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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第二百七十六話 香織さんとの距離その六

「ツリーも飾ってね」
「イルミネーションもあって」
「皆で楽しむ日になったよ」
「そうよね」
「けれど」
 それがだ。
「今だとね」
「特別な日になって」
「定着してね」
「皆楽しんでるわね」
「そうなったよ、しかしね」
「しかし?」
「クリスマスって色々な楽しみ方があると思うよ」
 僕個人としてはだ。
「もうそれこそね」
「人それぞれね」
「何か女の子とデートする日だと考えて」
 これは正直固定観念だと思う。
「彼女いないからってね」
「あっ、クリスマスじゃなくて」
「クルシミマスとかね」
「そう言う人もいるわね」
「これはね」
 僕としてはだ。
「違うと思うよ」
「付き合ってる人がいなくても楽しめる」
「そういう日だと思うよ」
「別にデートをしなくても」
「普通に楽しめるよ」
 そうした日だと思っている、実際に。
「一人でもね」
「ケーキ食べたりローストチキン食べたり」
「ワイン飲んでね」 
 そうしたことをするだけでもだ。
「随分楽しい日の筈だよ」
「それでクルシミマスっていうのは」
「クリスマスがわかっていない人かな」
「クリスマスの楽しみ方が」
「カラオケ行ってもいいし」
 一人でも男仲間が集まってもだ。
「ドライブしてもいいしね」
「何でもいいわね」
「うん、本当に別にね」
「デートするだけの日じゃなくて」
「色々楽しめばいいよ、というか」
 このことは僕が八条家の人間だから言えた、世界的に手広く色々なビジネスを展開している企業グループの経営家の人間だからこそ。
「スーパーとかケーキ屋さんにしたら」
「もう働いてね」
「稼ぎ時だよ」
「そうよね」
「もうそれこそね」
 脇目も振らずにだ。
「ケーキとかローストチキンとかワインとかを」
「売る時で」
「クリスマスはデートよりも」
「稼ぎ時ね」
「そう考えている人もいるし」
 そして実際に働いている。
「これはバレンタインでもだよ」
「チョコを貰えないでどうとかいう人いるわね」
「これもね」
 どうしてもだ。
「一概には言えなくて」
「スーパーとかだと」
「やっぱり稼ぎ時だよ」
 そうなることだ。
「本当にね」
「チョコレートを売る時ね」
「洋菓子屋さんでもね」
「もうここぞとばかりにチョコレートを売る」
「その時で」
「女の子からチョコを貰うだけの日じゃないよ」
 このことはだ。
「本当にね」
「じゃあバレンタインにどうかということもないのね」
「チョコを貰えなくても」
 例えそうでもだ。 
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