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英雄伝説~灰の騎士の成り上がり~

作者:sorano
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第93話

~ロゼのアトリエ~





「”七の相克”……昨日クロウから聞いたあの話か。」

「……”騎神”の奪い合いをして最終的に勝ち残った機体が”巨イナル一”となる”儀式”とやらだな。」

「ああ……しかも”呪い”による強制力のせいで、避けようとすれば”歪み”が更に大きくなってより最悪な状況に陥る事になるが……」

オリヴァルト皇子のリウイへの質問を聞いたラウラとユーシス、クロウはそれぞれ真剣な表情を浮かべた。



「――――――簡単な話だ。相手が”エレボニアという国全て”を蝕んでいた”呪い”であろうと、所詮は”力”。その”力”を遥かに上回る”力”による”加護”さえあれば、”呪いによる強制力”を防ぐ事ができる。」

「”呪いも上回る力による加護”ですって……?――――――!もしかして、リィンが”契約”を交わしている”慈悲の女神”による”加護”で”呪いによる強制力”を防ぐって事かしら?」

リウイの説明を聞いたセリーヌは眉を顰めた後すぐにある事に気づくと真剣な表情でリウイに訊ねた。

「アイドスも関係しているが、ペテレーネとシルフィエッタも関わっている。」

「混沌の女神(アーライナ)の”神格者”であるお母様と”妖精の女神(ルリエン)”の”神格者”であるシルフィエッタ様によるそれぞれが信仰する女神への祈りで、ヴァリマール達に”女神直々の祝福による加護”を付与しましたから、それらの加護が”呪い”に対する”障壁”となります。」

「フフ、幾ら遥か昔からエレボニアに巣食い続けている”呪い”であろうと”本物の神の加護”には対抗できないでしょうね。」

「また”神”なんていう”オカルト”かよ……」

「……ですが、間違いなくこれ以上ないと言っても過言ではない”呪い”に対する”対抗策”にもなります。」

「そりゃ幾ら何でも”神の加護”が相手だと、”呪い”ですら敵わないわよ。”呪い”は所詮は”至宝”――――――もっと簡単に言えば”神が造った道具から生まれた力”で、”神の加護”は文字通り”神自身の力”なんだから”造られた力”が”造った当事者と同等か、それ以上の力”相手に敵う訳がないじゃない。」

リウイとプリネの説明を聞いたアリサ達がそれぞれ冷や汗をかいて表情を引き攣らせている中ミュゼは苦笑し、アッシュは呆れ、エマは真剣な表情で呟き、セリーヌは呆れた表情で呟いた。



「更に”起動者”であるリィン達自身は”慈悲の女神”であるアイドスと”契約”を交わしている事でアイドスの”神力”がリィン達の魔力と同化することで、リィン達を”呪いによる強制力”から守る”盾”となっている。」

「うふふ、ちなみにアイドスお姉さんと実際に契約を交わしているリィンお兄さんだけじゃなく、エリスお姉さんも今パパが言った説明に含まれている理由は以前みんなにも説明したリィンお兄さんとベルフェゴールお姉さんたちの”契約方法”と言えば”察する事”ができるでしょう♪」

「ブッ!?ちょっ、レン皇女殿下、まさかとは思いますがアリサ達に”アレ”を教えたんですか……!?」

リウイの説明の後にからかいの表情で説明したレンの説明にアリサ達が再び冷や汗をかいて表情を引き攣らせている中リィンは思わず吹き出して慌てた表情でレンに訊ねたその時

「その反応からして、ベルフェゴール達もそうだけどメサイアと契約した方法も”性魔術”だったようだね。」

「こっのリア充剣士が!何でお前ばっかり、そんなうらやましけしからん事に恵まれている上、おまけにそんな方法で”七の相克”から逃れる事ができるとかズルすぎだろ!?」

「ふ、ふふふふふ……っ!その事について色々と言いたい事や聞きたい事があるんだけどね、リ・ィ・ン~~~~~ッ!?」

「わ、わたしも”生徒会長”としてその事についていっっっっぱい!説教したい事があるんだからね、リィン君ッ!!」

「ハッハッハッ、当然その”性魔術”とやらでアルフィン殿下が魔術師として覚醒した話も耳にしているよ♪」

「う”っ……」

フィーはジト目で、クロウは悔しそうな表情でリィンを睨み、アリサは全身に膨大な威圧を纏って笑顔を浮かべてリィンを見つめ、トワは真っ赤な顔でリィンを睨み、アンゼリカは呑気に笑い、それを見たリィンは大量の冷や汗をかいて唸り声をあげ

