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星河の覇皇

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第七十五部第一章 最後の戦いのはじまりその十六

「まず大丈夫ですね」
「敵のことは」
「今は」
「そうだ、しかしだ」
 それでもとだ、提督はまた言った。
「やはり油断は出来ない」
「宙形のことがありますし」
「サハラ独特の複雑なそれが」
「それで、ですね」
「中々ですね」
「厄介な航宙ですね」
「そのことは否定出来ない」
 どうしてもというのだ。
「だからだ、行きも帰りもだ」
「その両方で、ですね」
「気を抜かずにですね」
「進んでいきますか」
「このまま」
「そうしていこう、しかし補給艦隊は気楽というが」
 戦闘には参加しないからだ、事実補給艦隊に配属された将兵の戦死する確率は前線の将兵達と比べると遥かに低い。
「これはこれでだ」
「気苦労がありますね」
「何かと」
「やはりバスやタクシーより遥かに神経を使う」
「そうしたものですね」
「そうだ」
 実際にというのだ。
「だからだ」
「はい、我々もですね」
「最後の最後まで気を抜かずに」
「そして何時でもですね」
「気を抜かずに」
「そうしてこう、あと英気もだ」
 任務に当たっている今現在もというのだ。
「養っておかないとな」
「休める時は休み」
「そしてですね」
「トレーニングも欠かさない」
「身体をなまらせてもいけないですね」
「太った軍人、体力不足の軍人はな」
 トレーニング不足の結果そうなるというのだ。
「あってはならないな」
「全くです」
「あの連合軍ですら太った軍人は殆どいません」
「常にトレーニングはしています」
「余暇を見付けて」
「あの弱兵の彼等がそうなのだ」
 それならばというのだ。
「我々もだ」
「決してですね」
「トレーニングを怠ってはいけませんね」
「何時でもですね」
「休憩の時間はトレーニングですね」
「補給艦は大型でだ」
 物資を運ぶ為にだ、特に連合軍の補給艦は相当な大きさだ。
「しかも人員が少ないからな」
「トレーニング設備も充実していますし」
「それならですね」
「余計にですね」
「トレーニングに励むべきですね」
「そうだ」
 その通りだというのだ。
「私もそうしているしな」
「我々もです」
「そうしています」
「毎日トレーニングルームに入っています」
「そして汗をかいてです」
「身体を鍛えています」
「それでいい、軍人ならだ」
 戦う者ならばとだ、提督は確かな声で言った。
「やはりな」
「身体は鍛えておくべきですね」
「それも常に」
「そうあるべきですね」
「それが務めの一つですね」
「そうだ、出航中でもそうしなければな」
 提督の声は確かなものだった、確信がある故にそうした口調になっている。 
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