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アレルギーじゃなくて

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第三章

「それもかなりな」
「そうなのね」
「けれど先に行ってしまうからな」
「どうしてもなのね」
「それが辛くてな」
「けれど人間だって他の生きものだってそうだし」 
 妻は夫に生きる者の運命を話した。
「皆この世を去るまでね」
「別れはあるか」
「それが終わる時はね」
「自分が死ぬ時か」
「私達だってそうでしょ」
 妻はこうも言った。
「どちらかがね」
「そうだな、自分が死ぬまでな」
「別れはあるから」
「それは受け入れるしかないな」
「そうでしょ」
「そうだな、じゃあな」
 夫は妻の言葉に頷いて述べた。
「これからはな」
「トミーを堂々と可愛がってくれるわね」
「そうするな」
 こう答えて実際にだった。
 夫はトミーをおおっぴらに可愛がりだした、それこそ家にいる時はいつも一緒だった。そして猫のおもちゃも買って。
 トミーと遊んだ、もうトミーは怯えることはなくトイレも完全に覚えた。その彼と一緒に遊びつつ夫は妻に言った。
「やっぱり猫はいいよな」
「可愛いわね」
「しかも一緒にいたら癒されてな」
 穏やかな笑顔での言葉だった。
「退屈しないしな」
「だからあなたも大好きなのね」
「ああ、トミーずっとここにいろよ」
 おもちゃで遊ぶトミーに笑顔で声をかけた。
「俺も円香ちゃんもいるからな」
「ニャア」
 トミーは俊の言葉に頷く様にして鳴いた、そのうえで。
 暫く遊んでいたがやがてトイレに行ってだった。
 トイレをした、するとまた鳴いた。
「ニャア」
「トイレ始末しろって言ってるな」
「そうね」
 夫婦はその鳴き声と鳴いたトミーを見て話した。
「じゃあ処理しましょう」
「ああ、俺が行くよ」
「あなたがしてくれるの」
「そうすするな、じゃあトミーちゃんとやっておくからな」
 笑顔で言ってそうしてだった。
 夫は猫のトイレの処理をした、妻はその夫を優しい目で見送った。トミーは夫がトイレの処理から戻ると彼の膝の上に乗って喉を鳴らした。


アレルギーじゃなくて   完


                2020・9・21 
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