病は気からで

　　　　　　　　　　　　　　　病は気からで
　家に帰ると一匹の白い青い目の猫がいた、それで阪本治八条海上保険に勤務している彼黒髪をあげて格好いい感じの顔立ちで一七七程の背ですらりとしたスタイルの彼は思わず妻の菜桜子ダークブラウンの長い髪の毛の明るい顔立ち特に目がぱっちりしていて一六一程の背で二十代と言っても通じるスタイルの彼女に尋ねた。
「この子なんだ？」
「今朝お庭にいたから拾ったのよ」
「野良猫か？」
「そうみたい、折角だから保護してね」
　そうしてとだ、妻は夫に話した。
「それでお風呂場で洗ってあげてね」
「今ここにいるんだな」
「そうよ、飼わない？」
　妻は夫にその猫の頭を撫でつつ尋ねた。
「今日から」
「そうだな、うちは今のところペットいないしな」
「あなた前猫飼いたいって言ってたでしょ」
「恭平もな」　
　二人の息子の彼もとだ、夫は言った。父によく似た少年で黒髪の後ろを短くしている元気な顔立ちの少年だ。今は中学一年生でサッカー部に所属している。
「言ってたな」
「私もそう思ってたし」
「それでか」
「どうかしら」
「今も飼いたいって思ってるよ」　
　夫は妻に笑って答えた。
「僕は」
「それじゃあね」
「今からだな」
「もう餌は飼ったしおトイレも用意したし」
「用意がいいな」
「あなたがそう言うと思ってたからね」　
　前に飼いたいと言っていたからというのだ。
「だからね」
「それじゃあ」
「そう、今日からね」
「その子は家族か」
「女の子よ」
　妻は夫に猫の性別の話もした。
「それで最初汚れていたから白猫でもちゃちゃにしたわ」
「もう全部決めてるな」
「だって私が拾ったり」
　それでというのだ。
「そうしてもいいわよね」
「まあ拾ったんならな」
　夫も異論はなかった、こうしてだった。
　ちゃちゃは阪本家の猫となった、そうして家族全員に愛されちゃちゃも家族に懐いていたが特に母にだった。
　懐いていて恭平は母に言った。
「お母さんのところにいつもいるね」
「そうね、いつも誰かの傍にいるけれど」
　母もこう答えた。
「お母さんのところにね」
「一番いるよね」
「お母さんが拾ったからかしら」　　
　母はソファーに座って隣に寝ているちゃちゃの背中を撫でながら言った。
「だからかしら」
「それで懐いてるかな」
「そうかも知れないわね」
「まあそれもね」
　恭平は笑ってこうも言った。
「当然だね」
「お母さんが拾ったから」
「つまりお母さんが助けてくれたから」　
　だからだというのだ。
「懐くのもね」
「当然ね」
「そうだろうね」
「じゃあこれからもね」
　母は息子の言葉を受けて笑って話した。
「お母さんちゃちゃと仲良くしていくわね」
「そうだね」
　息子も笑顔で応えた、一家はこの幸せが何時までも続くと思っていた。
　だが幸せは時として突然終わるものだ、それでだ。