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X Dimensions SoldierS Re: Xros Rays

作者:ラフェル
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第1章 邂逅編
  第1話 新暦世界の戦乙女達

『新暦世界』

その世界は一見平和な世界に見えるが、過去に未知の力を持つ『聖遺物』と『ロストロギア』による超常的脅威で地球は疎か次元世界さえ揺るがすような大きな事件が起きたことがあった。

新暦2034年に『PT(プレシア・テスタロッサ)事件』と『闇の書事件』……

新暦2036年に『PM(フィル・マクスウェル)事件』……

新暦2043年に『ルナ・アタック』と『フロンティア事変』……

新暦2034年〜2043年の間に起きた上記の事件は、『高町なのは』・『フェイト・T(テスタロッサ)・ハラオウン』・『八神はやて』を始めとした『魔導師』達と、『立花響』・『風鳴翼』・『雪音クリス』を始めとした『シンフォギア装者』達の活躍により解決され、新暦世界の脅威の1つであった『ノイズ』もフロンティア事変の際に『ソロモンの杖』で『バビロニアの宝物庫』を閉じたことで出現しなくなったのだ。

フロンティア事変より数ヶ月が経った新暦2044年、シンフォギア装者達が所属している『特異災害対策機動部二課』は国連の直轄下にて超常災害対策機動部タスクフォース『S.O.N.G』として再編成され、時空管理局からなのは・フェイト、はやてを始めとした計7名の魔導師もS.O.N.Gに派遣された。

響やなのは達は救助活動や聖遺物・ロストロギア回収の任務をこなしながらも平和な日々を過ごし、誰もがこんな日々が続くのだと思っていた……しかし、新暦世界に生きる者達に刻まれた相互理解を阻む呪いーー『バラルの呪詛』による影響なのか、新たな脅威ーー錬金術師『キャロル・マールス・ディーンハイム』と、彼女に付き従う4体の『自動人形(オートスコアラー)』達が彼女達の前に立ちはだかる。

圧倒的な力を持つキャロルと自動人形達、そして解剖機関による分解効果を持つ新たなノイズーー『アルカ・ノイズ』の前に、シンフォギア装者達は一時ギアを破壊されてしまうが、キャロル達の元から逃げ出して来たホムンクルス『エルフナイン』の助力によりギアが修復及び強化され、響・翼・クリスの3人は新たに得た魔剣ダインスレイフによる『イグナイトモジュール』で、なのはやフェイト達の援護を受けながらキャロルを撃破した。

S.O.N.Gはキャロルを倒したことで暫しの平穏を得るが、『レイア・ダラーヒム』、『ガリィ・トゥーマーン』、『ミカ・ジャウカーン』、『ファラ・スユーフ』……4体のオートスコアラー達がまだ残っている限り脅威が完全に消えた訳ではなかった。

S.O.N.G、そしてシンフォギア装者と魔導師の戦乙女達はオートスコアラー達との再戦に向け、次なる行動に移っていた……
















響「うおおおおっ!!」

なのは「はああああっ!!」


明るめな橙色の短髪をした『ガングニール』の装者である少女――立花響は拳撃を繰り出し、対する長い茶髪の髪をサイドテールにした魔導師の女性ーー高町なのはは愛機である杖状のインテリジェントデバイス『レイジングハート』を近接戦闘形態の『エストレア』にして受け止める。

響やなのは達シンフォギア装者&魔導師組はオートスコアラー達との再戦に向けての強化合宿として合宿地へと来ていた。

はやての家族である守護騎士『ヴォルケンリッター』の1人である『八神シャマル』が予め用意してくれた魔法訓練用の空間にて、現在はシンフォギア装者7名と魔導師7名によるシンフォギア装者VS魔導師による模擬戦をしており、響となのはのようにそれぞれ1vs1の形で戦っていた。

