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戦姫絶唱シンフォギア~響き交わる伴装者~

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未来への誓い(立花響誕生祭2020)

 
前書き
最推しの誕生日だ!祝えッ!

ちなみに時系列は無印とGの間らへん。
砂糖?相変わらず大盛りだよ!読む前に珈琲準備してね! 

 
時刻は夕方。日付は9月の13日。

あの日、俺が彼女と想いを伝えあった公園に、俺達は立っていた。

沈み始めた夕陽はあの日と同じように、世界を一色に染め上げる。

愛する君と同じこの空の色が、俺は好きになっていた。

「響、今日は楽しかったか?」
「うん、すっごく楽しかったよっ!」

満面の笑みで応えてくれる響に、思わず俺の口元にも笑みが零れる。

今日は朝から一日中、響と二人っきりで過ごす事ができた。

二人で映画を見て、響のショッピングに付き合い、ファミレスでハンバーグやパフェをアーンしたり……まあ、とにかく丸一日をかけてデートを満喫した。

夜からは二課の皆や小日向も呼んでのパーティーだ。
だからその前に、俺は響とこの場所にやってきた。

この日のために用意した、あるものをプレゼントする為に……。

「響……プレゼントがあるんだ」
「ほぇ?ここで渡すの?」

てっきり、パーティーの時に渡すものと思っていたのだろう。響が首を傾げる。

「二人っきりの時に渡したくてさ……」
「二人っきり?」

首を傾げたままの響に少し笑みを零しながら、俺はポケットから小さな箱を取り出す。

「それって……もしかして……」
「ああ。女の子は誰しも憧れる、と聞いている。オーダーメイド品だから、世界にたった一つだけだぞ」

向き合う響の目が、大きく見開かれる。

真っ直ぐに響を見つめながら、俺は小箱を開けた。

「ハッピーバースデー、響。君が生まれてきてくれた事、そして君と出会えた事に、最大の感謝を」
「は……はわわ……」

箱の中には、銀色の指輪。真ん中に嵌め込まれた青い宝石を中心に5枚の翼が並び、花弁を形作っている造形……。
まさしく、俺から響へと捧げる愛を形にした指輪だ。

「左手、出してくれるか?」
「う、うん……」

恥ずかしそうに、おずおずと差し出される響の左手。
手を取ると響は一瞬身体を固くするが、すぐにその手を俺に委ねてくれた。

夕陽に照らされていても分かるほどに、響の顔が紅潮していく。

桜色の頬、潤んだ瞳……俺の心臓もまた、早鐘を打っていく。
響もきっと同じはずだ。俺達は今、心の音を共振させている。

「早すぎるかもしれないけど……この気持ちに嘘はない」
「翔くん……」

そして──その薬指に、俺は指輪を嵌めた。

「その宝石はサファイア。宝石言葉は『知恵』と『心の安らぎ』、それから──」
「『固く結ばれた絆』と……『永遠の愛』、だよね?」

おや、先に言われてしまったか……。

「知ってたのか?」
「うん。わたしの誕生石、だよね?前に、未来から教えてもらったんだ。素敵な意味だったから、忘れられなくて……」

そうか……。響はその辺、疎いと思っていたんだが……やはり、歳頃の女子だもんな。
愛とか恋の話は意識しなくても引っかかっているものなんだろう。

「サファイアが『永遠の絆』を意味するのは、その高い硬度が由来だ。俺と響の絆は決して砕けない……。サファイアは、まさにピッタリな宝石だろう?」
「翔くん……」

指輪と、そして俺の顔を交互に見つめる。
ああ、俺の響が最高に可愛い……。

「それに、サファイアは知識や知恵のパワーストーンでもあるからな。響が少しでも勉強出来るように、という御守りでもある」
「へぇ~……って、もう!勉強の事は言わなくてもいいじゃんッ!」

関心の表情が、一瞬で膨れっ面に変わる。
コロコロと表情を変える響の百面相は、見てて飽きない魅力がある。

本当に、出逢えてよかったと心の底から思えるよ。

「ははは、照れ隠しだ……許せ」
「もう、いじわる……。許さないんだから」

そう言って響はそっぽを向いてしまう。

「悪かった、この通り!」

慌てて手を合わせ、頭を下げる。
すると響は、こちらをチラチラと振り返りながら呟いた。

「……許して欲しかったらさ、その……するべき事、あるんじゃない……かな……?」

期待に満ちた目。響が俺だけに向けてくれる、一番好きな表情だ。

そんな顔で見つめられたら……恋人として、応えない訳にはいかないだろ?

「そうだな。じゃあ……」

響の腰に腕を回し、指輪の嵌った左手の指に口付けする。

「ん……指、だけ?」
「だけとは言ってないぞ?」

そして今度は、響の唇へと……。

夕陽の中で、俺は響と口付けを交わした。

「満足してくれたか?」
「えへへ~……でも、どうして指輪を?」
「姉さんに言われたんだよ。キープしておかないのか、ってさ」
「つ、翼さんがそんな事をッ!?」

姉さんが『翔は、立花と結婚するのだろう?』なんて聞いてきた時は、流石に驚いてスポドリ吹いたけど。

他の男に言い寄られて欲しくないし。婚約指輪はいつか渡すつもりだったし。

それに、あの時の告白もほぼプロポーズだったし……。

渡すだけの理由は、とっくに整ってたんだな。

「なあ、響」
「なぁに、翔くん?」
「大学を卒業したら、結婚しような」
「ふぇっ!?」

驚いた顔の響を見つめ、微笑む。

「どうした?もっと後がいいのか?」
「いや、そういう事じゃなくて……その……はうぅ……」
「ははッ、分かってるさ。でも、将来の事は今から決めても早過ぎないだろ?」
「もー、翔くんってばぁ……」

照れ顔の響はやっぱり可愛い。思わず抱きしめたくなる可愛らしさだ。

「響」
「んぅ……今度はなぁに?」

そんな腕の中の響を見つめ、そしてもう一度伝える。

「生きててくれて、ありがとう。これからも……いや、生まれ変わってもずっと一緒だぞ」
「ッ……! う、うん……」

桜色から、リンゴのように真っ赤な色へと変わった響を、思いっきり抱き締める。

「大好きだぞ……響」

何度でも言おう。何度でも伝えよう。

ハッピーバースデー、誕生日おめでとう。






「ほあああああああああああああああああああああああああああああッ!! 翔ひび尊いぃぃぃぃぃッ!!」
「姫須さん、うるさいですよ」

なお、春谷さんの手で撮影されたこの映像が、見守り隊のアーカイブにしっかりと記録されている事は、当人達にはしばらく内緒である。 
 

 
後書き
去年は誕生日をグレ回で祝ったので、今年はちゃんと翔ひびで祝う事が出来て嬉しいです。
来年はもっと皆でワイワイやってる誕生日になるかもw

それではご唱和ください。
響!誕生日おめでとう!! 
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