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ドリトル先生と琵琶湖の鯰

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第二幕その七

「信長さんの実像は最近調べられた限りではね」
「以前言われたこととは違っていて」
「お酒も飲まなくて」
「短気でも苛烈でもない」
「そんな人だったのね」
「むしろ気の長い人で信仰心もね」
 ないと言われていたそれもというのです。
「実はあの人なりにあったんだ」
「神も仏も信じないんじゃなかったのね」
「そこも違ったんだ」
「そうも言われていたけれど」
「そうだったんだ」
「お坊さんとお話をしたり安土城の天守閣にあらゆる宗教の絵を入れたりしていたんだ」
 そうもしていたというのです。
「安土城の石垣に墓石やお地蔵さんを入れたけれど」
「それとんでもないって言われてるよね」
「神仏を恐れないって」
「そう言われてるね」
「これも実は霊力を集めてね」
 墓石やお地蔵さんにあるそれをというのです。
「お城の結界にしようって考えていたみたいだよ」
「聞けば聞く程違うね」
「これまで言われていた信長さんとね」
「本当に全然違うね」
「というか甘いもの好きって」
「無茶苦茶合わないよ」
「それが事実でね」
 先生はゼリーを食べながら言いました。
「本当にお酒は駄目だったんだ」
「日本人にはそうした人結構多いけれどね」
「お酒が全く駄目だって人がね」
「それでも信長さんもなのね」
「そうした人だったのね」
「うん、歴史は面白いね」
 先生はこうも言いました。
「そうしたこともわかるから」
「学んでいるとね」
「実際にそうなるからね」
「確かに面白いね」
「日本の歴史も」
「そうだね、滋賀県はその織田信長さんとも縁が深いから」
 それでというのです。
「行くことが楽しみだよ、勿論琵琶湖もね」
「今回行く目的の場所もね」
「行くことが楽しみなのね」
「そうなんだね」
「あの湖の生態系は本当に面白いからね」
 だからだというのです。
「調べられることが楽しみだよ」
「先生の楽しみだらけ」
「今回の旅行もそうね」
「じゃあその琵琶湖に行って」
「全てを満喫するのね」
「学問をね」 
 こう言って先生はまたお茶を飲みました、そうしたお話もしつつ滋賀県へ行く準備を進めていました。ですが。
 田中さんが先生の研究室に来て熱心にあることをお話しました。そのあることは一体何かといいますと。
「出来るだけ多くの種類の生きものを水族館に連れて行きたいですが」
「特にですか」
「はい、あの魚をです」
 何といってもというのです。
「連れて行きたいです」
「それはわかります」
 先生にしてもというお返事でした。
「あのお魚は」
「そうですよね、何といってもです」
「琵琶湖ならですね」
「あのお魚ですから」
 だからだというのです。
「是非にと考えています」
「やはりそうですね」
「これは私だけの意見ではなくです」
「水族館全体で、ですか」
「そう考えていまして」
 それでというのです。 
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