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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第二百七十八話 期末テストその九

「一緒にローエングリン行ってもいいのね」
「そうなるね、けれど」
「けれど?」
「それって」
 僕は詩織さんの考えがわかった、それで詩織さんに尋ね返した。
「僕と」
「そうよ、デートしましょう」
 僕に微笑んで言ってきた。
「そうしましょう」
「クリスマスには」
「ええ、そしてね」
 そのうえでというのだ。
「ローエングリン観て神戸の街に出て」
「イルミネーションもだね」
「観ましょう」
 冬の神戸名物のそれもというのだ。
「そうしましょう」
「それじゃあ」
「楽しみにしてね」
 そしてというのだ。
「どうかしら」
「その返事待ってくれるかな」
 僕は詩織さんに真剣な顔で返した。
「今は」
「ええ、いいわ」
 詩織さんは僕に笑顔で答えてくれた。
「それじゃあね」
「今はテスト期間中だしね」
「そっちに神経がいってて」
「どうしてもね、まずはね」
「テストを終わらせて」
「それから考えたいから」
 正直今はテストのことが第一だった、学生にとってこれの結果が非常に大きいことは言うまでもないことだからだ。
「だからね」
「私もだしね」
「やっぱりそうだよね」
「テストを乗り切って」
 そしてだ。
「ほっとしてからね」
「返事よね」
「うん、だからね」
「お互いにね」
「テストが終わって」
 そしてだ。
「それからということでね」
「そういうことでね」
「うん、ただね」
「ただ?」
「ローエングリンって物凄いメルヘンだよね」
 この作品について僕は再び言及した。
「ピンチに陥っているお姫様を救いに白鳥の騎士が来るとか」
「その騎士が凄く強くて」
「それで他の世界から来ているとか」
「悲し気に去るし」
「そう思うとね」
「確かにメルヘンね」
「そうだよね」
 そう詩織さんに話した。
「あの作品は」
「まるで夢みたいな」
「そこまでね」
 僕が思うにだ。
「そうした作品だよね」
「ええ、主人公がもうこの世界の人じゃないから」
 聖杯を護る騎士達の城から来ている、この世界にあるけれど選ばれた人しか出入り出来ない不思議な場所である。
「もうね」
「しかもその騎士が恰好いいから」
「銀色の鎧に全身を包んだ美男子よね」
「剣を持ったね」
「もう童話みたいなお話ね」
「だからメルヘンだって思ったんだ」
 今実際にだ。
「ローエングリンはね」
「そうした作品で」
「音楽もね」
 ストーリーやキャラクターだけでなくだ。
「奇麗でね」
「それで余計によね」
「メルヘンって感じがするね」
「ロマンっていうか」
「ワーグナー自身教科書だとロマン派だし」
 世界史や音楽の教科書だとそう分類されている。
「ロマンだよね」
「そうよね」
「まあワーグナーの人生はロマンというかとんでもないけれど」
「酷いこと一杯してるから」
「だからね」
 もうこのことは有名過ぎる、詩織さんも知っていた。 
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