響が拳や蹴りによる肉弾戦を仕掛けて来るのに対し、なのははレイジングハートと独立浮遊シールド『CWX-ディフェンサー』で響の攻撃を捌きつつ……


レイジングハート《フォーミュラカノン!!》

なのは「シュート!!」


レイジングハートを砲撃形態の『ストリーマ』に切り替えて魔力砲を響に向けて放つ。


響「うわぁっ!?」


響はその砲撃を何とか紙一重で回避した。


響「うへえ〜……流石はなのはさん、一筋縄じゃ行かないですね」

なのは「にゃはは、ありがとう♪ 響ちゃんも前より拳が重くなったし、動きも良い感じだよ♪」

響「ありがとうございます! だけど、まだまだこれからですよ!♪」

なのは「うん、そうだね♪ さあ、かかっておいで!」

響「行きます!」


響となのはは再び激突する。

2人以外の面々も激しい戦闘を繰り広げていた。


フェイト・翼『はあああああっ!!』


長い金髪の先端を黒いリボンでまとめている魔導師の女性ーーフェイト・T・ハラオウンが長剣形態『ブリッツセイバー』にした愛機のインテリジェントデバイス『バルディッシュ』から剣戟を放つのに対し、長い青髪を髪飾りでサイドテールにした『天羽々斬』の装者である女性ーー風鳴翼もアームドギアである日本刀で剣戟を放ち、フェイトと翼は互いに剣戟の応酬を繰り広げて行く。


フェイト「そこ!」

バルディッシュ《ジェットセイバー!!》


フェイトがブリッツセイバー形態のバルディッシュから電気を帯びた斬撃を飛ばすのに対し……


翼「させるか!」

《蒼ノ一閃》


翼は大剣に変形させたアームドギアから蒼い斬撃を飛ばすと、2つの斬撃は中央で激突して相殺される。


バルディッシュ《プラズマランサー、セット!》

フェイト「ホーネットジャベリン! ファイア!!」


フェイトはバルディッシュを砲戦形態の『ホーネットジャベリン』に変形させ、周囲に展開した槍状の魔力弾と共に電気を帯びた魔力砲を放つ。


翼「ならば、こちらも!」

《千ノ落涙》


対する翼も空間から大量の剣を具現化し、上空から落下させて迫り来る魔力弾を相殺し、フェイトの砲撃は素早い動きで回避した。


フェイト「はあああっ!!」

翼「せいやああっ!!」


フェイトと翼は再び接近して斬り結んで行く。

他のところでは……


クリス「おらああああッ!!」

《BILLION MAIDEN》


ふんわりとした長い銀髪を後ろで細長く二つに分けた『イチイバル』の装者である少女ーー雪音クリスがアームドギアを4門の3連ガトリング砲に変形させ、ガトリング砲からの一斉掃射を対戦相手に向けて放つ。

そんなクリスの模擬戦の相手である魔導師は……


?「ハロ! お願い!」
 
ハロ《ラウンドシールド、展開! ラウンドシールド、展開!》


少しウェーブがかかった長いピンクの髪に、翡翠色の瞳を持つ女性ーー『フェルト・G(グレイス)・ハラオウン』が左腕に装着している愛機で、先端部に砲身のようなものがあり、まるで天使の羽を思わせるかのような形状をした翡翠色の弓矢型のインテリジェントデバイス『フォトンアーチャー』のAIユニットである『ハロ』に指示を出し、魔法陣を使用した円形の盾を作り出すシールドタイプの防御魔法ーー『ラウンドシールド』を展開してクリスの一斉掃射を防御する。

フェルトは4年前異世界からこの世界にやって来た『次元漂流者』で、訳あって元の世界に帰る場所が無い彼女はフェイトの義母である『リンディ・ハラオウン』の養子……フェイトの義妹となった。

そして、魔力の源である『リンカーコア』と次元漂流時にインテリジェントデバイスであるフォトンアーチャーを持っていたことから魔導師としての道を歩み、ルナ・アタックやフロンティア事変と言う二度の死線を潜り抜けたことにより、今では空戦A+ランクの魔導師へと成長していた。

