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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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第八十六話 董卓、赦されるのことその三

「それからですわよ」
「まさかと思うけれどな」
 覇王丸が眉を顰めさせて話す。
「殺すってことはないよな」
「さて、それはどうかしら」
 今度は曹操だった。彼女は思わせぶりな笑みで覇王丸に返した。
「とりあえず剣は皆磨いておいてね」
「まさか。それでは」
 狂死郎の化粧の奥の顔が曇る。
「御主等、あの娘を」
「だから。あの娘がここに来てからよ」
 またこう言うだあけの曹操だった。
「それでわかるわよ」
「おい、頼むから血生臭いことは止めてくれよ」
 覇王丸はそのことは何としてもだというのだった。
「いいな、それはな」
「ほほう、優しいのう」
 袁術がその覇王丸に言う。
「無駄な殺生は好まぬか」
「戦うならともかく無駄に人を殺すのは好きじゃないんだよ」
 実際にそうだと話す覇王丸だった。
「だからな。董卓って娘もできるだけな」
「ですから。何度も申し上げますが」
 袁紹がここでまた話す。
「それはあの娘が来てからですわ」
「わかるってんだな」
「その通りですわ。では今は」
 今はだ。どうかと話してだった。
「虎牢関に進みますわよ」
「いよいよですよお」
 陸遜がおっとりとしたその独特な口調で話す。
「最後の難関ですよ」
「やり方次第で戦わずに済みますね」
 呂蒙がここで陸遜に話す。
「今度の戦いも」
「戦わずに済むのならそれに越したことはない」
 柳生十兵衛はぽつりと述べた。
「何につけてもな」
「その通りだ。どうもこの戦いはおかしい」
 ズィーガーはその眉を曇らせている。
「この世界にはどれだけ怪しい者達が潜んでいるのだ」
「そもそも皇帝を幽閉してるみたいだけれどな」
「それ自体が妙じゃのう」
 ロックとタンがこう話す。
「その董卓って娘だけじゃなくてな」
「皇帝までとは」
「おかしなことだらけね」
 曹操もこう言うのだった。
「というかおかしなことしかないわね」
「全くですわね。この戦」
 袁紹も眉を曇らせている。
「その董卓のことだけではありませんわね」
「全く。何だってんだよ」
「この世界は」
 そのことさえもわからないと話をしながらだ。彼等は本陣において董卓が無事救出された報を受けていた。そうしてそのうえでだった。
 その董卓は連合軍と合流できた。その彼女を迎えたのは。
「おお董卓殿来られたか」
「久し振りなのだ」
 関羽と張飛がだ。彼女達を笑顔で迎えたのだ。
「何とか無事そうだな」
「何処か悪くないのだ?」
「身体の方は特に」
 何もないとだ。董卓は二人に暗い顔で答える。
 そしてその暗い顔でだ。二人に話すのだった。
「ですが私は」
「とにかくだ。長い間碌なものを食べていないのだろう」
「御馳走をたらふく食べるのだ」
 二人は董卓が言うより先にこう言ってきた。
「さあ、早くな」
「どんどん食べるのだ」
「あの、ちょっと」
 姉の代わりにだ。妹の董白が二人に言ってきた。
「いいかしら」
「むっ、御主はまさか」
「妹なのだ?董卓の」
「ええ、そうよ」
 二人にそのことから話す董白だった。
「妹の董白っていうの。宜しくね」
「そうか。妹殿がおられると聞いたが」
「それが御前だったのだ」
「そうよ。姉様と一緒にここに来たのよ」
 こう二人に話すのである。
 
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