星河の覇皇
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第七十五部第二章 開戦直前その二十一
「巨大兵器ならすぐにわかる」
「その巨大な姿からですね」
「目立つからですね」
「すぐにわかる」
「そうなのですね」
「兵器も連合の言葉だと陰陽がある」
連合の道教の言葉だ、陰陽五行説でありこの世を陰と陽、二つの原理で分けている考えだ。五行は世界を形成する五つの要素だ。
「見せる兵器が陽でだ」
「隠す兵器はですね」
「陰ですね」
「そちらになるのですね」
「戦争はそもそも二つある」
その陰陽五行から話していくのだった。
「見せる戦い、陽とだ」
「見せない戦いですね」
「それが陰ですね」
「それもありますね」
「そう考えるとアッディーン大統領もだ」
彼もというのだ。
「陰の兵器、戦術を使うこともな」
「有り得ますか」
「この世界が陰陽から成っているのなら」
「それならば」
「見せる戦いと見せない戦いの両方を使うなら」
そうして戦うならばというのだ。
「やはりな」
「あの大統領も陰を使う」
「そうしたことも有り得る」
「そうなのですね」
「少し気をつけるか、若しアッディーン大統領が陰の兵器も使ってくるのなら」
オムダーマンの新兵器がそうしたものでもというのだ。
「私はすぐにだ」
「その兵器にですね」
「対策を出す」
「そうしていきますか」
「如何なる兵器も無敵ではない」
シャイターンも無敵はないとした、このことはアッディーンも同じだ。軍事において無敵という要素は実は存在しないことをだ。
「如何に強力な兵器でもだ」
「弱点がある」
「そういうことですね」
「どんな兵器でもですね」
「無敵ではなく」
「必ず対する方法がある」
「そうですね」
「巨大な要塞もだ」
シャイターンはこの例えを出した。
「難攻不落であってもな」
「絶対に陥落させられない要塞はなく」
「そしてですね」
「陥落させられる」
「どんな要塞でも」
「そうだ、だからだ」
それでというのだ。
「どんな兵器でもな」
「閣下ご自身がですね」
「破ってみせる」
「そうしますか」
「そうだ、必ずな」
こう言うのだった、シャイターンは実際にその自信があった。だが彼はここで間違いを犯していた。
確かに彼はどんな兵器でも破れる、しかしそれは彼ならばだ。ティムール軍も彼が率いるが彼だけが戦っている訳ではないのだ。
だがその間違いに気付かずだ、シャイターンは言うのだった。
「どういった新兵器でもだ」
「閣下が破られて」
「そのうえで、ですね」
「その兵器の対処法をティムール軍全軍に知らせ」
「そして勝たれますか」
「そうする、新兵器も破ればだ」
それでというのだ。
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