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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第二百七十四話 真実は一つその九

「完全に縁を絶って」
「じゃあ入院中お見舞いも」
「親戚の誰にもさせず」
「ご自身もですね」
「無論です」
「本当に徹底していますね」
「ですがご親戚にその人のせいでノイローゼになっている人もいたそうで」
 畑中さんはその辺りもお話してくれた。
「同居されている人の中で」
「その人が自殺することもですか」
「そこまでだったかはわかりませんが」
「これ以上何かある前にですか」
「その元凶を絶ったのです」
「言うなら癌細胞の切除ですね」
「まさに」
 そうだというのだ。
「そうした風だった様です」
「癌細胞ですか」
「世の中残念ですがそうした人もいますか」
「そうですね、人間あまりにも質が酷いと」
 それならとだ、本当に。
「最早害にしかならない」
「そうした人がいますね」
「そうですね」
 事実だ、そうした人達がいる。僕もそのことを知っている。
「それでそうした人については」
「もうです」
「そうするしかないですね」
「人に害を与えるしかない人は」
「それで更正する見込みがないと」
「それならです」
「切除ですね」
 精神病院に放り込むなりしてだ。
「もう」
「そうでもしてです」
 実際にというのだ。
「絶つしかないです」
「被害が出る前に」
「若しそうした人やものごとを見れば」
 僕がというのだ。
「そうされて下さい」
「そうしたことも大事ですね」
「左様です」
「そうです」
「はい、それでは」
「このことは、ですね」
「覚えておいて下さい、そして」 
 畑中さんは僕にさらに話した。
「詩織様のことは」
「安心していいですか」
「止様はそうしたことは弁えておられます」
 女好きでもというのだ。
「あの方は本物の遊び人であられるので」
「本物ですか」
「不始末を起こすのは二流です」
「遊び人でもですか」
「遊び人にも色々ありまして」
「二流の遊び人とかですか」
「本物の遊び人もです」
 こう言っていい人もというのだ。
「おられまして」
「親父は本物ですか」
「はい、まごうかたなき」
「それって凄いことですよね」
「かなり」
 畑中さんの返事は本気だった。
「左様です」
「そうなんですね」
「あの方は医師としてだけでなく」
「遊びの才能もあるんですね」
「お若い頃からそうで」
 それでというのだ。
「遊びをわかっておられました」
「それで不始末もですか」
「されません、遊びについてはエドワード七世以上です」
「確かイギリスの王様でしたね」
 その人の名前を聞いて僕はふと思い出した。 
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