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ドリトル先生と琵琶湖の鯰

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第八幕その八

 鯖素麺もあります、皆その素麺を見て言いました。
「鯖って海だよね」
「海の幸よね」
「それで何で滋賀県にあるのかな」
「ホテルの人がこれも滋賀県の名物って言ってたけれど」
「鯖が獲れる筈ないのに」
「滋賀県だと」
「これは日本海で獲れた鯖なんだ」
 先生はいぶかしむ皆にお話しました。
「これはね」
「というと福井県とかだよね」
「京都だと舞鶴の辺り?」
「そっちの方だね」
「そこで獲れた鯖なんだ」
「そう、そしてね」
 それでというのです。
「その鯖を滋賀県の西を通って京都まで運んでいたんだ」
「そうだったんだ」
「それで滋賀県は鯖も名物なんだ」
「運ぶ道だったから」
「それでなんだ」
「そうなんだ、佐和山の方にも行ったけれど」
 石田三成さんのお城があったその街です。
「まさにあの辺りがね」
「京都まで鯖を運ぶ人が通っていたんだ」
「そうだったんだ」
「昔はそうだったんだ」
「それはまた」
「そう、そしてね」
 先生はさらにお話します。
「鯖以外のお魚も運んでいたんだ」
「日本海の湊から京都まで」
「そうしていたんだ」
「あの道を通って」
「けれど鯖が有名だったから」
 その為にというのです。
「あの道を鯖街道と呼んでいたんだ」
「成程ね」
「面白い名前ね」
「鯖街道なんて」
「本当に」
「京都は海がないから」
 山に囲まれていてです。
「どうしても海の幸がないからね」
「昔はそれであまり食べてなかったんだよね」
「どうしても」
「そこが困ったところで」
「海の幸があまりないことが」
「それでその海の幸を運んでいたんだ」
 その鯖街道を使ってというのです。
「そうしてその鯖を使ってなんだ」
「この鯖素麺が出来たんだ」
「鯖を煮たお汁をだしにしているんだね」
「また濃い味だね」
「かなり美味しいわ」
「そうだね、この味がね」
 本当にとです、先生もその鯖素麺を食べてにこにことして言います。
「いいよね」
「このお魚からだしを取ることがいいよね」
「和食では多いけれど」
「独特のだしが出てね」
「絶品よね」
「そう思うよ、これだけ美味しいから」 
 本当にとです、先生はまた言いました。
「病みつきになるよ」
「食べていてね」
「そうなるよね」
「どうしても」
「全くだよ」
「それと先生」
 ここでチーチーが先生に言ってきました。
「また鯉食べてるね」
「鯉お刺身美味しいよね」
 食いしん坊のガブガブは舌鼓を打っている感じです。 
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