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戦国異伝供書

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第九十七話 井上一族その七

「太郎に次郎、四郎がな」
「はい、無事にです」
「お三方共元服されましたな」
「無事に」
「そうなった」
 まさにというのだ。
「よきことじゃ」
「ですな、それではですな」
「これからは殿だけでなくですな」
「お三方にもですな」
「働いてもらいますな」
「そうしてもらう」
 是非にというのだ。
「息子達にもな」
「では、ですな」
「これからはこの場にもですな」
「お三方にもですな」
「来て頂きますな」
「うむ」
 まさにというのだ。
「そうしてもらう、これからはな」
「左様ですな」
「遂にこの時が来ましたな」
「お三方がここに来られる」
「それならですな」
「あの者達は皆親のわしが言うのも何だが出来物じゃ」
 元就はこうも言った、これは親の贔屓目ではなく普通に見ていてそれで見極めていることであるのだ。
「だからな」
「これからはな」
「左様ですな」
「これよりはですな」
「お三方のお話も聞いて」
「そして動いていきますな」
「その様にする」
 まさにとだ、元就は家臣達に答えた。
「よいな」
「わかり申した」
「では次のこの場ではですな」
「お三方も来られて」
「そうしてですな」
「太郎と二郎はもう元服していたがな」
 そしてそれぞれ隆元、元春という諱も与えられている。
「そしてこの度な」
「四郎様もですな」
「無事元服されましたので」
「それで」
「三人共じゃ」
 隆景と諱を与えたこの息子も含めてというのだ。
「この場でな」
「お話をされて」
「そうしてですな」
「殿と共に」
「毛利家の為に働いてもらう、してじゃ」
 元就はこうも言った。
「二郎は吉川家、四郎は小早川家を継いでおるな」
「はい、そうなっています」
「そして太郎様が家督を継がれますな」
「この毛利家の」
「そうなる、これからは毛利家に加えてじゃ」
 さらにというのだ。
「吉川家と小早川家となる」
「三つの家ですか」
「三つの家が柱となる」
「そうなりますか」
「これからはな」
 これからの毛利家はというのだ。
「そのこと承知したな」
「はい、ここに」
「しかと承知しました」
「まさに」
「ではな」
 元就は満足した声で家臣達に応えた。 
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