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戦国異伝供書

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第百二話 家臣にしたい者その四

「負けじゃ」
「左様ですな」
「そうなってしまいますな」
「どうしても」
「その時は」
「だからじゃ」
 それ故にというのだ。
「わしもじゃ」
「討たれるおつもりはないですな」
「何があろうともな、武士は死ぬべき時は死ぬものであるが」
 それでもというのだ。
「わかるであろう」
「はい、生きるべき時はです」
「何があっても生きる」
「そうあるべきです」
「名を汚してはならぬが命を粗末にしてはいかん」
 元就は自分のその考えからさらに話した。
「だからじゃ」
「それ故にですな」
「殿もですな」
「ここでは亡くなられませぬな」
「討たれませぬな」
「決してな、この首くれてやる訳にはいかぬ」
 決してというのだ。
「だからじゃ」
「では、ですな」
「ここは守り」
「そしてですな」
「敵が下がるのを待つのじゃ、五百なら戦えるが」
 山中のその軍勢の数を見て言う。
「しかし山中殿と十人衆ではどうじゃ」
「合わせて十四人」
「それではですな」
「とてもですな」
「戦になりませぬな」
「山中殿と十人衆が死ぬ気で突っ込んで来るならともかく」
 それなら別だがというのだ。
「それでもじゃ」
「おそらくその前にですな」
「尼子殿が下がらせますな」
「そうしますな」
「そうする」
 こう言ってであった、それでであった。
 元就は陣の守りを固めさせて山中の軍勢の攻めを寄せ付けなかった、そうして彼が率いる兵達をだった。
 倒していった、山中が率いる兵達は激しい攻めの中で倒れていき。 
 その者が増えてからだ、月山富田城から馬に乗った若い旗本が来て山中に告げるとさしもの山中もだった。
 苦い顔になった、それで元就に言ってきた。
「毛利殿宜しいか」
「何であろうか」
 元就は馬の背から山中に返した、ずっと馬に乗りそこから采配を執っていたのだ。
「一体」
「また再戦を挑みたいが宜しいか」
「そうされたいならそうされよ」 
 元就は毅然として答えた。
「山中殿がそうされたいなら」
「それならでござるか」
「左様」
「それがし尼子家に忠義を尽くす身」
 さからだというのだ。
「何があろうとも尼子家の為に戦い申す」
「それ故にあられるか」
「それがし諦めませぬぞ」
「それがしと戦い」
「尼子家の為に戦い続けまする」 
 ここで毛利家とは言わなかった。
「その為にも」
「そうか、あくまでか」
「そのこと言わせて頂きます、ではまた」
「去られるか」
「主命でござる」
 それでというのだ。
「ここは下がらせて頂きます」
「それでは」
「また会いましょうぞ」
 元就に告げてだった。 
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