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レーヴァティン

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第百六十六話 全て整いその四

「出来る限りな」
「そうするわね」
「戦を長くする趣味はない」
 英雄は強い声で言った。
「速く終わるに越したことはない」
「あんな面倒なことないしね」 
 桜子は笑って言った。
「本当に」
「犠牲は出て手間もかかってな」
「お金もかかるからね」
「あんなもの好きな奴はだ」
 それこそというのだ。
「特別に儲ける奴かだ」
「おかしな考えの奴だね」
「どちらかだ」
 英雄ははっきりと言い切った。
「金をかけるならだ」
「戦よりも他のことに使いたいね」
「そうだ」
 まさにというのだ。
「後で返って来る方にな」
「戦は出るだけだからね」
「返っては来ない」
 英雄はこのことも言い切った。
「そうした意味でもだ」
「するものじゃないわね」
「そうだ、俺達の世界でもな」
「出来るだけしないに限るわね」
「仕方ない場合もあるが」
 それでもというのだ。
「出来る限りはな」
「しないことで」
「今回も兵は進めるが」
 そして戦は行うがというのだ。
「しかしだ」
「国人達そして大名もよね」
「使者を送ってだ」
 戦の前にそうしてというのだ。
「組み込んでいく」
「それが第一だね」
「そしてだ」
 そのうえでというのだ。
「戦をせずにな」
「組み込んでいくね」
「無闇に戦をして相手を倒し潰していく」
 このやり方についてはだった、英雄は忌々し気に言った。
「それは戦をする者の考えではない」
「そしてですね」
 謙二も言ってきた。
「商売をする者の考えでもないですね」
「そして正しい教えの者でもな」
「ないです、御仏の教えは」
 謙二は僧侶として英雄に答えた。
「戦は避けるものです」
「そうだな」
「これはイスラムでも同じですね」
「この世界でもあるな」
「その様ですね」
「今は海の魔神に沈められているが」
 世界が石に変えられて海の中にある、それでは宗教も同じだ。信じている者達がそうなっているのだから。
「しかしだ」
「それでもある様ですね」
「その様だな」
「そしてそのイスラムでもです」
「実はな」
「侵略を好んでいません」
 そうだというのだ。
「コーランにも書かれています」
「必要なら戦うがな」
「しかしあの教えもです」
「戦よりも話し合いだ」
「はい、対立や不和を煽り喜び戦を好む教えは」
「碌なものであるものか」
 英雄は吐き捨てる様に言った。 
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