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インフィニット・ソード

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SCENE10「一夏の軌跡後半」

 
前書き
最後はギャグ回です(;'∀') 

 
 「あれは、SWORDなのか!?」
 一夏は、少女と共に自分たちの前に跪く巨大な機体を前に動揺していた。
 しかし、そんな一夏を見下ろす白い機体片方の掌を地面に近づけると、聞き覚えのある誰かの声が聞こえてきた。
 『一夏! はやく、それに乗りなさい!!』
 エメリアである。その機体には彼女が乗っているのだろうか?
 しかし、開かれた胸のハッチの奥は無人だった。しかし、その奥から間違いないエメリアの声が聞こえてくる。
 『一夏、その子と一緒に早く乗って!』
 「は、はい! ……早く」
 そういうと、一夏は少女の手を引いて機体が指し伸ばした掌に乗り出した。二人が手に乗るのを確認した機体はゆっくりと自身のコックピットへ二人を運んでいくではないか。
 そこには単座の操縦席があって、座席一帯を球状全面スクリーンが囲いだす。
 『今は民間人も載せているんだし、交戦は避けながらできるだけ敵から逃げるのよ!』
 スクリーンの一部からモニター画面の枠が表示され、そこにエメリアの姿が映し出された。
 「は、はい! ――って、どうすればいいんだよ!?」
 『とにかく操縦桿を、左右の操縦桿を握りなさい!』
 「これか――」
 左右の操縦桿を握りしめた。
 「――ッ!?」
 一瞬、彼の脳内にフラッシュバックが起こった。彼の脳内に浮かび上がるは巨大な一角獣の絵で、その壮大な画は力強くも優雅で、美しく、そして気高い。
 ――可能性を秘めた野獣、ユニコーン……!”
 頭の中に入ってくるその情報は、無限の可能性を秘めた強大な一角獣。それは、選ばれたものにこそ真の力が授けられる。
 「……」
 一夏は、瞳孔を開いた。彼はそばにいた少女に、
 「俺の方に据われ!」
 「う、うん」
 彼女は、一夏の片腿の上に尻をのせて彼の胸元にしがみ付いた。
 「揺れるかもしれない。つかまってろ」
 「怖いよ……」
 「大丈夫、何とかする――!」 
 震える彼女に、一夏は真剣な言葉で返した。
 そして、彼は操縦桿と両足のフッとレバーに足をかけて、
 「――動けぇ!」
 跪くユニコーンはゆっくりと立ち上がった。
 「た、立った!」
 少女もそれを周囲のスクリーンから確認した。
 「歩けるか――歩く、いや……飛べッ、ユニコーン!」
 機体各種のバーニアのノズル枠が広がり、ユニコーンはその場から暗闇の上空に駆けて離陸し始めた。
 機体に架かるGは掛からずとも、高速でつま先が離れて低空のまま飛び始めた。
 『高度を上げて!』
 そこからエメリアの声が聞こえる。
 「ッ!」
 高度が低すぎる。咄嗟に操縦桿を上げて目の前の住宅地の屋根を機体のつま先で崩してしまうが、どうにか上空に向かって離陸できるまでに至った。
 「敵は――十五機!?」
 レーダーに映る機影はおよそ十五機、それらが一斉にこちらを取り囲んだ。
 『一夏、今はできるだけ戦闘は避けて!』
 「ダメです、逃げれません。やります!」
 「……わかった、ビームサーベルと頭部のビームバルカンを使ってどうにかその場を耐え凌いで! 後からSWORDを応援でよぶわ」
 「お願いします」