そんなフェルトのバリアジャケットは翡翠色のラインが入った黒のインナーに、上着である裾の長いピンク色の半袖ジャッケット、ピンク色のスカート、黒のニーソックスとブーツ、両手に翡翠色のクリスタルが付いた黒いグローブを身に付け、左腕の方には翡翠色の大型シールドが固定されている形で、腰部には矢筒のようなコンテナがそれぞれ装備されていた。

フェルトは両足のブーツから天使の羽のような魔力で生成した翡翠色の翼を展開し、空を飛翔していた。


クリス「ちっ! なら、こいつはどうだ!?」

《MEGA DETH PARTY》


クリスは次に腰部アーマーから小型ミサイルを一斉に発射し……


クリス「こいつもおまけだ!!」

《QUEEN's INFERNO》


さらにはアームドギアを連装型の弓に変形させ、矢を連射する。

発射されたミサイルとクリスのアームドギアから放たれた矢がフェルトに向かって行くの対し……


フェルト「それなら! エンジェルフェザー!!」


フェルトは中距離射撃戦用形態の『フェザーモード』となっているフォトンアーチャーから魔力で生成した光翼を展開し、先端部の砲身と光翼から敵を追尾する誘導弾を連射してクリスのミサイルと矢を相殺していく。

さらに……


フェルト「ハロ! シールドビット!」

ハロ《シールドビット、展開! シールドビット、展開!》


フェルトは左腕のシールドを分離、そして複数の誘導兵装『シールドビット』として射出し、AIのハロの制御で飛翔するシールドビットはクリスに向けて全方位からの魔力弾を発射する。


クリス「ちっ! 群雀がしゃらくせえ!」


対するクリスはアームドギアを2挺のクロスボウに変形させ、全方位からの魔力弾を回避しながら、シールドビットを撃ち落とそうとクロスボウから光の矢を放つ。

そんな中、シールドビットを相手にしているクリスの隙をつくかのように、フェルトはフォトンアーチャーを長距離射撃・砲撃戦用形態の『アーチェリーモード』に変形させ、魔力で生成した光輝く矢を番えて構え……


フェルト「狙い撃つ!」

ハロ《スナイプフォトン!!》

クリス「うおっと! 危ねえ……」


狙い撃つかのように光の矢をクリスに向けて放つ。

擦りはしたものの、クリスは何とかフェルトの狙撃を回避し、冷や汗をかいていた。

クリスは再び火力と銃火器の多さを利用して攻め、対するフェルトはフォトンアーチャーをフェザーモードに切り替え、誘導弾を放ちながら迎撃するのだった。

次の対戦カードはと言うと……


?「はああああっ!!」

《EMPRESS†REBELLION》


猫耳のようなヘアースタイルをした長いピンクの髪の女性ーー『マリア・カデンツァヴナ・イヴ』が、亡き妹ーー『セレナ・カデンツァヴナ・イヴ』の形見である白銀のギアーー『アガートラーム』のアームドギアである短剣を蛇腹剣に変化させて対戦相手に向けて放つ。

マリアはフロンティア事変の際、武装組織『フィーネ』の装者としてかつて響達特異災害対策機動部二課と敵対していたが紆余曲折を経て和解し、今はS.O.N.Gのエージェント兼アガートラームの装者として活動している。

そんなマリアの模擬戦の相手である魔導師は……


?《フォトンウィップ!!》

?「はああっ!!」


セミロングの長さがある薄菫色の髪に赤い瞳を持つ女性ーー『アニュー・ランスター』が右手に持つ赤色と水色のカラーリングを基調とし、銃身がブレードのような形をした銃型のインテリジェントデバイス『フォトンリターナー』を近接戦闘形態の『レイピアモード』に変形させ、銃口から展開した鞭状の魔力刃でマリアの蛇腹剣と化したアームドギアの斬撃を弾く。

