんは優しいデス。

大野飛鳥さんは、切歌とは1つ上のお兄さん。
切歌を救うために科学者の道を選んだ、若き秀才。

アタシを造ってくれた人の1人で、とっても優しい人なんデス!

「こんなに美味しそうなんだ。冷めないうちに、あいつを起こしてくるよ」
「よろしく頼むデス」

完成した朝ご飯をテーブルへ運び、飛鳥さんと2人、ねぼすけな2人の部屋へと歩いて行く。

これから起こしに行くのは、切歌にとっても、アタシにとっても大事な人達デス。

飛鳥さんが起こしに行くのは生化学者の弟、流星さん。
飛鳥さんと同じく、切歌を助ける為に生化学の勉強をした秀才さんデス!

飛鳥さんと比べてちょっと無口デスが、アタシの身体がプニプニしているのは、流星さんが発明した人工皮膚のお陰でもあるのデスよ~。

「それじゃあ、切歌ロイド。月読はよろしく」
「モチデース!」

飛鳥さんが向かった部屋のすぐ隣、ここがアタシを造ってくれたあの子のお部屋。

月読調。切歌の事が大好きな子で、切歌にとってとっても大事な人。

アタシはノックをしてから、彼女の部屋へと入った。

「調~、入るデスよ~」

自動扉を抜けると、そこは……………………見渡す限りの汚部屋が広がっていた。

いつもの事なのデスが、調は研究以外の全てを面倒臭がってやらないデスからね……。
昨日からずっとこの状態デスし、これは起こした後でお掃除しなくちゃデス。

「調~、起きるデスよー。もう朝デース!ぐっもーにんデース!」
「ん……むぅ……」

眠たそうに目を擦りながら、黒髪をショートボブにした頭が起き上がる。

「調、起きるデス。おはようデス」
「うっさいなぁ……あと5分……」
「朝ご飯冷めちゃうじゃないデスか。起きてくれないと、部屋も片付けられないデス」
「別にわたしは困らないし……あと勝手に入っへふるはっへ……いってるでしょ……」

欠伸混じりに伸びをする調。
いつも通りだけど、やっぱりエネルギーコアの奥がズキっとするデス……。

調は……いっつもアタシに辛辣デス。
でも、仕方ないよね。アタシは調の切歌じゃない。ニセモノのアタシじゃ、調を喜ばせる事なんかできっこないデス。

それでも、調を支えるのはアタシの役目。
本物の切歌の代わりにはなれなくても、本物の切歌はきっとそれを望んでるデスッ!

だから、今日もアタシはいつもと同じように、調を起こしてあげるのデス。

──っと、その時。

廊下を走る物音、そして自動扉が開いた音がした。

「ちぇ、ちょっと遅かったか……」

入って来たのは、飛鳥さんとそっくりな顔で、でも髪の毛が所々クセっ毛になっている男の人……流星さんデス。

調と同じでちょっとぐうたらな流星さん。今の一言から察するに……。

「残念デスね流星さん。調はもう起きてるデスよ」
「くっ……いや、でもまだ寝起き顔なら──」
「あなたが駆け込んでくる足音で、すっかり目が覚めちゃったんだけど?」
「ダメか……もっと早く起きるんだった」

調は既にベッドを降り、白衣を羽織っていた。
流星さんの顔が目に見えて残念そうな表情になる。

飛鳥さん、また調の寝顔をダシに流星さんを起こしたデスね……。

「馬鹿な事言ってないで、さっさと朝食済ませるよ」
「ああ。また兄さんにドヤされるからね。切歌ロイド、ドクターをよろしく」

そう言って、流星さんは調をの後を追っていく。

普段は流動食と栄養剤、酷い時は食べなくてもいいなんて言ってる調デスが、流星さんが居る時はちゃんと食べてくれるデス。

調本人は、根を詰めてる時の流星さんの真似して、「たまには食べないと口の中が退屈だから」って言ってるデスが、本当は流星さんと一緒に食べる時間が好きだからなのはお見通しデ~ス!

さて、これであとは……



「助手~!起きるデース!朝デスよー!」
「ウェル博士ー!朝です、起きてくださーい!」

飛鳥さんと2人がかりで、ちょっと高めの羽毛布団をひっぺがし、眠りこけている助手を揺さぶる。

「むにゃ……あと5分……」
「ダメです!あなたの5分は合計30分なんですから!」
「早く起きないと……『おい、ダメ助手』」
「ひぃっ!起きてますッ!起きてますから脛はやめてぇッ!」

調の録音した声を流すと、助手はベッドを転げ落ちてようやく目を覚ました。

このナイトキャップを被ったヒョロい銀髪は、ジョン・ウェイン・ウェルキンゲトリクス。
通称、ドクター・ウェル。調や流星さん、飛鳥さんの先生で、ロボット工学の天才らしいのデス。

助手はナイトキャップを脱ぎ、ベッド脇に置いていた四角い眼鏡をかけて立ち上がる。

「まったく、目覚ましに調さんの声を使うなんて……」
「こうでもしないとお昼まで起きてこない助手が悪いデス」
「今度、月読の声が流れる目覚まし時計でも作ります?」
「やめてくださいよ、心臓に悪いッ!」