 そして、一夏は少女にも伝える。
 「大丈夫、信じてくれ!」
 その声に、彼女もギュッと彼の胸にしがみつく力を強めた。
 「いっけぇ!」
 迎え撃つ敵のビームが縦横無尽に襲い来るも、そのほとんどは機体一帯を球状に囲うように屈折して曲がりくねったではないか。
 「――ここから、出ていけぇ!!」
 右腕が肩部より取り付けられた筒状のグリップを抜き取ると、その先から赤いビーム上のサーベルが放出し、ビームサーベルとなった。
 ビームサーベルを握りしめ、目の前の敵陣にめがけて突っ込んでいくユニコーンであるが、そんな機体には再びビームが幾発も襲い掛かるがそれも先ほどのように次々と屈折していき、機体に接触することは叶わない。
 「このぉ!」
 間合いを詰めた彼は、そのまま勢いに乗じたサーベルの振りに五機ISが体を半分を溶断させられてしまい、幾つもの爆散が夜空に舞った。
 一瞬で五機をうしなったのにもかかわらず、周囲の黒いIS達はひるむことなく両腕部のビームを撃ち放っていく。
 「機械だけの存在に――!」
 頭部より放たれるビームバルカンは本機を周辺を飛び回る内三機を撃墜、そのまま至近距離まで迫られてビームサーベルの一振りでさらに二機が身体の半分を蒸発させられる。
 「ウロチョロと!」 
 バーニアを上げ、速度を上げ続けるユニコーンは左手にもサーベルを握りだし、両手で振り下ろす二刀のビームサーベルは一気に残りの五機を瞬時に斬り裂いてしまった。
 瞬く間に十五機の黒いISを全滅させたユニコーンであるが、しかしそれは初陣である一夏の体に大きな疲労という負担を与えた。
 ユニコーンはゆっくりと地面へ降り立つと、コックピット内の座席に座る一夏はぐったりと息を荒げてしまった。
 「だ、大丈夫!?」
 そんな彼を心配に声をかける少女だが、一夏は彼女に一言も反応することなく息切れを起こすばかりだった。
 戦闘が止んだパリの夜空に、ようやくラファール・リヴァイブの部隊が駆けつけに来るが、そこには敵のISは一機も確認できず、代わりにシャンゼリゼ通りに立ち聳える一機の巨大な白い人型兵器だけが確認されていた。
 「あれは――なんなの?」
 「ミラージュ・アテネの部隊は……全滅!?」 
 「あの白い人型の巨人はいったい……」
 しかし、そんな彼女たちの無線に一通の連絡が入った。それは、彼女らの頭上から飛来する、白い機体と同型のスケールをした``黒い``SWORDであった。
 「こちらは国連軍ドイツ支部、これよりこの場は我々が取り仕切る。ラファール各機はこれより帰投されたし」
 無線からは男の声が聞こえてきた。あの黒い人型からであろう。
 「なんだと!? ここは、フランス部隊の我々が取り仕切るはずだ!」
 しかし、相手が男である以前で彼女達の反応は激しかった。
 「国連より命令だ。直ちに帰投せよ」
 「断る! 我々の祖国がこのような悲惨な目にあっているのにも……」
 「敵は殲滅されている。これ以上この空にいても無意味ゆえ、貴様たちの出る幕はない」
 「何を――!」
 『各機命令だ! 直ちに空母へ帰投せよ!!』
 焦った空母艦長の声に部隊は苦虫を嚙み潰したように黒いSWORDを睨みつけては、しぶしぶと帰投していった。
 「さて――」
 黒い機体、それはユニコーンとは対なる黒いボディーに頭部にはユニコーン以上に幾つもの突起物を持つ金色の一角が生え聳えていた。 
 「あれが例の――」
 ユニコーンの元へ黒いSWORDが降り立った。