アニューはミッドチルダ出身で、幼い頃に両親が死別しており、4つ歳上の兄ーー『ティーダ・ランスター』と、4つ歳下の妹ーー『ティアナ・ランスター 』と支え合いながら生きてきた。

両親が生きていた時から既に時空管理局に入隊し、魔導師兼執務官の道を歩んでいた兄のティーダとは違い、アニューはまだ幼かった妹のティアナを放って置けなかった為、長いこと時空管理局の訓練校への入校を見送っていた。

だが、兄のティーダがある秘密結社についての調査で地球を訪れた際、秘密結社の構成員との戦闘で重症を負い、何とか生還して生活できるまでには回復したものの、医師からまだ静養が必要と診断され、暫く執務官の仕事を休まないといけなくなった。

そのことがきっかけで、アニューはティーダの進言もあってティアナの面倒を兄に任せ、4年前に時空管理局の訓練校へ入校。

その際同じタイミングで魔導師の道を歩み始め、同じ訓練校に入校したフェルトと同期になり、共に訓練に励む内に親しくなったことがきっかけで、訓練校卒業後はフェルトと共に特異災害対策機動部二課へ派遣され、ルナ・アタックやフロンティア事変と言う二度の死線を潜り抜けたことにより、今では空戦A+ランクの魔導師へと成長していた。

アニューのバリアジャケットはフェルトのと同じデザインで、水色のラインが入った黒のインナーに、上着である裾の長い赤色の半袖ジャッケット、水色のスカート、黒のニーソックスとブーツ、両手に赤色のクリスタルが付いた黒いグローブを身に付け、左腕の方には水色の鋭利なブレードのような武器が固定されている形で装備されていた。


マリア「はあああっ!!」

アニュー「ええいっ!!」


マリアとアニューはそれぞれアームドギアと魔力刃の打ち合いの連続をある程度繰り返した後、アニューがマリアから距離を取ると……


フォトンリターナー《ガンナーモード! クロスファイア、セット!!》

アニュー「クロスファイア……シュート!!」


アニューはフォトンリターナーを基本形態かつ中距離射撃戦用形態の『ガンナーモード』に変形させ、周囲に形成した複数の赤色の魔力弾とフォトンリターナーによる一斉砲火をマリアに向けて放つ。


マリア「これしきの攻撃で!」


対するマリアはアームドギアを短剣に戻し、迫り来る魔力弾を弾き、斬り裂きながら素早い動きで回避して行く。


マリア「今度はこちらの番よ!」

《INFINITE†CRIME》


マリアは左腕の篭手から引き抜いた複数の短剣を周辺に展開し、アニューに向けて射出した。


アニュー「それなら! 行きなさい、ファング!」


対するアニューは自身の左腕に装備しているブレードを分離、そして複数の誘導兵装『ファング』として射出し、先端から魔力刃を展開したファングはマリアに向かって行く。

マリアとアニューが射出した短剣とファングは互いに中央で激突し、相殺されていく。


マリア「やるわね! ルナ・アタックとフロンティア事変を生き抜いたのは伊達じゃ無い!」

アニュー「そちらこそ! 改修されたばかりのアガートラームの試運転で、ここまでやるなんて流石です!」

マリア「セレナから受け継いだギアを纏った以上、無様な戦いはしない! 行くわよ!」

アニュー「ええ!」


短剣とファングが激突し合って行く中で、マリアはアームドギアで、アニューはレイピアモードにしたフォトンリターナーから展開した魔力刃で、激しい近接戦を展開していた。

次の対戦カードはと言うと……


?「はあああっ!!」

《α式・百輪廻》

?「デースッ!!」

《切・呪りeッTぉ》


肩まで伸ばした黒髪をツインテールにした『シュルシャガナ』の装者である少女――『月読調』はヘッドギアの左右のホルダーから小型の丸ノコを連続で放ち、短めで明るいブロンドの髪をした『イガリマ』の装者である少女――『暁切歌』はアームドギアの鎌の刃部分を分裂させてブーメランのように投擲し、それぞれ相手にしている魔導師に向けて放つ。