「い、一体何の話ですの……?」

「ア、アハハ……」

「ふふっ、Ⅶ組の皆さんやお兄様達にも既に知られているのはちょっと恥ずかしいですわね。」

それを見ていたデュバリィは困惑し、プリネは冷や汗をかいて苦笑し、アルフィンは頬を赤らめて困った表情を浮かべていた。



「ハア………話を戻すがリアンヌは”影の国”での装備――――――軍神(マーズテリア)の加護が宿った武装を”影の国”帰還後から手に入れて身に付けている事に加えて、リアンヌの転生前の人物であるシルフィアは軍神(マーズテリア)の”神格者”であった事からシルフィアの”魂”が覚醒した際に、”神核”も蘇った事で”軍神(マーズテリア)の神格者”に戻った事で生身でも軍神(マーズテリア)の加護があるような状況の為、”呪い”に屈するような事は決してありえん。」

「フフン、そもそも至高の存在たるマスターが”呪い如き”に屈する等ありえませんわ!」

呆れた表情で溜息を吐いた後話を続けたリウイの説明に続くように胸を張って自慢げに答えたデュバリィの様子を見たその場にいる多くの者達は冷や汗をかいて脱力した。

「更にもう一つ。”七の相克という儀式の成立ができない状況へと追い込む策”も実行中だ。」

「……何?”七の相克”は”黄昏”が発動してしまっている以上、”条件”を満たしちまえば否応なしに発動していまうのに、一体どうやって”儀式を成立させない状況”に追い込むんだ?」

続けて口にしたリウイの話を聞いたクロウは眉を顰めて訊ねた。



「――――――”霊脈の遮断よ。”」

「”霊脈の遮断”……それが”七の相克という儀式の成立ができない状況へと追い込む事”にどう関係しているのだろうか?」

リウイの代わりに答えたレンの答えを聞いたガイウスは不思議そうな表情で訊ねたその時

「!!ま、まさか…………今まで繋がっていた”黄昏による呪い”の影響を受けている霊脈同士の繋がりを断つ事で”七の相克に必要な条件の一つである黄昏が発動している地”である条件を無くそうとしているんですか!?」

「そ、それって、一体どういう事なんだ……!?」

察しがついたエマは驚きの表情を浮かべてリウイ達に確認し、それを聞いたマキアスは困惑していた。



「簡単に言えば今まで繋がっていた”黄昏による呪いの流れ”を”断つ”事で、”七の相克という儀式の成立条件を満たさないようにしている”って事よ。」

「例えで言うならば”線路”で繋がっている”列車”が”線路”に大岩や倒壊した建物等と言った”障害物”を置かれることで先に進めなくなるようなものね……」

「あ……ッ!」

「確かにそれならば、”七の相克という儀式が発生する事を封じられる”かもしれぬな……」

セリーヌとサラの説明を聞いて事情を悟ったアリサ達がそれぞれ血相を変えている中エリオットは思わず声を上げ、ラウラは真剣な表情で呟いた。

「なるほどの………じゃが、”霊脈の遮断”等並大抵の術者ではできん――――――いや、そちらには”慈悲の女神”を始めとした”超越者”達が存在しているのじゃから、その者達ならば”霊脈の遮断”も可能じゃろうな。」

「――――その件に関しては”連合とは別の勢力”が動いて実行している。」

「え……連合以外の勢力、ですか?一体どのような勢力がそのような事を……」

ローゼリアの指摘に対して答えたリウイの話を聞いたセドリックは目を丸くして疑問を口にした。



「クスクス、この戦争の和解の件でリベールを訪問した”紅き翼”のみんななら”心当たり”があるでしょう?――――――既に”霊脈に結界を施すといった高度な術”を実行した”実績”があるメンフィルやクロスベルでもなく、そしてエレボニアでもない別の”第三勢力の存在”を。」