 *
 
 次に目を覚ますと、一夏は軍の病室に寝かされていた。
 「……ここは?」
 「お目覚めみたいね」
 彼の隣には、エメリアが座っていた。
 「俺は――」
 「あの夜、貴方はユニコーンを駆って敵のISをすべて撃墜したわ。本当にすごいわね、やっぱりネクストワンの噂は本当だったみたい」
 「ネクストワン……?」
 「詳しいことは後から話すわ。今は体を休めなさい」
 「あ、あの子は!?」 
 突然起き上がった一夏に、エメリアは一瞬驚くもすぐに「フフッ」っと笑った。
 「あのお嬢ちゃんは無事よ。貴方が守ってくれたおかげで怪我もなく家へ帰ったわ」
 「そうか……」
 あいつ、家に帰れたんだな。家族と上手くやってればいいけど――
 「あっ――」
 ふと、彼はそばの棚に置かれた自身の私物より例のペンダントを取り出した。
 「あちゃぁ……結局返しそびれたか」
 名前も聞いていなかったし、結局どうしようか――
 「ネオファリア・ドイツ支部より、リヒト・マーゼリッヒ中尉入ります」
 病室の扉越しからその声がした。
 「ああ、どうぞ入って!」 
 エメリアがそういうと、扉を開けて「失礼します!」と、若い男が部屋へ入ってきた。その制服からして国連軍の人だろう。
 彼は、一夏のいるべでどの元へ歩み寄り、フッと笑みを見せた。
 「君が、イチカ・オリムラだね」
 「え、まぁ……アンタは?」 
 「ネオファリア・ドイツ支部よりSWORD『バンシィ』のパイロットを務めさせてもらっているリヒト・マーゼリッヒ中尉だ。よろしくな」
 そう彼は微笑んだ。
 「織斑です――」
 軍人にしては、堅苦しい風格はなくフランクに見えた。一夏もおペコリとお辞儀をして、こちらも名乗り返した。
 「初めてにしては上出来な操縦技術だ。なにか経験とかあるのか?」
 興味深そうにリヒトは訪ねてきた。
 「いえ、あの機体の操縦桿を握った途端に……」
 「そうか――まだ、ユニコーンがどういう原理で発動したかは謎のままだが……やはり、君が原因なのか?」
 「あの、俺何かマズイことでも?」
 「いいや、むしろ早いうちにユニコーンの活躍が知れてこちら側としては嬉しいよ。それよりも……」
 リヒトはもちろん、エメリアも今後に関してどうするかを一夏に求めた。彼自身にしてもらいたいことはすでに本人が体験している。そう、ユニコーンの正規パイロットになって、場合によっては戦闘に参加することもふまえた軍職である。
 「軍人っていう立ち位置だ。ユニコーン自らがお前を選んでしまったからにはこちら側として、君を手放すことはできなくなる。半信半疑だったが、予想以上の結果になってしまったゆえ、強制で申し訳ないが今日付けで正規パイロット・ネオファリア所属の国連軍軍として学生業からの転職を求めたい……すまないが」
 最初はエメリアの抜擢したという織斑一夏少年に関して半信半疑で捉えていた。が、エメリアの見込み通りの力を秘めていたことに、先輩となる彼はどうすればいいのか戸惑っていた。
 「俺が、ユニコーンの正規パイロットになるってことは最初っからわかっていたことなんだし、別にこうなることは自分も聞かされてましたから気にはしませんよ」
 「しかし――軍人の道を歩んでしまうという一択でいいのか? 今更いうのは心無いが、後悔はしていないのか?」 
 「まぁ、``織斑一夏``以外の誰かに変われるのなら俺はいいですよ!」
 「ッ――!」
 今の自分とは違うもう一つの自分に変わることができる――それは、まさにリヒト自身も同じ境遇を抱えていた。
 代々政治家の家系であるマーゼリッヒ家に生まれた彼は、誰よりも正義感が強い性質であり、時に政治家という腐敗業とも言い切れない父リカルドの背を嫌い続けた挙句、反発するように軍人で航空機のパイロットを目指したが、ISの影響によって航空機の役職は廃業になってしまった。
 途方に暮れていたところへエメリアから声をかけられたのがバンシィ・ソードの正規パイロットになるきっかけである。
 話はややそれるも、目の前の青年は自分と同じように昔の自分を嫌って新しい自分になろうと必死なのに違いない。同じ境遇を持つ者として、何となく彼の心境がわかってきた。
 「イチカ・オリムラ!」
 すると、リヒトは一筋の手を彼に差し出した。
 「ネオファリアへようこそだ。今後はこの俺がお前の先輩兼教官としてお前をイッパシのソードパイロットへ鍛え上げてやる……とはいえ、そんな俺もまだまだ青二才だ。共に頑張ろうな!」
 「は、はい! こちらこそ」
 一夏は、仲間ができたかのような感情が芽生えて、強くリヒトの手を握りしめた。
 ……こうして、織斑一夏は正式にユニコーン・ソードのパイロットとしてリヒト・マーゼリッヒと共にソードの道へと身を投じていくのであった。

