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子供を守った名犬

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第三章

「それで」
「確かに背中や足は火傷していますが」
 隊長が言ってきた。
「しかし」
「それでもですか」
「大丈夫です、しっかりと動いて意識はあります」
 そうだというのだ。
「ですから」
「命の心配はないですね」
「手当が必要でも」
「よかったです」
 心からだ、母親はこう言った。そうしてだった。
「本当に」
「この犬がヒーローですね」
 フォーグラーはその犬、ポロを見て言った。
「本当に」
「全くだな」
 オマリーも頷いた、誰もがその犬を誉め讃えた。
 後日フォーグラーはオマリーからその犬の話を聞いた。
「何でもニューヨークのヒーローにな」
「なってるんだな」
「ああ、立派な男だってな」
「あの犬雄だったんだ」
「しかも雑種で里親探しても中々な」
「貰い手がいなかったのか」
「あの一家がやっとな」
 そうした感じでというのだ。
「引き取ってな」
「それでか」
「ああ、それでな」 
「あの娘を助けたんだな」
「その前からずっとあの娘の傍にいたらしいけれどな」
「成程な、そうした事情があったんだな」
「ああ、そんな子がヒーローになった」
 子供を助けたそれにというのだ。
「世の中いいものだな」
「だよな、本当に」
「火事は悪いことにしても」
「そうした犬が子供を助ける」
「世の中捨てたものじゃないな」
 二人でこう話してだった、今は書類仕事をした。フォーグラーは家に帰るとネットでポロのことを調べるとそこには火傷も治って元気に女の子の傍にいる彼の姿があった。


子供を守った名犬   完


                2020・7・25 
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