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戦国異伝供書

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第百三話 緑から白へその一

         第百三話  緑から白へ
 毛利家の話が終わると明智は感嘆して言った。
「いや、非常にです」
「色々あったとですか」
「思った次第です」
 こう元就に答えた。
「全く以て」
「わしも歳ですが」
 元就は今度は自分の歳の話をした。
「長く生きていますと」
「その様にですか」
「色々あるものかと」
「いえ、それでもです」
 どうかとだ、明智は元就にこう返した。
「まさに波乱万丈、生きるか死ぬかでしたな」
「戦国の世とはいえですか」
「はい」
 まさにというのだ。
「そこまで何かとあったのも凄いかと」
「ううむ、よくぞです」
 信玄も唸って言った。
「生きておられますな」
「ははは、もう何か間違えると」
「そこで、ですか」
「首と胴が離れていました。その緊張もありましたし」
 それでというのだ。
「それがしもよくです」
「生きておられるとですか」
「全くも以て」
 こう言うのだった。
「それがしは」
「そうですか」
「はい、そして」
 それでというのだ。
「もう二度とです」
「その様な生はですか」
「送りたくないですな」
 こう信玄に話した。
「来世では」
「ははは、来世も賑やかはよいですが」 
 政宗が笑って言ってきた。
「確かにですな」
「生きるか死ぬかはですな」
「常にそうは疲れますな」
「ですから来世ではです」
「静かに暮らされたいですか」
「まあ罪をかなり犯したので地獄に落ちるかも知れませぬがな」
「戦での殺生、そしてお家を護る為なら致し方なきこと」
 謙信は元就に毅然として述べた。
「それ故にです」
「それがしのことはですか」
「閻魔王も許されるかと。毛利殿は神仏を深く信じ民を安らかにしまた多くの善行をしてきましたので」
 それ故にというのだ。
「よいかと」
「そうであればいいですが」
「しかしですな」 
 今度は元親が言ってきた。
「毛利殿のお話は」
「これで終わりです」
「左様ですな」
「尼子家を倒したところで」
「その後それがしは無事にです」
 山中が笑って言ってきた。
「上様のお力のお陰で尼子家も再興出来て」
「それで、ですな」
「はい、今は満足しております」
「尼子家の家臣ですな」
「家老にして頂いています」 
 実に嬉しそうに語った。
「これ以上の果報はありませぬ」
「そうですか」
「山中殿ならば」
 ここで言ったのは丹羽だった。
「望まれれば大名にもなれましたが」
「いえ、それがし自身の栄達や富貴は興味がなく」
「大名にもですか」
「なることはなく」
 それでというのだ。 
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