 *

 「……と、まぁこれが一通りの流れですよ」
 そういって、IS学園ネオファリア仮設部署内で彼が初めてこれまでの経路を話した。
 「それで――軍に入ったってことか」
 そういって、キースはオールバックをやめた一夏の髪形を見た。
 「そういや、ウチの姉貴ってこの学園の教員ですよね。なんで、勝手に制服とか改造している生徒を見て怒らなんでしょう?」
 顎に手を添えて一夏は理解できないと悩んだ。
 「あいつは、自身に与えられた教習科目を全うすればいいという変に偏った奴だ」
 そう慈がつぶやいた。事実、千冬は教員として生徒たちに授業とISの技術を教え込むことを目的としている。すなわち、千冬は相手のスタイルや自由などを気にせず尊重するが、自分の授業だけは従い、学べ! っていうやり方をしている。
 ――しかし、そうやって個人個人の身形や風紀を無防備にしてしまうと、メンタリティーが暴走して統率力や団体意識が欠陥し、無自覚極まりない自分勝手な連中があふれ出てしまうのが落ちだ。一軍人である慈達からして、まっさきに教官達から叩き込ま依るのはルールを厳守することである。ルールを守れない部隊は戦場へ出れば必ず全滅する。それが軍の鉄則でもあるのだ。
 「だから、アイツはいつまでたっても男達からドン引きされるってのか」
 キースはそうつぶやいた。そもそも、女尊男卑になったことで女嫌いな男性があふれ出て、未婚率の上昇が半端なく、深刻な社会問題になりかけている。
 今どき合コンなんて「罰ゲーム」のようなもの、出会い系サイトや婚活所なんて「女がいく職安」みたいな呼び方をされるようになった。
 「こんなご時世ゆえ当然の結果だ。IS崇拝者の女共には自業自得という言葉がお似合いだな」
 そういって、慈は鼻で笑った。
 「ちなみに、ウチの姉貴は家事洗濯が全然ダメな方なんです。だから、家のことは全部俺がやっている感じなんですよ」
 ちなみに千冬の自室も一夏がこっそり掃除している。床やベッドに脱ぎ捨てて散乱した衣類・下着や、ゴミ箱からあふれ出る生理用の紙オムツ、汗拭きティッシュや化粧落としのウェットティッシュの山々……
 「おぇっ……アイツ、そんな奴だったのか」
 キースは、これまで付き合ってきた女達の中でもっとも嫌っていた元カノが可愛く見えてきた。
 「それはさすがに――」
 彩夏も想像しただけで吐き気を催すほどの形相をしてしまう。
 「やれやれ、自己管理もできないのによくISの教員などをやってられるものだな」
 慈自身も自分のことは言えない立場だ。脱いだ衣類をベッドに頬り投げて寝てしまうことや下着のまま家中を歩き回ったりなど、一人暮らしの無防備な女性あるあるなことはよくやる。
 が、さすがに脱ぎたての下着を寝床の上で放置したり、生理用のオムツを捨てずにゴミ箱へ溢れるまで入れっぱにしたままの状況などさすがにない。
 「そういえば一夏君」
 ふと、彩夏が問う。
 「はい?」
 「アリーナで織斑先生に見つかったとき、すごい剣幕で彼女から怒られたようだけど――」
 「ああ、あれですか?」
 凰戦から続いて謎のIS襲撃事件の後、ユニコーンに乗っていたパイロットが自分の弟だという事を知った千冬は激怒し、地上へ降りた一夏へ真っ先に鉄拳を浴びせて怒鳴り散らした。
 確かに千冬からしては分からなくもない。入学日ギリギリになって帰国してきて、さらに専用機はいらないと言い続けてはユニコーン・ソードの練習をひそかに続け、いざユニコーンの初陣を前にパイロットである彼が堂々と現れたのだから混乱と同時に怒りがわくのは千冬個人からして腹ただしいことだろう。
 しかし、それ以前に理不尽なことというなら――
 「ユニコーンの待機状態……姉貴に取り上げられちゃいましたし」
 「な、なんだってぇ~!?」
 キースは気まずそうにボソッと言う一夏に目を丸くして叫んだ。そもそも、一夏は皆に経路を話すと同時にその件で相談しに来たのだ。ネオファリアを通してユニコーンの待機状態であるブレスレットを千冬から返してもらおうと。
 「どうしますか? ネイナ博士」
 と、彩夏はネイナへ振り向いた。このままだと、千冬は知らぬ内に束へ渡してしまいそうで怖い。
 「それなら心配しなくていいわよ。アイツの手に渡っても絶対にブラックボックスは開けられないから」
 しかし、一方のネイナは余裕の笑みであった。むしろ、束に対して引っかかったなとニヤニヤが止まらずにいる様子だ。
 「どういうことですか?」
 彩夏は首を傾げた。
 「う~ん、ちょっと恥ずかしいけど私の趣味かな?」
 ボソッとネイナは呟いた。



