夢幻水滸伝
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第百四十五話 勝ち取ったものその四
「空蝉の術からや」
「こう来るとはやな」
「思わんかった、しかもな」
「しかも?」
「やられたわ」
見ればメルヴィルの腹に手裏剣が突き刺さっている、彼の神具の一つである三光手裏剣がその腹に深々と突き刺さっている。
その状況からだ、彼は言うのだった。
「勝負ありや」
「あの煙玉の直後いや同時にか」
「手裏剣も投げてた、煙玉のすぐ後ろにあったんや」
その手裏剣がというのだ。
「そやったんや」
「そうやったか」
「煙玉があったさかい」
それでというのだ。
「手裏剣が見えんかった
「若し煙玉やなかったら」
「防げたけどな」
「そや、そこまで考えてや」
煙が消えてきた、それと共に芥川の姿が出て来た。彼は狐と合流しその背中に戻ってからメルヴィルに話した。
「僕も仕掛けたんや」
「そういうことか」
「あんじょういったな」
「ああ、もうわしは闘えん」
死んではいない、だが腹に刺さった手裏剣が最後に一撃となり戦闘可能な体力を残していない。それでこう言ったのだ。
「残念やけどな」
「そやな」
「全く、煙玉だけやないとはな」
「飛んでくるもんは一つ、一種類とは限らん」
芥川は笑って述べた。
「そういうことや」
「わかってるつもりやったが」
「空蝉の術だけやとあかんと思ってな」
「それでか」
「煙玉も使ったが」
「そこに合わせてか」
「手裏剣も投げてた、ここで同時に決め手も出してへんとな」
ここでは手裏剣、神具である三光手裏剣がそれであることは言うまでもない。
「煙玉で視界遮ってもあかんと思ってた」
「同時に放ってたか」
「そやった、それが効いたな」
「確かにな、やられたわ」
メルヴィルは素直に自信の敗北を認める言葉も出した。
「ほんまにな」
「よし、ほな後は中里か」
今度は彼のことを話した。
「あいつもそろそろやな」
「決めてくれるか」
「そうしてくれるわ」
狐にも話した、そうして彼は自軍のところに戻りそうして自身の勝利を述べた。
中里とトウェインも闘っていた、だが。
その中でだ、中里は鵺に話した。
「もうな」
「限界やな」
「そや、それでや」
「もう、やな」
「決めんとな」
そうしなければというのだ。
「負けるわ、しかしな」
「相手は強い」
「正直予想通りの強さやけどな」
それでもというのだ。
「下手したらこっちが負ける」
「ほんまにそやな」
「六将星は伊達やないな」
自分と同じ格の者だけはあるとだ、中里はトウェインがミョッルニルを投げそれをかわしてから述べた。ミョッルニルは彼の手に戻っている。
「ほんまに」
「そのことやな」
「そや、ただな」
「ただ?」
「僕も負ける訳にはいかん」
「そやな、ほなな」
「ほんま決めるで」
今言った通りにというのだ。
「ええな」
「ああ、その決め方はな」
「僕に任せてくれるか」
「考えがあるんやろ」
「ないと言わんわ」
最初からとだ、中里は鵺に返した。
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