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戦国異伝供書

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第九十七話 井上一族その一

               第九十七話  井上一族
 元就は特に忠義の篤い家臣達を集めて秘かに話した。
「ではな」
「いよいよですな」
「井上家を滅しますな」
「そうしますな」
「左様、思えばじゃ」
 元就は顔を顰めさせてこうも言った。
「わしは幼い頃にな」
「はい、城を追い出されましたな」
「その井上家に」
「あの家に」
「そして嘲笑されましたな」
「そのことは覚えておる」 
 今もというのだ。
「だからな」
「その雪辱を晴らす」
「だからですな」
「そのこともあり」
「それで、ですな」
「ここは何としてもじゃ」
 必ずと言うのだった。
「そうする、だから頼むぞ」
「はい、それでは」
「我等も井上家の専横は目についていました」
「それでは」
「この度は」
「静かに用意を進めてな」
 そしてというのだ。
「それが整えばな」
「その時はですな」
「一気に攻めて」
「あの家を滅する」
「そうしますな」
「そしてじゃ」
 そのうえでというのだ。
「あの家を潰すぞ」
「あの家を放っておきますと」
「大きくなる一方ですし」
「ここで、ですな」
「潰してですな」
「禍根を断ちますな」
「その様にする為にもな」
 まさにというのだ。
「ここは何としてもやる」
「ですな、井上家は今油断しています」 
 志道が言ってきた、彼もこの場にいるのだ。
「それではです」
「今こそじゃな」
「潰すべきです」
「一度気付かれるとな」
「相手も警戒するので」
「気付かれぬ様にしてな」
 そしてというのだ。
「ことを進めるぞ」
「それが肝心ですな」
「そしてすぐにな」
「終わらせますな」
「その様にする」
 こうも言うのだった。
「こうしたことはな」
「長くかけぬものです」
「だからじゃ」
「すぐに終わらせますな」
「その様にする」
 元就は志道に答えた。
「よいな」
「わかり申した」
「それではな」
「一気にですな」
「終わらせる、あと無駄な血もな」
「それもですな」
「流さぬ様にする」
 そうするというのだ。
「そこはな」
「絶対にですな」
「うむ、確かに粛清はするが」
 それでもとだというのだ。 
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