 時を同じくして……
 「ふっふっふ~! ちぃーちゃんがイッ君からSWORDとかいうガラクタを取り上げてくれたおかげで、手が省けてラッキー♪」
 千冬に頼んでそのユニコーン・ソードの待機状態の画像を見せてもらい、その画像からこちらの特殊なPCを使って千冬が持っているユニコーンの待機状態へハッキングを仕掛けたのだ。
 高速でホログラムパネルのキーボードを打ち続けながらハッキングをして数秒後。
 「な~んだ! ネイナの奴、束さんのISと比べてぜーんぜんガード弱いじゃん。マジ雑魚~」
 所詮ソードなんて、そう思ってはブラックボックスを開けようとした途端……
 『おいおいいいのかい? そんな装備でハッキングしちまって』
 ホログラム画面からは白人のボディービルダーが海パン姿で写ってきた。
 「へっ?」
 目が点になる束は、何が何だかわからずに混乱。
 『テレビの前の君も一緒に、ヤらないか?』
 次々に出てくる画面にはマッチョなボディービルダーたちの見事に割れた腹筋や二の腕の筋肉、そしてケツ、ケツ、ケツ……
 美しい肉体美を漫勉の爽やか笑顔で披露する彼らのグラビア姿に束の目は一気に流血する。
 「ぎぁああああああああ~ッ!!!!!」
 両目を抑えながら、
 「めがぁ――めがぁ……!!!」
 床に転がりながら必死に悶え苦しむ姿はまさに拷問であった。レズビアンクズな束からして一夏以外の異性の肉体は脅威であったのだ。
 『さぁみんな! 今から98時間、たっぷり俺たちの腹筋とケツをまんべんなくそのイヤらしい目に焼き付けてくれ。まずはスクワット80回!!』
 上下に動く、引き締まったTバックのマッチョ尻の画面に束は激しい吐血を起こした。
 『98時間では物足りないと思うが、安心してくれ! これが終わっても次から俺たちの新しい2000種類のシリーズが永遠にリピート再生して流されるんだ。そう簡単に寂しい思いはさせないぜ!!』
 「に、2000――1本98時間……」
 『よし! では、みんながお待ちかねの人気タイム――脱ぐぞッ!!』
 画面のボディービルダーは自身が穿いているTバックの海パンへ両手を付けて勢いよく――
 「や、やめろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ~!!!!」
 結局、ユニコーン・ソードのブラックボックスは掘り当てることができずに、束は全治1か月間の大量出血と精神的重傷をその身に負った。 
 

 
後書き
次回
「再開」 
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