調と切歌はマリアと同じでかつてフィーネに所属していたことがあり、その関係で響達と敵対していた過去があるが後に和解し、現在はS.O.N.G所属のシンフォギア装者として響達と共に戦っている。

調と切歌はセンスや練度、総合的な戦闘力において、他の装者よりもやや劣っているが、2人が纏うシュメールの戦女神ザババが振るったとされる一対の武器ーー紅刃シュルシャガナと碧刃イガリマから造られたシンフォギアは、同時運用することで相互に力を増幅していく『ユニゾン』特性が備わっており、条件次第では他の誰よりも大きな出力を発揮する事も可能である。

よって他が1vs1で戦う中、調と切歌は2vs2という形で2人の魔導師と対戦していた。

調と切歌の対戦相手である魔導師はと言うと……


?『連なり撃ち抜け!』

はやて(ユニゾン)「クラウ・ソラス!!」


短い茶髪にXの形をした髪留めをした古代ベルカの魔導書『夜天の書』の主である女性ーー『八神はやて』が周囲に展開した複数の魔力スフィアから高威力の直射型砲撃魔法を放つ。

今のはやては自身の家族にして、2代目『祝福の風』である融合騎の少女ーー『八神リインフォース・ツヴァイ』と融合(ユニゾン)しており、魔法戦能力が引き上げられていた。


調「くっ!」

切歌「およよっ!?」


はやての放った砲撃魔法は調の放った小型の丸ノコと切歌の放った刃を破壊し、2人に向かって降り注ぐ。

調と切歌は降り注ぐ砲撃魔法を回避しつつ、空中にいるはやてに何とか接近すると……


調「ええいっ!!」

切歌「デエエエスッ!!」

はやて(ユニゾン)「っ!」


調はアームドギアのヨーヨーで、切歌はアームドギアの鎌で、左右同時からはやてに攻撃を仕掛ける。

しかし……


?「我が主に指一本触れさせない!」


はやての近くに現れた長い銀髪に真紅の瞳をした美女が両手からシールド魔法を展開し、調と切歌の同時攻撃を防ぐ。


調「っ!」

切歌「うええっ!?」

はやて「アインス!」


夜天の書の元融合機で、はやての家族にしてリインの姉でもある初代祝福の風である銀髪の女性ーー『八神リインフォース・アインス』はシールド魔法に魔力を込めて調と切歌を弾き飛ばすと……


アインス「はああっ!」

調「うぐっ!?」

切歌「デデースッ!?」


魔力を込めた拳による拳撃で調と切歌を吹き飛ばし、地面へと叩き落とした。


はやて「おおきに、アインス♪ 助かったよ♪」

アインス「いえ、我が主を守るのは当然のことです」

リイン『お姉ちゃん、流石ですぅ!♪』

アインス「リイン、引き続き我が主のサポート頼むぞ」

リイン『はい!♪』


アインスは10年前の闇の書の事件の時、自身の体内にある夜天の書を呪われた魔導書と呼ばせる原因となった防衛プログラムーー『ナハトヴァール』の残滓が再び暴走するのを防ぐ為に、そして彼女にとって最愛の人でにして夜天の書の主であるはやてをその脅威から守る為に、儀式消滅する筈だった。

そんな死期が迫るアインスの元に、額に橙色の炎を灯した金髪の男性が突如現れ、その男性が灯した正体不明の橙色の炎がアインスの体内にあったナハトヴァールの残滓を1つ残らず消し去り、その結果アインスは生きることができ、はやてと永遠の別れをすることは無くなった。

