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曇天に哭く修羅

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第四部
  準決勝第一試合 2

 
前書き
φ(・ω・`) 

 
炎が渦巻く衝撃の絨毯爆撃に(さら)される中、翔は【魔晄極致/サードブレイク】を発動。


「【破魔砕星(バサドーネ)】」


向子に違和感が走る。


「ん?」


向子が【繽紛無垠(ピロテクニマ)】で起こしていた大量の衝撃が全て収まった。

彼女は少し禁鞭を動かす。


(やっぱり(にぶ)いな)


翔が使った破魔砕星は【魔晄(まこう)】に干渉することが出来る【異能】であり、魔晄を用いて戦う魔術師や上位存在にとって天敵の一つ。


「はあっ……危なかった。【深遠玄士(ディークロース)】も使って凌げたとは言え、あのまま衝撃を喰らい続けたら負けてたな」


深遠玄士はあらゆるものへと潜り込み、泳ぐことが出来る翔の【魔晄神氣(セカンドレイク)

しかしそれだけではない。

深遠玄士は周囲のものと同化して、自身の存在を拡張することが出来るのだ。

同化したものから自分の手を大量に生やしたり、内臓を移動させたり、体を液状のようにも変えて攻撃を無効化することも可能。


「今から使う能力で駄目なら【破降(はごう)】を出すしかないだろうな。その前に決着する可能性も有るわけだが」


翔の全てが変質した。


「あれは……もしかして、夢絶叶(カナリン)や狂伯くんの超能力と同類の何かかな?」


向子は翔が放つ特異な雰囲気を出せる能力の知り合いが何人か居る。

そしてそれ等の能力が厄介な性質を抱えていることも彼女は承知していた。


「いや、勘弁してほしいんだけどね。ある意味で破降よりめんどくさいし」


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


「【眠希子(ドーマウス)】」


翔の性格は変わっていない。

なのに何処か刺々しい。


「さて。暫く使わなかったからな。この寝坊助がきちんと力を出せるかどうか」


翔が向子に意識を向けると彼の周りに大量の針が生成されて浮き上がる。


「ああ~……。喰らうと(ろく)なことにならないやつだろうねぇアレは」


向子は【間移転門(アリゲーター)】と【黒死蝶の鎧】を展開し、防御と回避のどちらも出来るように対処する準備を整えた。


「行け。魔弾タスラム」


翔の周囲に浮いていた針が先端を向子の居る方へと向けて一直線に飛来。


(やっぱりか)


どうせ飛び道具だと思っていた。

江神春斗(こうがみはると)》の【舞狂悪魔(エイレナオス)】と【夜天中月(ムーンレイズ)】で既に経験済み。

立華紫闇(たちばなしあん)》以上の近接タイプが遠距離攻撃を使いこなすのは厄介だ。

しかし彼等以上のレベルに居る相手と戦っているので特に慌てることは無い。

向子は【空間接続(アクセション)】を使って飛んできたタスラムを別の場所へ送り、近付いてきたタスラムと衝突させる。


「そう来るのは予想できてたよ。春斗との試合を見てたからな。今はとにかく向子さんの警戒能力を下げておかないと……」


どんな人間でも対処できる事態や警戒できる数には限界が存在しており、その力をどのような配分で割り振っているかで動きは変わっていく。

集団戦なら強い者に注意が行き、弱い者に対しては警戒の度合いが低くなる。

今の向子は飛んでくる針の方へと警戒して翔本人からは少し注意が逸れているようだ。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


衝突した針のタスラムは床に落ちると少し間を置いてから爆発を起こす。

その様子から向子はタスラムがどのような武器なのかをイメージ出来た。


(針のような形状で深く突き刺し、体の内側から爆破して殺すのか)


どれだけの貫通力や他の機能を有しているか解らないが基本はそれだろう。


「クリスちゃんみたく、自動追尾できるかもしれないから考慮しとかないと」


もしそうなら【空間歪曲(グラインド)】で軌道を逸らしたり、【空間移動(テレポート)】で空間を別の場所へ動かしても時間稼ぎにしかならないだろう。


(じゃあこれしかないよね)


制御解除(リベライル)第一解除(アインス)

間移転門(アリゲーター)の制限が解除されて性能が強化され、空間能力も追加された。


空間近寄(アポートス)

空間転送(アスポート)


空間接続(アセクション)と合わせて使うことで、ニードルミサイルのタスラムをどんどん同士討ちさせて爆砕に追い込む。

しかし翔も負けじと眠希子(ドーマウス)によってタスラムを大量生産し、即座に向子へと射出して応戦。

今のところ拮抗していた。

出来る筈が無いのに。

翔は第一解除する前の間移転門とタスラムの撃ち合いで互角だったのだから。


(やっぱあれは【騎士(ナイト)】や【獅勇猛鷲(グリフォン)】と同じで能力者とは独立して『学習』や『成長』、『進化』が可能なタイプの力か)


一つの性能に特化して過剰に進化させ過ぎた場合は自滅してしまうらしい。

しかし進化の度合いを好きな段階でリセット出来る機能が有るので問題ないという。

向子の知り合い曰く、この類いの能力は、弱点を補うようにして、満遍なく全ての性能を上げながら学習・成長させていけば、自分が望むタイプの能力に進化してくれるとのこと。

恐らくだが、翔は眠希子(ドーマウス)を使って戦ったことが殆ど無く、成長や学習が出来ていないのだと思われる。

自分の力で戦う翔らしい。


「進化させたにしちゃあ、出す攻撃がシンプル過ぎるもんねえ。針型のミサイルを大量に飛ばすだけでも雑魚散らしとしちゃあ十分だけど」


もし眠希子の本体である翔自身を成長させているなら話は別なのだが。
 
 

 
後書き
_φ(゚Д゚ ) 
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