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ドリトル先生の野球

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第七幕その一

                第七幕  ドラフトを前にして
 ドラフトの日が近付いてきました、すると動物の皆は研究室で講義を終えてその講義を振り返った後で論文を書きはじめた先生に尋ねました。
「いよいよだね」
「ドラフトだね」
「ドラフトの日が近付いてるね」
「そうなってきたわね」
「そうだね、どうもね」 
 先生は皆に応えました。
「彼はプロからも注目されるよ」
「八条リーグからも注目されていて」
「日本プロ野球機構の方からもだね」
「そっちからも注目されているんだね」
「そうなんだね」
「うん、そしてね」
 先生は皆にさらにお話します、その間も論文を書く手は止まっていません。
「阪神だけれど」
「そうそう、あのチームだよ」
「阪神があの人をどう見ているか」
「注目してくれているか」
「そのことが問題よ」
「何といっても」
「そう、だからね」
 それでというのです。
「僕は気になっているんだ」
「そうだよね」
「阪神があの人のことを見ていてくれているか」
「そしてドラフトで指名してくれるか」
「そのことがね」
「気になるね」
「そうだよ、本当にね」
 まさにと言う先生でした。
「僕は今そのことが心配なんだ」
「阪神が指名してくれるか」
「それで他の球団が指名しないか」
「そのことがだね」
「気になって仕方ないのね」
「心からね、特にね」
 先生はこうも言いました。
「巨人が指名したらって思うと」
「嫌だよね」
「やっぱり巨人にいい選手は入って欲しくないわ」
「巨人はずっと弱いままでないとね」
「そうであって欲しいよ」
「日本のプロ野球はずっと歪だったよ」 
 正しい状況ではなかったというのです。
「巨人ばかり優勝して注目されてやりたい放題やっている」
「オーナーは北朝鮮の将軍様みたいだったし」
「独裁者そのもので」
「球界を私物化さえしていた」
「そんな風だったのね」
「巨人が弱いと野球の人気が落ちるとかも言われていたし」
 先生は昭和の頃に言われていた言葉を出しました。
「景気が悪くなるともね」
「全然そうじゃないのに」
「おかしな理論ね」
「荒唐無稽っていうか」
「奇妙な理屈だよ」
「本当にね」
「そう、そうした歪な時代に戻ったらいけないよ」
 先生は穏やかですが真面目なお顔でお話しました。
「二度とね」
「そうだよね」
「そうなったらいけないよ」
「野球は巨人だけしかないとかね」
「そんな間違った風潮が正されたんだから」
「絶対に戻ったらいけないわ」
「巨人はもうずっと弱くて無力で人気がない」
 先生は言いました。
「そしていい選手もいないしフロントも力がない」
「ずっとそんなままでいるべきね」
「もう二度と巨人は強くなってはいけない」
「これからずっと最下位であるべきね」
「巨人が存在している限り」
「そうだよ、巨人は本当にね」
 まさにというのです。 
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