「そ、それって、もしかして……」

「”空の女神”達の事?」

意味ありげな笑みを浮かべたレンの問いかけを聞いてすぐに心当たりを思いだしたアリサは驚きの表情を浮かべ、フィーは真剣な表情で確認した。

「はい。既にエレボニア以外の各国の霊脈に結界を施したエイドス様達は連合によって”保護”されているクロイツェン州入りをして、七耀教会と遊撃士協会の関係者達の協力によって霊脈を遮断する事ができるエイドス様、フィーナ様、クレハさんを護衛する三組のチームに分かれてクロイツェン州全土の霊脈の遮断ポイントの探索、遮断作業を手分けして行っています。」

「既にクロイツェン州で”空の女神”達が………」

「”遊撃士協会の関係者”は間違いなくエステル達の事でしょうね。」

「ああ……七耀教会は恐らくだがケビン神父やワジ君達の事だろうね。」

「しかもあの不良神父達――――――”守護騎士(ドミニオン)”には”メルカバ”とかいう特殊飛行艇が与えられているらしいから、移動もその”メルカバ”とかいう飛行艇を利用すれば、クロイツェン州の各遮断ポイントへの移動時間もそんなにかからないだろうな。」

プリネの説明を聞いたユーシスは真剣な表情で呟き、シェラザードとオリヴァルト皇子、アガットはそれぞれ真剣な表情で推測した。



「ふふっ、今の話を聞けばわかると思いますが現在のエレボニアの領土で”空の女神”達が安全に活動できる範囲はクロイツェン州のみですが、連合によるエレボニア侵攻が進めば、”空の女神”達による霊脈遮断の為の活動範囲も広がる事になりますわ。――――――つまり、連合の侵略が進めば進むほど、オズボーン宰相達にとっての必要なシナリオである”相克”を起こすことを阻止する事ができるのですわ。」

「そ、それは…………」

「……………」

意味ありげな笑みを浮かべたミュゼの話を聞いたトワは複雑そうな表情をし、アルフィンは辛そうな表情で黙り込み

「クスクス、しかもこの間のノーザンブリア侵略でクロイツェン以外のエレボニアの各州を電撃的な速さで制圧する準備は整ったと言っても過言ではないでしょうね♪」

「ク、”クロイツェン以外のエレボニアの各州を電撃的な速さで制圧する準備は整った”ってどういう事ですか!?」

レンが口にした驚愕の事実を聞いた仲間達が血相を変えている中マキアスは表情を青褪めさせて訊ねた。



「サザ―ラントには”百日戦役”でメンフィルによって占領されてメンフィル帝国領に帰属したセントアークに加えてクロイツェン州のほぼ全ての領土を掌握した事でクロイツェン州のエベル湖を経由しての侵攻も可能だろうな……」

「その場合恐らくはレグラムを経由する地として利用するでしょうが……領主である父上は行方不明、更に焦土作戦を受けた後の状況の支援物資は連合からの支援が”命綱”のレグラムの今の状況では連合のサザ―ラントへの侵攻を阻む事はできませんね……」

「ラマールはノーザンブリアからジュライ、ラクウェルを侵略して公都のオルディスを早期に制圧する算段と言った所か。」

「そしてノルティアの場合はよりにもよってルーレがメンフィル帝国領であるユミルと隣接しているからね………ユミルから直接ルーレを侵攻してルーレに攻め入ってルーレを落とせば、ノルティアの完全掌握も時間の問題の上エレボニアの屋台骨であるザクセン鉄鉱山、そしてエレボニアの兵器の開発、生産を一手に引き受けているラインフォルトグループの各工場を制圧する事で、正規軍に戦力、物資面共に致命的なダメージを与える事になるだろうね。」

「……………」

ミュラーとラウラは複雑そうな表情で、クロウは目を細め、アンゼリカはリィンに視線を向けた後重々しい様子を纏ってそれぞれ推測し、アンゼリカに視線を向けられたリィンは目を伏せて黙り込んでいた。

