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犬が見たベビーシッター

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第一章

                犬が見たベビーシッター
 キャシー=オーフェル金髪が奇麗に伸ばされていて青いやや吊り目が印象的なはっきりした顔立ちの彼女は夫のグレッグ茶色のパーマで青い目のがっしりした体格の一八〇以上ある彼に考える顔で言った。
「ねえ、そろそろね」
「ああ、あの子のことでな」
「ええ、ジョンのことでね」
 生まれたばかりの二人の息子のことでというのだ。
「どうしようかしら」
「そろそろ君の育児休暇も終わるしな」
「私達休日出勤もあるし」
「二人共家にいない日があるからな」
「そんな日はやっぱりね」
「キリだけじゃな」 
 夫は自分達が話しているテーブルのすぐ傍に寝ている黒の大きな雄のラブラドールである彼を見て話した。
「やっぱりな」
「どうしてもね」
「そう思うとな」
「ベビーシッター必要ね」
「ああ、誰がいいかな」
「ベビーシッターの会社から何人か紹介されているけれど」
 ここでだ、キャシーは。
「誰がいいかしら」
「保育園のない土日だけでもね」
「ええ、じっくり考えてね」
「選ぶべきだね」 
 実際にだった、二人はベビーシッターを選んだ。そして犯罪歴がなく写真の感じがいい赤髪の白人の若い女ベス=リジエに来てもらうことにした。
 リジエは凄く明るく感じのいいベビーシッターで二人は息子のフィンを任せることにした、だが彼女が最初に家に来たその時にだった。
「ウウウ・・・・・・」
「!?キリ」
 キリが吠えたのだ、普段吠えずいつも家族特にフィンの傍にいて彼を護っている大人しく優しい彼がだ。
 それでキャシーは驚いた、だがベスはそんな彼に笑顔で言った。
「可愛いワンちゃんですね」
「え、ええ」
 彼女には問題なかった、それでだ。
 息子をベスに預け仕事に出た、土日夫婦が共に仕事のある日は息子を彼女に預けた。だがその中でだった。
 キャシーはおかしなことに気付いた、それで夫に話した。
「フィンベスに預ける時いつも凄く泣くの」
「フィンがかい?」
「ええ、それで私が帰ってきた時もね」
 その時もというのだ。
「物凄くね」
「泣いているんだ」
「私の顔を見て何か訴えるみたいに」
 そうした感じでというのだ。
「泣いてね、キリもね」
「キリもかい」
「様子がおかしいの」
 彼もというのだ。
「これがね」
「どういった感じかな」 
 夫は怪訝な顔になって妻に尋ねた。
「それで」
「ベスが家に来たら絶対に吠えて」
「キリがかい」
 夫はそう聞いて驚きの声をあげた。
「あんな大人しくて気の弱い子が」
「ええ、キリがね」
「信じられないな」
 夫は妻に心から言った。
「あのキリが」
「凄く吠えてしかもね」
「さらにかい」
「私が帰ってきてベスが家を出るまでね」
「ベスをかな」
「ずっと凄い目で睨んでて威嚇して唸ってるの」
 そうしているというのだ。
「これが」
「キリがそうするなんてね」
「信じられないわよね」
「ちょっとね」 
 実際にというのだ。
「僕はね」
「けれどね、けれどね」
「実際になんだ」
「それで私思うけれど」
 キャシーは夫に眉を顰めさせて述べた。 
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