しかし、それと引き換えにアインスは魔法戦能力が大幅に低下し、さらには融合騎として能力ーーユニゾン能力を喪失した。

そのことに対して、アインスを救った金髪の男性は……


『すまない、俺の炎では君の命を拾うだけで精一杯だ……だが、少し先の未来……いずれ君の元に現れる俺と同じ大空の炎……いや、俺さえも超える、穢れなき大空の炎を持つ子供が君を本当の意味で救うだろう……その時が来れば、君の失われた力は蘇る筈だ』


予言めいた言葉を残し、まるで幻だったかのようにその場から消えたのだった。

それからアインスは八神家の1人として、はやてやリイン、守護騎士達と共に幸せな日々を過ごしていた。

闇の書事件後は魔法戦能力が総合Cランクまで大幅に低下したが、10年間の鍛錬もあって今は総合AAA+ランクまで力を取り戻していた。

だがそれでもやはりユニゾン能力は戻らず、腕利きのデバイスマスターに診て貰っても変わらずであったが、アインスは無いもの強請りはせずに今の自身が出来ることで時空管理局の魔導師として活動しているはやての活動を妹であるリインと共に支え、闇の書事件以降のPM事件やルナ・アタック、フロンティア事変と言う死線を潜り抜けて来たのだ。

現にアインスは調と切歌の2人がかりを物ともせずに圧倒していた。


切歌「あいたたた……う〜、はやてさんとアインスさんがセットだときついデース……」

調「うん……正直、勝ち目が見えない……」

アインス「弱気になってどうする? そんな風ではオートスコアラーに勝てないぞ」

はやて(ユニゾン)「せやね♪ うちとアインス、リインに怖気付いている様じゃ訓練にならんよ〜♪」

リイン『ですね♪』

切歌「む〜! 言ったデスね! こうなったら、はやてさん達に勝ってやるのデス!」

調「行こう、切ちゃん!」

アインス「フッ、その意気だ。さあ、かかって来い!」

調・切歌『はあああっ!!』


調と切歌は再びはやてとアインスに向かって行き、ギアの特性であるユニゾンで力を増幅しながら食らいつき、対するはやてとアインスはユニゾンできないが、家族の絆を活かしたコンビネーションで迎え撃つのだった。

そして、最後に残る対戦カードのシンフォギア装者と魔導師はと言うと……


?「はあああっ!!」

?「てやああっ!!」


セミロングの長さがある金髪をしたシンフォギア装者の女性が右手に持つ両刃剣から剣戟を繰り出し、対する長い藍色の髪に青いリボンを着けた魔導師の女性は左腕のスピナーが付いた白いガントレットから拳撃を繰り出し、2人の攻撃は中央で激突する。

セミロングの金髪の女性の名は『風鳴アンジュ』、3年前異世界から次元漂流した際に過去の記憶を失い、行く宛も無かった彼女をS.O.N.Gの司令官ーー『風鳴弦十郎』が養子として迎え入れ、弦十郎の義娘となった。

そして、アンジュは次元漂流の際に正体不明のシンフォギアーー『エクスカリバー』を何故か持っており、そのエクスカリバーへの適正が高いことが判明した。

アンジュは身寄りの無い自身を娘として接してくれる弦十郎の力になりたいと言う想いで、彼女はシンフォギア装者としての道を歩み始め、ルナ・アタック、フロンティア事変と二度の死線を潜り抜け、前線で活躍する戦士へと成長を遂げた。

アンジュが纏うシンフォギアーーエクスカリバーはクリスやマリアのように胸の谷間が見える白を基調としたインナースーツに、白・黒・金色を基調とした装甲が装着されており、背中から青い光の翼が展開されており、アンジュはその光の翼によって空を飛翔し、アームドギアの両刃剣での剣戟をヒット&アウェイで対戦相手の魔導師に繰り出していた。

アンジュのエクスカリバーは響達のギアと違い、シンフォギアの切り札である奇跡の形態にして限定解除モードである『エクスドライブ』でなくても通常形態で飛行能力を持つ特殊なギアであり、オートスコアラーやアルカ・ノイズとの戦いで唯一破壊されなかったのだ。

