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待つ犬

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第三章

「私がもう一度飼ってもいいでしょうか」
「貴女の家族ですよね」
 オーナーは老婆に優しい笑顔で答えた。
「それならです」
「いいですか」
「はい」
 老婆にその笑顔で話した。
「そうされて下さい」
「それでは」
「よかったな」
 オーナーはジョン、彼等がレオと名付けたその犬にも声をかけた。
「また家族に出会えて。じゃあこれからは家族と暮らせよ」
「ワン」
 ジョンはオーナーに明るい声で応えた、そしてだった。
 老婆は孫が運転する車にジョンを乗せてスタインベック達に何度も礼の言葉を述べて深々と頭を下げ謝礼まで渡してだった。
 店を後にした、スタインベックは車が去るのを見届けてからオーナーに言った。
「いや、何ていいますか」
「ああ、よかったな」
「そうですよね」
「レオいやジョンははぐれてもな」
「それでもですね」
「ずっとあのお婆さんを家族と思っていてな」
 それでというのだ。
「ずっと待っていたんだよ」
「そうですね」
「それで俺達はそのジョンのな」
「家族を想う気持ちの手助けをしたんですね」
「ああ、そしてな」
「ジョンはまた家族に出会えたんですね」
「そうなったんだよ」
 サイトやツイッター、フェイスブックを使ってというのだ。
「そう思うと本当に良かったな」
「そうですね、ジョンが飼い主と再会出来て」
「ずっと街の外の方、飼い主がいると思う方を見ていたんだ」
「それだけ気持ちが強くてですね」
「その気持ちが実ることを助けられてな」
 それでというのだ。
「本当によかったな」
「そうですね、じゃあ後はあの家族に幸せが訪れることを祈りますか」
「神様にな、そしてな」
 オーナーはスタインベック自分より背の高い彼に顔を向けて笑って話した。
「仕事頑張るか」
「そうしますか」
「今日は終わったら店の人間全員でバーに行くか」
「それでそこで、ですね」
「ジョンのことで乾杯だ」
「愛する家族とまた一緒になれましたからね」
「だからな」
 それでというのだ。
「今日は全員でバーに行って飲むぞ」
「そうしますね」
「ああ、ジョンの今とこれからの幸せを祝うぞ」 
 オーナーは笑顔で言った、そうしてだった。
 スタインベックはそのオーナーと共に楽しく仕事した、そのうえで仕事が終わると仲間達とジョンのことで乾杯して飲んだ、バーのバーボンは最高の味だった。


待つ犬   完


                    2020・6・18 
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