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おぢばにおかえり

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第六十話 朝早くからその十一

「すぐに来るって」
「そうだけどまさか」
 本当にこう思うしかありませんでした。
「早いわね」
「じゃあいいわね」
「今からよね」
「迎えに行ってきなさい」
「それじゃあね。ただ」
 ここで立ったのは私一人です、それで思わず言いました。
「皆で行かないの?」
「千里だけ行くものよ、こうした時は」
「そうなの?」
「そうしたものよ、じゃあね」
 それならと言ってでした、お母さんは。
 私を玄関まで送り出しました、実際に私一人で玄関に行きました、するとそこにもう阿波野君がいました。
 阿波野君は妙にお洒落をして髪の毛も整えている感じでした、それで私に満面の笑顔で言ってきました。
「先輩おはようございます」
「おはよう」
 阿波野君とは正反対に私は憮然として返しました。
「早いわね」
「急いできました」
「そうなのね」
「いや、先輩と早くお会いしたくて」
「幾ら何でも早過ぎない?」
 私は阿波野君にこうも言いました。
「まだ八時にもなっていないわよ」
「高校はいつも七時五十分じゃないですか」
「その時に集合だからっていうのね」
「それを考えますと普通ですよ」
「それはそうだけれど」
「それに先輩いつもお家だと四時半起きですよね」
「教会はいつも早いのよ」
 宗教施設は全部そうです。
 
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