「で、連合が占領した各州で”空の女神”達がどんどん霊脈を遮断していけば、”最後に残る”のはどこか、みんなにはもうわかるわよね♪」

「ま、まさか………!」

「エレボニアの中心に位置する帝都(ヘイムダル)……そこで霊脈が遮断された事で行き場を失った”黄昏の呪い”の”大元”を叩くという事か。」

「という事は連合は帝都(ヘイムダル)を決戦の地にするつもりなのね……ッ!」

意味ありげな笑みを浮かべたレンの話を聞いてすぐに察しがついたエリオットは表情を青褪めさせ、ローゼリアは真剣な表情で推測し、サラは厳しい表情でリウイ達を睨んだ。



「――――――先程の質問に対する答えはこれが”全て”だ。お前達もそれぞれの起動者、騎神を”呪い”から守りたければ、この戦争を止めるという”無謀”な事はせず”空の女神”達を探し出して”加護”を与えてもらうことだな。”空の女神”達もその件に関しては無条件で協力するだろう。」

そして自身の伝えるべき事をアリサ達に伝えたリウイは部屋から退出し

「私達も失礼させて頂きます。皆さんは未だに連合にとっては”敵勢力”とは認定されていませんから、もし介入してきても無力化の為の迎撃はしますが”拘束”や”抹殺”をするつもりは一切ありませんので、その点に関しては安心してください。」

「クスクス、ちなみに連合がそのような判断をすることに決めた理由はヴァイスラント新生軍への”義理”、そして戦後に同盟関係であるリベールとの関係を悪くしない為よ。だから、自分達の”今後”を躊躇わずに介入してきてね♪ま、その度に”身の程”を思い知らせてあげるけど♪」

「皇女殿下は私とクルトが命に代えてもお守りしますので、どうか殿下達はご自身の信念を全力で貫き通してください。」

「セドリックの事……どうかよろしくお願いします、兄上。そして”紅き翼”の皆さん。」

リウイに続くようにプリネ、レン、オリエ、クルトもアリサ達にそれぞれ自身の伝えるべきことを伝えた後部屋から出て行った。



「――――――これでみんなもわかっただろう。俺が今こうしてメンフィル帝国軍の一員としてエレボニア帝国と戦う事が、俺ができるエレボニアを救う唯一の方法である事が。だから、俺達の事は諦めてくれ。」

「シュバルツァー…………」

「リィン…………」

リウイ達が退出した後静かな表情で答えたリィンの話を聞いたデュバリィが複雑そうな表情をしている中、アリサは辛そうな表情でリィンを見つめた。

「ハッ、確かにその方がお互いの為だな――――――とでも言うと本気で思っていたのかよ?」

「ク、クロウ……?」

リィンの言葉に対して疲れた表情で答えかけた後すぐに表情を引き締めたクロウの様子を見たマキアスは不思議そうな表情を浮かべた。



「リィン、お前が一番良く知っているはずだぜ。――――――Ⅶ(おれたち)はとんでもなく諦めの悪い奴等ばかりが集まった学級である事を。」

「フフ、そうだな。」

「フッ、最初にⅦ組から抜けようとしていたクロウに言われるとは皮肉なものだな。」

「我らはどのような厳しい状況であろうとも、決して諦めなかった。それはこの戦争も同じだ。」

「ん。例えどんな絶望的な状況になろうとも、わたし達は必ず自分達のできる事を成し遂げてきたんだから、そっちの思い通りにはならないよ。」

クロウのリィンへの宣言を聞いたガイウスとユーシスは静かな笑みを浮かべ、ラウラとフィーは真剣な表情で答えた。



「みんな…………」

「君ならばこの展開も読めていたんじゃないかい、ミュゼ君。」

「……………ふふっ、それについてはこの場の空気を読んでコメントを控えさせて頂きますわ。」

「ハッ、その言葉で既に答えを言っているようなものじゃねぇか。」

一方その様子を見守っていたトワは微笑み、アンゼリカに話を振られて静かな笑みを浮かべて答えたミュゼの話を聞いたアッシュは鼻を鳴らしてミュゼに指摘した。



「へっ、よくもまあここまで根性のある連中ばかりが集まったもんだな。」

「フフッ、それどころかどことなく当時のエステルちゃん達を思い浮かべさせるような光景じゃありませんか?」

「確かに言われてみればそうね………もしかして、Ⅶ(かれら)の結成はエステル達に影響されてかしら?」

「ハハッ、さすがシェラ君だね…………まあ、”Ⅶ組”の結成はエステル君達じゃなく、リベールと出会った人々にも影響されいるから敢えて言うならば遊撃士協会とリベールのお陰と言うべきだろうね。」

