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戦国異伝供書

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第九十二話 尼子家襲来その十二

「そしてです」
「尼子家の軍勢を追い払うのですな」
「左様、では」
「毛利殿の先導を謹んでお受けします」
 陶はこう応えた、そしてだった。
 元就は自ら先導して大内家の軍勢と共に尼子家の軍勢に向かった、ここで陶は周りにいる己の家臣達に秘かに話した。
「毛利殿とは前は戦ってじゃ」
「この度は味方ですな」
「そうなっていますな」
「昨日の敵は今日の味方といいますが」
「その言葉通りですな」
「うむ、そしてじゃ」
 陶は前を見つつ鋭い声で話した。
「毛利殿、味方であれば有り難いな」
「左様ですな」
「見事なまでの知略です」
「ここまでの知略の方はそうはおられませぬ」
「まことに見事です」
「恐ろしいまでに」
「全くじゃ、毛利殿がまた敵になればな」
 その時のことはというと。
「前以上に用心してな」
「そうしてですな」
「そのうえで、ですな」
「戦うべきですな」
「その時は」
「そう思った、だが今は何もせぬ」
 陶は前を見続けていた、そこに毛利家の軍勢がいるからそうしているのだ。
「よいな」
「ここは尼子家を叩くべきですな」
「だからですな」
「毛利殿には何もせぬ」
「むしろ尼子家に存分に戦ってもらいますな」
「そうじゃ」
 そうするというのだ。
「よいな」
「裏切らぬ」
「間違っても攻めぬ」
「そうしますな」
「油断出来ぬ御仁であるが今は味方でじゃ」
 それにというのだ。
「同じ敵と戦うのじゃ」
「それで、ですな」
「ここは攻めず」
「共に戦う」
「最後の最後までそうしますな」
「左様じゃ、間違っても毛利家の軍勢は攻めるでない」
 陶はここで毛利家の軍勢のことも話した。
「暗がりで見えにくいが色はわかろう」
「緑ですな」
「あの緑の軍勢を見れば」
「攻めぬ」
「そうしますな」
「そうじゃ、くれぐれもな」
 こう言ってだ、そしてだった。
 陶は戦の時に緑の旗や具足、服の軍勢は攻めるなとも告げた。そのうえで元就が率いる毛利家の軍勢の先導を受けてだった。
 青山の後ろから尼子家の軍勢に迫った、そして一気にだった。
 尼子家の軍勢を攻めた、先に元就が率いる毛利軍の縦横の攻めで傷付きかつ士気が落ちていたところに大内家の軍勢を見てその士気をさらに落とし萎えてさえいて退きの用意に入っていた尼子家の軍勢に戦う力はなかった。
 それえ散々に攻められそうしてだった。
 青山から追い出されそのまま逃げに入った、後詰は新宮党は引き受けていたが。
 ここで元就は兵達に言った。
「これでよい」
「もう攻めぬ」
「そうされますか」
「うむ」
 こう言うのだった。
「ここでこれ以上尼子家を痛めつけるのはよくない」
「それは何故でしょうか」
 元網は兄に血気に逸る顔で問うた。 
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