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戦国異伝供書

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第九十六話 尼子家の騒動その七

「ここはな」
「それでは」
「あの家も見るとしよう」
「わかり申した」
 桂も頷いた、そしてだった。
 毛利家は尼子家だけでなく大内家の動きも見ていた、すると尼子家のお家騒動は日増しに激しさを増し多くの者が倒れてだった。
 ようやく終わったが。
「それはまたな」
「はい、お家騒動の常ですが」
 志道が話した。
「その終わりはです」
「嫌なものであるな」
「はい」
 まさにというのだ。
「尼子家の件も」
「そうであるな」
「ご当主殿ですが」
 経久、彼はというのだ。
「三男殿との戦になられ」
「激しい戦の末に三男殿の軍勢を破ったな」
「そうしてです」
「三男殿は自害されてな」
「そうしてです」 
 その結果というのだ。
「その御首を見てやるとです」
「主殿が言われてじゃな」
「楽し気に言われましたが」
 経久にしてみればその時は憎い相手であったのだ、我が子であっただけに憎しみも殊更であったのだ。
 それでだ、そう言ったがというのだ。
「ですが実際にです」
「三男殿の御首をご覧になられてか」
「はい、その結果です」
「ご子息の変わり果てた姿をご覧になられた」
「そしてです」
 その結果というのだ。
「この上なく意気消沈されて」
「心が塞ぎ込まれてじゃな」
「三男殿の御首をご覧になられて間もなくです」
「世を去られてか」
「新たな主が立たれました」
「ご嫡孫殿がおられたな」
「その方が新たな主になられまして」
 そうなってというのだ。
「そしてです」
「そのうえで、じゃな」
「今尼子家は家臣の方々をどうするかです」
「考えておってじゃな」
「家はです」
 まさにというのだ。
「内輪揉めの後始末もしております」
「ふむ、ではな」
 そこでとだ、元就は志道に話した。
「今こそじゃ」
「尼子家にですな」
「仕掛ける」
 その様にするというのだ。
「そうする」
「そうされますか」
「うむ、それでじゃ」 
 そのうえでというのだ。
「新宮党が大内家か何処かの家とつながっていてじゃ」
「そして、ですな」
「そのうえでな」
「尼子家をさらに弱めますな」
「内輪揉めで大きく力を失い」
 そしてというのだ。
「そこで新宮党もいなくなれば」
「尼子家の力は大きく落ち」
「暫く大きな力を発揮出来ぬ」
「そしてその間にですな」
「我等は安芸を抑えてな」
「余裕があれば備後にもですな」
「勢力を拡大する」
 その様にしていくというのだ。
「あくまで余裕があればじゃな」
「尼子家が弱いならば」
「うむ、それが出来る。だが逆に強いとな」
「尼子家にその備後も奪われますな」
「そして他の国々もな」
「そのうえでどうにもならない勢力になりますな」
「そうなるからな」
 だからだというのだ。 
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