無論アンジュのギアもアルカ・ノイズ対策として解剖器官に分解効果を減衰するようバリアフィールドの調整が施されているが、改修された響達のギアにある決戦機能ーーイグナイトモジュールが組み込まれていなかった……と言うより、組み込むことができなかったのだ。

これにはちゃんとした理由があるし、アンジュのギアには響達のギアには無い彼女だけの『決戦機能』があるのだが、それは後に語られることになる。

一方、アンジュと対戦している長い藍色の髪の女性の名は『ギンガ・ナカジマ』、彼女は特異災害対策機動部二課がS.O.N.Gとして再編成された後に時空管理局から新規で派遣された陸戦魔導師である。

魔法ランクはフェルトやアニューより1つ下のAランクで、中・長距離戦主体のミッドチルダ式魔法を使う2人とは対象的に近接戦主体の近代ベルカ式魔法、そして彼女の愛機である両脚のインテリジェントデバイス『ブリッツキャリバー』のようなローラーブーツの装備を前提とする格闘技法『シューティングアーツ』の使い手である。

ギンガは愛機のブリッツキャリバーの機動力と空間に道を作り出す先天性の魔法『ウイングロード』を駆使して空の道を走り、元時空管理局の魔導師で今は現役を引退した母の『クイント・ナカジマ』から受け継いだ左腕の回転式の魔力増幅カートリッジ弾倉を備えたガントレット型のアームドデバイス『リボルバーナックル』による拳撃をヒット&アウェイで対戦相手のアンジュに繰り出していた。

ギンガは元々彼女の父にして、はやての恩師でもある『ゲンヤ・ナカジマ』が部隊長を務める『陸上警備隊第108部隊』に所属していたが、キャロルとオートスコアラー達の襲撃により次々にシンフォギアが破壊され、装者達が戦闘できない状況に追い込まれてしまった為、その戦力不足を補う為の人員補充として、はやてがゲンヤの推薦もあってスカウトしたのだ。

その結果、ギンガはアルカ・ノイズを危なげなく撃破できており、オートスコアラーやキャロル相手にも響やなのは達の援護をしっかりやってみせる等大きな貢献を見せていた。

はやての家族にはギンガより魔法ランクが高い守護騎士の『八神シグナム』や『八神ヴィータ』等の実力者がいるにも関わらず、何故ギンガがスカウトされたのか……それは部隊毎に保有できる魔導師ランクの総計規模にあった。

S.O.N.Gへの派遣部隊が保有できる魔導師ランクの総計規模は、まず部隊長にして総合SS+の魔力ランクを持つはやてはPM事件、ルナ・アタック、フロンティア事変の3つの事件の功績から特例として総計規模から除外された。そして、それ以外の魔導師に関しては『AA〜S+ランク内で3名、A+ランク以下で3名』であった為厳選な選定の結果、はやてはAA〜S+ランク内でなのは(空戦S+)・フェイト(空戦S+)・アインス(総合AAA+)、A+ランク以下でフェルト(空戦A+)・アニュー(空戦A+)・ギンガ(陸戦A)の計6名を派遣部隊のメンバーとしてスカウトしたのだ。

余談だが、ミッドチルダがいくら地球に比べて平和であると言っても犯罪がまったく無い訳では無いし、広域犯罪者を追跡したり、未知なる管理外世界を調査したりと時空管理局も時空管理局で人員をあまり割けないことから、ルナ・アタックやフロンティア事変時に特異災害対策機動部二課へ派遣した時の部隊の魔導師ランクの総計規模は今よりさらに厳しく、なのは・フェイト・はやてに至っては一時期リミッターをかけないといけなかったぐらいだった。

派遣部隊の条件を少しでも緩くする為に尽力してくれたフェイトやフェルトの義母のリンディや、2人の義兄の『クロノ・ハラオウン』、聖王騎士教会の上層部のメンバーである騎士『カリム・グラシア』、そしてかつての時空管理局黎明期を支えた最大の功労者とされる3人の提督ーー『伝説の三提督』に対し、はやては勿論弦十郎も心底感謝していた。


