| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

ベロ長

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
次ページ > 目次
 

第四章

 ことが終わり国司の前に戻りことの次第を話した大師に国司は驚いて言った。
「何と、法力でなくですか」
「はい、その様にしてです」 
 大師は国司に微笑んで答えた。
「ことを終えました」
「そうなのですか」
「はい、知恵もです」
 これもというのだ。
「使えばです」
「法力を使わずともですか」
「そして刀や弓矢がなくとも」
 それでもというのだ。
「妖怪も退治出来ます」
「そうなのですか」
「ですから」
 それでというのだ。
「この度のことはこれで、です」
「終えたのですね」
「左様です、もうベロ長は悪さをしないので」
「安心していいですか」
「山奥の方に行きました」
「それは何よりです」
「では拙僧はこれで」
 大師は国司に別れの言葉を述べた。
「都に帰らせてもらいます」
「もうですか。ことを収めたお礼に」
「いえ、民の苦しみを救うことは当然のこと」 
 大師は国司に微笑んで答えた。
「ですから」
「それで、ですか」
「礼には及びませぬ」
「だからですか」
「拙僧はこれで」
「それでは」
 二人で話してだ、そのうえでだった。
 大師はまた縮地の術で都に戻った、そして帝にことの次第を報告し後は学問に励んだ。弘法大師こと空海上人の数多い逸話の一つである。大師によって会津の民は救われたのだった。


ベロ長   完


                 2020・5・14 
次ページ > 目次
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