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水と油だったのが

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第四章

 寮のところで犬郎を連れて父を待つひとみのところにだった。
 アハトも来た、ひとみは彼女にすぐに問うた。
「先輩もかよ」
「ええ、一緒にいていいかしら」
「犬引き渡すだけだけれどな、けれどな」
 それでもとだ、ひとみはアハトに眉を曇らせつつも話した。
「先輩には色々助けてもらってきたしな」
「犬郎のことで」
「だからな」
 それでというのだ。
「じゃあな」
「ええ、いさせてね」
「そうしてくれよ」 
 こうアハトに言った、そしてだった。
 大柄で筋肉質で腹がやや出ているひとみの父に犬郎を差し出した、するとアハトは雄犬である彼に言った。
「栃木でも元気でね」
「ワンッ」
「あたしも時々でも帰るしな」
 ひとみもニッと笑って犬郎に言う。
「その時は宜しくな」
「ワンワン」
 犬郎はひとみにも挨拶をした、そうして彼女の父に連れられて栃木に向かった。
 それからひとみはアハトと会うとだった。
 実家から携帯やそのメールで聞く犬郎のことそして犬のことを話す様になった、アハトもいつも微笑んで応え。
 二人は何時しかかなり仲良くなっていた、それでひとみは友人達に言った。
「最初は馬が合わないって思っていたけれどな」
「違ってたわね」
「あんた先輩と仲いいわね」
「そうなったわね」
「ああ、よくお話するとな」
 これがというのだ。
「悪い人じゃないしな」
「相性もいい」
「そうなのね」
「その実は」
「ああ、いい感じだな。だから今日もな」
 ひとみは明るい笑顔で言った。
「先輩と何かとお話するよ」
「ワンちゃんのことを」
「そうするのね」
「他のこともな、そうしていくよ」
 明るい笑顔での言葉だった、こう言って実際にこの日もアハトと話した。彼女もアハトもその時心から笑顔になっていた。


水と油だったのが   完


                  2020・8・23
 
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