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レーヴァティン

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第百五十九話 美酒その九

「政でもだ」
「大きな役割をでござるな」
「担ってもらう」
「それでは」
 智は英雄の言葉に応えた、見れば彼だけでなく今この場にいて英雄と共にワインを飲んでいる十二人全員がそうしていた。
 そしてだ、智はさらに言った。
「その様に」
「ではな」
「戦ばかりではないでござるな」
「戦に勝つことも大事だが」
「むしろ」
「そうだ、政だ」
 こちらの方が大事だというのだ。
「そうなる」
「やはりそうでござるな」
「今になってだ」
 つまりこちらの世界に来る様になってというのだ。
「わかったことがある」
「政の大事さが」
「戦に勝つよりも遥かにということがな」
「それたい、信長さんも信玄さんもとよ」
 香織はこの戦国時代の人物達の名前を挙げて話した。
「戦よりもたい」
「政の方に重きを置いていたな」
「二人共優れた政治家だったとよ」
「軍人というよりかはな」
「戦も強かったたいが」 
 二人共そうだったがというのだ。
「しかしとよ」
「むしろ見るべきはな」
「政たい」
 こちらだというのだ。
「そうたい」
「その通りだな」
 英雄もその通りだと返す。
「まさに」
「信玄さんの政は凄かったとよ」
「堤を築いてな」
 甲斐の信玄堤のことだ、起きた世界では今も山梨県民の為になっているという実に素晴らしい堤防である。
「田畑を整えてだ」
「戦で荒れた土地もよく耕したとよ」
「色々な作物を植えさせもした」
「見事な殿様だったとよ」
「そうだったな」
「信長さんもたい」
 この人物もというのだ。
「関所ば廃止して楽市楽座ば行って」
「商業を盛んにさせたな」
「悪人は徹底的に取り締まってたい」
 その様にしてもいたのだ。
「治安もよくしていたとよ」
「だからこそ二人共民に慕われた」
「信長さんは最初からだったとよ」
 うつけと呼ばれていた尾張の一領主の頃からだったのだ。
「善政ば敷いてたたいからな」
「民はわかるからな」
「そうたい、そしてたい」
「俺達もな」
「第一は何といってもたい」
「政だ」
「それで私達もたいな」
 香織は自分から言った。
「政にば励むたいな」
「そうしてもらう、出来ないなら言わないが」
「私達全員がたいな」
「これまで政もしてもらってきた」
 無論英雄自身もそうしてきた。
「ならな」
「政ばたいな」
「どんどんしてもらう」
「わかったとよ」
「陸の商いに水のな」
「そちらもたいな」
「盛んにしたい」
 そちらの商業も盛んにしたいというのだ。 
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