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第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
  第30話 白の侍と黒の機士:前編

 勇美が白玉楼の剣士、魂魄妖夢と邂逅し永遠亭への招待をしてから数日後の事。
 この日は永遠亭で冥界からの客人に対するおもてなしの準備に勢を出している所であった。
「勇美ちゃん、この机に花瓶を置いてくれる?」
 そう言って永琳は勇美に指示を出す。
 と言っても永琳は勇美に手伝いを無理強いしている訳ではなかった。
「悪いわね勇美ちゃん、あなたに手伝わせちゃって」
「いえ、寧ろ私がお願いしたんですよ」
「そうだったわね、それじゃあ頼りにさせてもらうわ」
 そう、今勇美が永遠亭の手伝いをしているのは他でもない、彼女自身が望んだ事であったのだ。
「はい、任せて下さい」
 言って勇美は胸を張った。
「その心意気は良いけど、余り根詰めてはいけないわよ」
 張り切る勇美の間に依姫が入ってきた。
「依姫さん?」
 そのような物言いをされて、勇美は首を傾げてしまう。
「貴方は今日の催しもの主役の一人なのですからね」
「はい、分かりました」
 促されて、勇美は素直に返した。

◇ ◇ ◇

「すみません、お邪魔します」
 そして宴会の準備が出来た頃、永遠亭に来客が現れた。白玉楼の剣士、妖夢である。
「ここが永遠亭ね。お邪魔しますわぁ」
 続いてどこか間の抜けた声が聞こえる。
 その声の主はまず桃色の髪に水色の、手前に渦巻きのようなマークが施された三角巾付きのナイトキャップを被っている。
 そして服装は水色が基調で、フリルが多い等アレンジが激しいが一応形状は着物のそれである物を召している。
 そう、この者こそ白玉楼の主である亡霊姫、西行寺幽々子であった。つまり……。
「あの幽々子様、本当に良かったのですか? 永遠亭の招待に参加して」
 幽々子は永遠亭の誘いに応えた、そういう事であった。
「もぅ~、何言っているのよ妖夢ぅ~。折角のおもてなしには応えないと失礼じゃないのよ~」
 言いながらぷっくりと頬を膨らませる幽々子。その様子はどこか大人の女性が子供っぽく甘えるかのようであった。
「それはそうですけど、何か危険な事があったらどうするのですか?」
「その時の為にあなたがいるのよ」
 慎重な妖夢に対しても幽々子はのほほんとした態度を崩さない。
「あはは、もうどうにもなれ……ですね」
 こうなったら流れるがままにされるしかない。そう開き直る妖夢であった。
 しかし、腑に落ちない事は残っていた。
 それは幽々子が自分の『死を操る能力』が通用しない不死の薬を飲んだ蓬莱人を嫌っている事にある。
 そして永遠亭にはその蓬莱人が二人もいるのだ。
 そのような場所に今回幽々子が自ら赴いた事が理解出来なかったのだった。

◇ ◇ ◇

 そして冥界組一行が永遠亭の玄関に入った所で迎えの者が現れた。
「ようこそ永遠亭にいらっしゃいました……あ、妖夢さん。この間はどうも」
「鈴仙さん、こちらこそ」
 迎えに出たのは鈴仙であったようだ。
「それではお二人様、こちらへどうぞ」
 そう言って鈴仙は二人を案内するのであった。

◇ ◇ ◇

 そして場面は永遠亭の大食堂となる。
「ようこそ永遠亭へ」
 そう言葉を発したのは永遠亭の主である蓬莱山輝夜であった。容姿に見合った人懐っこい笑みを湛えている。
「どうぞ空いている席へお掛けになって」
 と輝夜は妖夢と幽々子に促した。
「では失礼します」
「お言葉に甘えさせて貰いますわ~」
 そうして二人は手頃な席へ付くのだった。

