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オズのケーキ

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第十一幕その九

「ケーキも作って」
「おお、ケーキかい」
 ケーキト聞いてです、カエルマンはその目をにこりとさせました。この人もケーキが大好物なのです。
「それは楽しみだよ」
「それにです」
「それに?」
「苦手ですけれど」
 こう前置きしてお話するのでした。
「奇麗な和菓子も」
「お抹茶と一緒に食べる」
「ああした和菓子も作りました」
「そうなんだね、ではね」
「そちらも宜しければ」
「あの、ケーキさん本当に和菓子苦手なんですか?」
 ナターシャはここで村でよくケーキと一緒にいるカエルマンに尋ねました。
「奇麗な和菓子が」
「いやいや、それはケーキ嬢の謙遜だよ」
 カエルマンは右の人差し指を立ててナターシャにお話しました。
「実は彼女はそうした和菓子もね」
「得意なんですね」
「とても美味しいものを作ってくれるよ」
「それで何故苦手なんて」
「得意苦手ということは主観なのだよ」
 カエルマンはナターシャだけでなく他の子達にもお話しました。
「実はね」
「主観ですか」
「他の人から見てよく出来ていると思ってもね」
「それでもですか」
「自分が苦手と思っていたらだよ」
 それでというのです。
「苦手になるのだよ」
「そういうものですか」
「だからね」
「ケーキさんは奇麗な和菓子はですか」
「苦手と言っているのだよ」
「そうなんですね」
「得意苦手は主観なのだよ」
 自分自身がどう思うかというのです。
「自分が思うことと人が思うことは違うのだからね」
「このことは何でもですよね」
「そう、本当にね」
 実際にと言うのです。
「私にしてもだよ」
「ご自身が苦手と思われていても」
「他の人から見ればね」
「そうしたことがですね」
「普通にあるからね」
「そうなんですか」
「私はバタフライが苦手だけれど」
 この泳ぎ方がというのです。
「そうなんだけれどね」
「他の人が見るとですか」
「他の泳ぎ方と同じくね」
「得意とですか」
「思われているんだよ」
 こうナターシャそして他の四人の子達にお話しました。
「これがね」
「カエルマンさん泳ぎ凄くお上手ですよ」
「どの泳ぎ方も」
「立派ですよ」
「速いし幾らでも泳げて」
「フォームも奇麗ですし」
「皆はそう言ってくれるけれどね」
 それでもというのです。
「私自身としてはね」
「バタフライは苦手ですか」
「そう思われていますか」
「他の人がどう思っても」
「そうなのですね」
「ご自身では」
「そうだよ、そしてね」
 それでというのです。 
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