感心した様子でアリサ達を見守って呟いたアガットの言葉に続くように答えたアネラスの話を聞いたシェラザードは苦笑しながら自身の推測をオリヴァルト皇子に確認し、シェラザードの確認に対してオリヴァルト皇子は懐かしそうな表情で当時の出来事を思い浮かべながら答えた。



「………そうか。だったら、俺達は全力で相手をするだけだ。―――俺達もそろそろ行くが、アルフィンは皇太子殿下や皇子殿下に伝える事とかはないのか?」

不屈の闘志を見せるⅦ組を見回したリィンは静かな笑みを浮かべた後アルフィンに訊ね

「……でしたら、お二人に一つだけ伝えておきますわ。――――――お兄様、セドリック。この戦争によってエレボニアはどんな”結末”を迎える事になるかはわかりませんが……お二人ともどうかご無事で。そしてどのような”結末”を迎えたとしてもお二人が”幸福”に満ちた人生を送る事を心より祈っておりますわ。」

「アルフィン…………」

「フッ、愚問だよ、アルフィン。まあ、皇族の地位を剥奪されたら剥奪されたで私は”愛の伝道師”にして”漂泊の詩人”の”オリビエ・レンハイム”として世界に愛と平和を説く気ままな詩人生活を送らせてもらうから、少なくても私に関しては心配無用さ♪セドリックはそうだね……ヴァイスかリウイ陛下、もしくはクローディア王太女に土下座をしてでもセドリックの”今後”について頼みこめば、三人の事だから悪いようにはしないと確信しているから大丈夫さ♪」

アルフィンの自分達に向けた言葉を聞いたセドリックは静かな表情でアルフィンを見つめ、オリヴァルト皇子は髪をかきあげて答えた後リュートを取り出して軽くリュートを鳴らして親しみのある笑顔を浮かべ、オリヴァルト皇子のリュートを取り出した行動とその後の発言にその場にいる全員は冷や汗をかいて表情を引き攣らせた。

「このスチャラカ皇子は……」

「あんたの場合、本当にやりかねそうだから洒落になっていないわよ……」

「アハハ、大丈夫ですよ。オリヴァルト殿下が本当にそんなことをしようとすれば、間違いなくミュラーさんが止めてくれるでしょうし。」

「アネラス君の言う通りだな。万が一そのような事をすれば、首根っこを捕まえてでも引きずって皇太子殿下がお世話になる人物の前に連れて行った後その人物に皇太子殿下のお世話の”代償”としてそいつを一生馬車馬のようにこき使ってくれと頼みこむつもりだ。」

我に返ったアガットはジト目でオリヴァルト皇子を睨み、シェラザードは疲れた表情で溜息を吐き、苦笑しながら答えたアネラスの言葉にミュラーは顔に青筋を立ててオリヴァルト皇子を睨みながら答えた。



「ミュラー君、ヒドイ!……ハッ!それもまた君の愛なのかい!?」

ミュラーの話を聞いたオリヴァルト皇子は叫んだ後酔いしれた表情でミュラーを見つめたが

「……今この場でエレボニア国民を代表して、袋叩きにした上で、お望み通りリウイ陛下達の前に連れて行ってやろうか?」

「ゴメンなさい、調子に乗り過ぎました。」

「お兄様…………少しは場と状況を考えて発言して下さい…………」

「アハハ、兄上は本当にどんな時であろうともいつも通りの兄上ですね。」

顔に青筋を立てて自分を睨むミュラーの言葉を聞くと疲れた表情で答え、その様子を見ていたアルフィンは呆れた表情で溜息を吐き、セドリックは苦笑し、その場にいる全員を脱力させた。



「全く……相変わらずお気楽な連中ですわね…………――――――シュバルツァー、私もそこのお気楽な連中にいくつか言っておきたい事がありますので、貴方達は先に戻っていてください。」