飛鳥さんがちょっと意地悪な顔で提案し、助手が悲鳴を上げる。

「冗談です」
「君、冗談とか言いつつ本当にやりかねないでしょ?」
「ハハハ、まさかぁ。ほら、朝ご飯出来てますよ」
「スンスン……お、ガーリックのいい匂い」
「冷める前に、さっさと食べるデス」
「そうですね。夜明けのコーヒーと一緒に、美味しくいただきますよ」

助手は伸びをしながら、部屋を後にする。
アタシと飛鳥さんもそれに続き、キッチンへと向かった。

「切歌ロイド、さっきはグッジョブ」

その途中で、飛鳥さんがアタシの方を見て微笑む。

その笑顔を見ると、アタシも嬉しくなっちゃうデス。

「それほどでもないデスよ~」
「でも、僕一人だと博士は中々起きないから。いつも助かってるよ、ありがとう」

飛鳥さんはそう言って、アタシの頭に手を置く。

多分、本物の切歌にするのと同じように。

「あ、あんまり撫でられると困るデスッ!飛鳥さんは、その……本物の切歌の事が……」
「ん?なんだって?」
「デデデッ、デース!?」

そう言って、飛鳥さんはアタシの頭を撫で続ける。

わああああ、な、なんだか全身の回路がオーバーヒートを起こしそうデスッ!?

何度体験しても、この不調の原因は分からないのデスッ!
なんなんデスかこれはぁ!

「あ、あああ飛鳥さんッ!?いつまで撫でてるつもりデスかぁ!?」

アタシが言い終わるか終わらないか。
その絶妙なタイミングで、キッチンの方から流星さんが呼ぶ声がきこえた。

「兄さんまだー?もう食べちゃっていいよねー?」
「流星くん?さりげなく僕のウインナー盗まないでくれますか!?」
「バカ助手、うるさい」

いつも通りの喧騒が、アタシ達を呼んでいる。

飛鳥さんはアタシの頭から手を離すと、キッチンの方へと叫ぶ。

「今行くよ!」

そして飛鳥さんは、あたしの方を見てもう一度笑った。

「それじゃ、行こっか」

もう……飛鳥さん、今度仕返ししてやるデス。

でも、今はまだもうちょっとだけ、いつも通りの朝をメモリーに焼き付けていたいデスね。

「おかわりもあるデスから、沢山食べて欲しいのデース!」



皆の声に囲まれて。大切な人達との思い出を増やしながら。

「「「「「いただきます」」」」」

そして今日も、あの子達の暁はゆっくりと明けていくのデス。 
 

 
後書き
キャラ紹介
大野飛鳥(Another):ウェルの教え子にして、ロボット工学の若き秀才。元F.I.S.の被検体。切歌とは、まるで兄妹のように仲が良かったため、切歌(アンドロイド)の事を誰よりも大事に思っている。“切歌ロイド”という呼称も彼の命名であり、彼にとってもう1人の切歌は「切歌の代わり」などではなく、1人の立派な「家族」である。ちなみに、研究所で唯一ウェルを名前で呼んでいるのも彼である。

大野流星(Another):飛鳥の弟であり、生化学の若き天才。ウェルの専門分野ではない生化学の方面に手を伸ばし、独学でその才を伸ばした天才。調とは被検体時代に知り合い、F.I.S.脱出の際に協力を持ちかけられるほどの仲。切歌(アンドロイド)の事をあくまでもアンドロイドとして割り切っている反面、切歌と同じ姿をした彼女をぞんざいに扱う調には思う所があり、言葉にしないながらも諌める役回り。

この世界の大野兄弟は、両親をノイズ災害で喪ってF.I.S.に引き取られた設定です。
IF飛鳥くんは、IF調が発明したアンドロイド兵とは別に、多目的変形型パワードスーツ「ジャンバード」を開発しているとか。
IF流星くんの専用スーツが「ジャンバード Mark-9」で通称「ジャンナイン」とか、そういう設定があったりなかったり。

目を覚ましたIF切歌とIF飛鳥くん、そして恋に目覚めた切歌ロイドの三角関係とかがあるかもしれない。

短編の番外編で、これから出番が増えたりするかもしれない。
もしかしたらいつかXVまで書ききったら、「伴装者XDU ~LOST SONG編~」とかあるかもしれないし、ないかもしれない……。

まあ、ともかく新たな需要を生み出しつつ、並行世界の伴装者達にもご期待ください!



それからこの度、なんと熊さんの手によりUFZの4人にも立ち絵が出来ました!!


加賀美恭一郎


穂村紅介


大野飛鳥


大野流星

4人とも、いい顔してますねw
これでG編までの時点で登場したうちの子には、全員イラストが付きました!

次は恭みくの告白回ですかね。恭みく推し、参考にしたいので理想のシチュをプリーズ。
それでは、次回もお楽しみに!! 
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