アンジュ「ええいっ!」

ギンガ「やああっ!」


視点は再びアンジュとギンガの模擬戦に戻り、2人は空中でヒット&アウェイで何度も撃ち合うが、このままでは拉致が開かないと判断したアンジュはギンガから距離を取り、アームドギアを鞘に納め、ある構えーー居合斬りの体勢に入る。

アンジュは居合斬りの構えの状態で、鞘に納めた両刃剣にエネルギーを溜めて行く。

そして……


アンジュ「紫電……一閃!!」

ギンガ「きゃあっ!?」


アンジュは抜刀と共に放つ光り輝く刃による斬撃をギンガに向けて放つ。

ギンガは咄嗟にシールド魔法を展開するが、アンジュの放った斬撃の威力にシールド魔法を破壊され、後ろへ大きく吹き飛ばされた。

アンジュが放った『紫電一閃』は、エクスカリバーを使いこなす過程で彼女に剣技を教えてくれた、はやての守護騎士であるシグナムの技をアンジュなりにアレンジしたものである。

アンジュは吹き飛んで体勢を崩したギンガにさらなる追撃を加える。


アンジュ「はあああっ!!」

《Divine Impulse》


アンジュはアームドギアの両刃剣を力強く振るい、刀身から衝撃波を飛ばした。

迫り来る衝撃波に対し、ギンガは……


ギンガ「リボルバー……シュートッ!!」


スピナーを高速回転させた左腕のリボルバーナックルから衝撃波を放ち、アンジュの放った衝撃波を相殺した。

その後、ウイングロードに乗ったギンガは猛スピードでアンジュの元に駆け、一気に肉薄すると……


ギンガ「ふっ! はあっ! せいっ!」

アンジュ「くっ!」


ギンガは拳と蹴りによるコンビネーションでアンジュに猛攻を仕掛ける。

アンジュはアームドギアの両刃剣と鞘を駆使して捌いて行くが、格闘スタイルのギンガにインファイトを持ち込まれた時点で剣士スタイルのアンジュには分が悪い。

今の状況を打開すべく、アンジュは……


アンジュ「はあああっ!!」

《Divine Storm》

ギンガ「きゃあああっ!!」


体全体を回転させ、その回転の遠心力から発生した竜巻のような衝撃波をアームドギアから放ち、ギンガを後ろへ大きく弾き飛ばす。

だが、ギンガも只で弾き飛ばされる程甘くは無かった。


ギンガ「リボルバー……テンペスト!!」

アンジュ「きゃあああっ!?」


リボルバーシュートの時以上にスピナーを高速回転させたリボルバーナックルから激しく乱回転した巨大な衝撃波を放ち、アンジュに直撃させると同時に大きく吹き飛ばした。

互いに技を受けたアンジュとギンガは何とか体勢を立て直し、地面へと降り立った。


アンジュ「ふう……キャロル達との戦いでもそうだけど、貴女本当に強いわね」

ギンガ「歴戦のシンフォギア装者にそんな褒め言葉を頂けて恐縮です♪ この地球に派遣された以上、皆さんの力になるつもりですから♪」

アンジュ「良い意気込みね♪ それじゃあ、もっとギアを上げて行くわよ!」

ギンガ「はい!」


アンジュとギンガは再び高機動を活かしての剣と拳のぶつけ合いを展開して行くのだった……
















それから暫くしてシンフォギア装者VS魔導師による模擬戦は激しさを増したものの、結局決着が着かずに引き分けの形で終わり、響やなのは達は休憩及び昼食を取る為、魔法訓練用の空間から出て宿泊先のコテージに向かうのだった。

戦乙女達はこの後運命の出会いを果たすことになることを、この時はまだ誰も知る由が無かった……


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