「へ。」

「デュバリィ殿が我々に……?」

「……?わかりました。それじゃあ俺達も行こう、ミュゼ、アルフィン。」

「「はい。」」

呆れた表情でアリサ達を見回したデュバリィはリィン達に退室を促し、デュバリィの言葉を聞いたアリサは呆けた声を出し、ラウラは眉を顰め、不思議そうな表情でデュバリィを見つめたリィンだったがすぐに気を取り直してミュゼとアルフィンに声をかけて二人と共に部屋から出ようとしたその時オリヴァルト皇子がリィンを呼び止めた。

「――――――リィン君。シュバルツァー卿から君への伝言を預かっている。『昔と比べて随分変わってしまったが、”彼”が昔のままだと信じている。優しく頼もしかったギリアス兄さん、そして断腸の思いで息子を託さざるを得なかった一人の父親でもあると。―――だが、それでも私達は今更お前を”彼”に返すつもりはない。たとえ殴り合いになったとしても勝ち目がなくとも、譲らないつもりだ。そしてリィン、お前がこの戦争でどんな”道”に進むことになろうとも、お前が決めた”道”ならば私達はお前の”親”として心から応援している。どうかエリゼとエリス、そしてセレーネ嬢やアルフィン皇女殿下達と共に全員無事にこの戦争を乗り越える事を心より祈っている』との事だ。」

「テオおじさま…………」

「ふふっ、素晴らしい両親ですわね、リィン少将閣下のご両親は。」

「ああ……家族に、仲間に、そして師にも恵まれている俺は幸せ者だな………………――――――父さんからの伝言、確かに受け取りました。ありがとうございます、殿下。」

オリヴァルト皇子を通したシュバルツァー男爵からの伝言を聞いたアルフィンは辛そうな表情を浮かべ、静かな笑みを浮かべるミュゼに話を振られたリィンは頷いた後オリヴァルト皇子に感謝の言葉を述べた。



「ハハ、感謝するのは私の方だよ。私達アルノール家は君達シュバルツァー家には今まで一生を費やしても返しきれない恩を受けているのだからね。――――――この戦争でエレボニアにどんな”結末”が訪れようとも、それが君達にとっての輝かしい未来になるのであれば、少なくても私はその”結末”を潔く受け入れるよ。」

「オリビエ………」

リィンの感謝の言葉に対して返したオリヴァルト皇子の話を聞いてオリヴァルト皇子の意思を知ったミュラーは複雑そうな表情を浮かべた。

「それとこの戦争が終わってお互いの状況が落ち着いたら、アルフィンとの馴れ初めを最初から最後まで聞かせてもらうよ、我が未来の義弟(おとうと)よ♪」

「もう、お兄様ったら……」

「やれやれ、ホントどんな時でもブレないわね、あんたは。」

そして親し気な笑みを浮かべたオリヴァルト皇子の言葉にその場にいる全員が冷や汗をかいて脱力している中アルフィンとシェラザードは苦笑し

「アハハ……でも、確かによく考えてみると今のリィンさんとアルフィンの関係はメンフィル帝国による”命令”のようなものですから、少なくてもエレボニアは貴族達もそうですが父上ですらも二人の関係に口を出す事はできませんから、リィンさんが僕にとって将来の義理の兄になる事は決まっているようなものですね。」

「た、確かに言われてみれば……」

「まあ、リィンがアルフィン皇女をあくまで”娼婦”として扱うんだったら話は別だろうけどね。」

「いや、そんな殿下達アルノール皇家の方々に対してあまりにも失礼な事はできないし、そもそもアルフィンと親しいエリスがそんなこと、絶対に許さないから。―――コホン。両殿下達の寛大なお心遣い、心より感謝いたします。――――――失礼します。」

苦笑しながら答えたセドリックの話を聞いたマキアスは表情を引き攣らせ、フィーはジト目でリィンを見つめ、フィーの言葉に対して疲れた表情で答えたリィンは気を取り直してオリヴァルト皇子とセドリックに会釈をした後部屋から出ていき、アルフィンとミュゼもリィンに続くように部屋から出て行った――――――

 
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