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レーヴァティン

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第百六十四話 幕臣その八

「これからだ」
「夜もだ」
「お好きですか」
「そうだ」
「それは何故かというと」
「楽しみがあるからだ」
「床のことですね」
「やはり俺は女が好きだ」
 茶を飲みつつにこりともせず言った。
「酒は止められてもな」
「そちらはですか」
「やはりな」
「止められないですか」
「だからお前ともだ」
「今夜は、ですね」
「床を共にする」 
 こうお静に話した。
「そうする」
「そして、ですね」
「休む、だが俺は女とだけだ」
「床を共にするのは」
「男には興味がない」
 このことも話した。
「全くな」
「この浮島そして西の浮島でも」
「男色はある」
「左様ですね」
「それも普通にな」
「ですが上様は」
「これまで通りでいい」
 旦那様でとだ、お静から自分への呼名はそれでとした。
「いいな」
「では旦那様」
「俺は、だな」
「そちらにはですね」
「この世界に来てから今までな」
「興味を持たれたことはないですか」
「一度もな」
 そうだというのだ。
「女だけだ」
「左様ですか」
「誰がそちらを楽しんでも止めないが」
 そして法でも禁じていない、むしろ英雄は同性愛を禁じるという考えは全く理解出来ないタイプである。
「しかし俺自身はな」
「そちらはされない」
「それだけだ、むしろだ」
「むしろといいますと」
「禁じる方がおかしい」
 妻にもこう言った。
「こちらの世界の耶蘇教もそれにはいい顔をしていないしな」
「あの教えもですか」
「とはいってもいい顔をしないだけでだ」
 このことは事実でもというのだ。
「しかしだ」
「それでもですか」
「それだけだからな」
 そこで止まっているからだというのだ。
「いい」
「そうなのですか」
「俺が起きた世界では昔は罪になった」
「罪に、ですか」
「耶蘇教の国ではな」
「それが罪になるのですか」
「そちらの世界ではそうだった、それも死罪もだ」
 つまり極刑もというのだ。
「あっと程だ」
「それは幾ら何でも」
「極端に思うか」
「この浮島ではおなご同士でもです」
「肌と肌を重ね合うな」
「それもまた普通ですが」
 こう夫に話した。
「まことに」
「だが、だ」
「それが、ですか」
「俺が起きた世界では違っていてな」
「耶蘇教はそこまで厳しかったですか」
「実際に死罪になった者もいる」
 同性愛、それでというのだ。 
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