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おぢばにおかえり

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第五十九話 先輩と神戸でその二十六

「デートなんかも」
「いや、とんでもないですよ」
 デートと聞いてでした、その瞬間に。
 私はびっくりして先輩にこう返しました。
「デートなんて本当に」
「あら、嫌なの?」
「そんなことをするなんて」
 こう先輩に言いました。
「とんでもないですよ」
「けれど一緒に神殿参拝したりお墓地に行ったりしてるのよね」
「そうですけれど」
 このことは事実ですがそれでもです。
「それはとてもです」
「デートじゃないのね」
「そうですよ」
 それはとても、でした。
「たまたま一緒になったり案内してあげてるだけで」
「それだけ?」
「それだけです」
 こう先輩に断りました。
「本当に」
「そうなのね」
「はい、本当にです」
「ちっちがそう思ってるだけじゃないの?」
「違います、阿波野君はただの後輩ですから」
 同じ大教会のです、そして高校の。
「デートとか」
「しないの?」
「そんなこと一度もしたことないですから」
 先輩に炒飯を食べながら力説しました。
「確かにおぢばの色々なところ案内させてもらっていますけれど」
「だからそれがね」
「デートじゃないですよ」
「ううん、ちっちがそう思うならね」
 何故かここで観念したみたいなお顔になる先輩しでした、それでこう私に言いました。
「それでいいわ」
「いいんですか?」
「ええ、ただあの子は大事にしてあげてね」
「後輩として」
「今はね」 
 少し苦笑いになっての返事でした。 
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