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沈んだ家庭から

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第四章

「本当にね」
「そうよね」
「そう、だからね」 
 それでというのだ。
「仕方ないわ」
「そうなの」
「そう、それとね」
「それと?」
「今日来てくれて私もトミも喜んでるからね」 
 だからだとだ、京香は奈美に話した。
「ゆっくりしていってね」
「ええ、じゃあ」
「それでお家は」
「お父さんは働いてお母さんも元気になって」
「明るくなったのね」
「私もね」
「それはよかったわね」
 京香は奈美のその言葉を聞いて微笑んで述べた。
「本当に」
「辛いことって終わるのね」
「そうよ、幾ら辛くても」
 それでもというのだ。
「絶対にね」
「終わって」
「それでまた幸せに暮らせるの」
「そうなのね」
「だからね」
 それでというのだ。
「奈美ちゃんも明るくなれたのよ」
「そのことよくわかったわ」
「それはよかったわ、じゃあこれからね」
「今日はなのね」
「ずっとここにいて。何なら泊まって」
 そうしてというのだ。
「トミと一緒にいてね」
「そうしていいの」
「奈美ちゃんがそうしたいなら」
「それじゃあ」
 奈美はすぐに携帯を取り出してそうして母に連絡をした、それが終わってからあらためて京香に言った。
「泊まっていいって」
「じゃあ今日はね」
「トミと一緒に」
「楽しい時間を過ごしてね」
「そうさせてもらうわね、トミもそうしていい?」
「キャンキャン」 
 トミは嬉しそうに鳴いて応えた、そうしてだった。
 奈美は久しぶりに彼と楽しい時間を過ごした、その顔は眩しいまでに明るい笑顔だった。


沈んだ家庭から   完


                2020・8・25 
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