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レーヴァティン

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第百六十五話 視察その九

「止まりません」
「あっさりとした味でな」
「お醤油にもごまだれにも合っていて」
「生姜やミョウガにも合う」
「色々な味付けに合うこともあって」
「食べはじめるとな」
 言いつつも食べている。
「止まらないな」
「全くですね」
「そして酒にも合う」
 今度は飲んでから言った。
「だから俺は湯豆腐も好きだ」
「そうですね」
「だから多く作らせてな」
 そしてというのだ。
「天下で多く食ってもらう」
「美味だからこそ」
「そういうことだ、それとだ」
 英雄はおろした生姜と細かく刻んだミョウガと大葉を入れた醤油を上からかけた湯豆腐を食べつつさらに言った。
「この豆腐は摂津のものか」
「はい」
 今度は謙二が答えた。
「そちらの産です」
「そうか、美味いな」
「お豆腐も国によって違いますね」
「水が違うとな」
「豆の味も変わりますし」
 原材料のそれにというのだ。
「そしてお豆腐はお水を多く使います」
「ならだな」
「お水の質がです」
 まさにそれがというのだ。
「大きく関係します」
「摂津の水はいいからな」
「ですから」
 それ故にというのだ。
「お豆腐もです」
「美味いな」
「左様です」
「だからだな、水が悪いと」
 それならとだ、英雄も述べた。
「お米の味にも影響し」
「豆腐にもだな」
「そうなります」
「そういえばだ」
 英雄は今はぽん酢で醤油を食べつつ言った。
「西の浮島の水はこちらの浮島よりな」
「悪かったですね」
「そうだった」
 その時のことを言うのだった。
「それで生水はな」
「あまりですね」
「飲まなかった、生では味がだ」
 水のそれがというのだ。
「今一つでな」
「お料理にもですね」
「影響していた」
「左様でしたね」
「しかしこの浮島ではな」
「お水がいいですね」
「全体的にな、特に近畿はな」
 摂津も入ることは言うまでもない。
「水がよくてな」
「お豆腐の味もですね」
「いいな」
「起きた世界のことですが」 
 紅葉も言ってきた、勿論彼女も湯豆腐を食べている。全員この料理を止まることなく食べ続けている。
「南禅寺の湯豆腐が」
「あの寺のか」
「一度家族で食べに行きまして」
 それでというのだ。
「素晴らしい味でしたが」
「高いな」
「お豆腐の質も最高でしたが」
 それでもというのだ。 
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