◇ ◇ ◇

 そして永遠亭の住人と冥界組の二人は話に華を咲かせていった。
 それは互いの住まいでの生活はどうとか、うちの従者はどうだとか、最近の幻想郷はどうだとか他愛もない内容であった。
 そんな中で依姫はさも何気なさそうにこんな話を切り出した。
「今宵は折角の催し物なのに、上等な月のお酒を用意出来ないのは残念ですよ」
「まあ、それは何故ですの~」
 それに対して幽々子は暢気に聞き返した。
「それは以前、不覚ながら『何者か』にお酒を盗まれましてね。そのような事を許すなんて私も修行が足りないわね」
 聞かれて依姫はそう返した。いつになく真剣な表情で。
「それは災難でしたね~」
 あっけらかんと幽々子は振る舞った。だが彼女は少し失念したようだ。依姫程の慎重な者がむざむざ気安く自分の失敗話を他人に事に対して。
「……そろそろ本題に入ってはどうですか?」
 依姫の切れ長の眼が一際鋭くなったかのようであった。
「……ええ、気付いていらっしゃったようね」
 さすがの幽々子も、もはやとぼけ切れないと悟り、真剣な表情を見せる。
 ──かつて月との勝負で最終的に決定打となった『月の酒を盗む』行為を行ったのが自分である事が明白である事を認めたのだ。
「でも、何故私だと分かったのかしら?」
「それは浄土である月に紛れ込める幻想郷の有力者は限られているからよ」
 八意様の入れ知恵のお陰もあるけどね、と依姫は付け加えた。
「……それで、私が犯人だと分かって、どうするつもりかしら?」
「さあ、どうしてくれようね……?」
 そのように依姫と幽々子の雰囲気がただならぬものになったのを察して動いたのは──妖夢であった。
「ま、待って下さい!」
 ガタンと椅子から跳ね上がった彼女に対して皆の視線が集まる。
「妖夢?」
 突然の従者の振るまいに幽々子は何事だろうと首を傾げた。
「主人の不手際は私が責任を取るべきです! だから責めるなら私を責めて下さい!」
 それは失態を庇うという、侍らしい高潔な心得であった。
 そんな妖夢に続くかのように動くもう一人の者がいた。
「依姫さん、あなたが怒る事はもっともです。でもどうかここは私に対処させてくれませんか?」
 それは勇美であった。自分の憧れの人に何か厄介な事を起こさせたくないという事であろうか?
 そんな勇美の説得が届いたのか、依姫は表情を少し和らげた。
「分かったわ。貴方がそこまで言うのなら手を打ちましょう」
 そして依姫は人差し指を上に立てながら言う。
「勇美、貴方とそこの白玉楼の剣士、妖夢。その二人で戦って、妖夢が勝ったら私は引き下がりましょう」
「もし、私が勝った時は依姫さんはどうするのです?」
 そこで勇美は首を傾げる。自分が勝った時どう対処するか気にするのは当然であろう。
「その場合は勇美の意見に従うわ」
 依姫は少し微笑みながら勇美を見据えた。
 それを見て勇美は安堵する。
「分かりました。この勝負、受けて立ちます。妖夢さん、お願いしますね」
 勇美にそう言われて、妖夢も胸を撫で下ろしたようであった。
「はい、勇美さん。お手柔らかにお願いしますね。お互い頑張りましょう」
 そして、二人は永遠亭の庭園へと向かい、それに続いて永遠亭の者達に着いていったのだった。
 そんな最中、依姫はほくそ笑みそうなのを堪えるのに必死だった。だが、そんな彼女は気付いていなかった。
 勇美も周りに悟られないように口角を上げている事に。

◇ ◇ ◇

 そして一向は永遠亭の庭園へとたどり着いていた。
「面白い事になったわね。冥界の亡霊さん」
 そこで輝夜は幽々子に軽く言葉を掛けた。
「ええ、ここはお互い楽しみましょう」
 対して幽々子ものほほんとした態度で返した。
「では始めましょうか」
 妖夢は準備万端といった様子で言葉を発した。もはや腹を括っている事がこれで分かるであろう。
「はい、やりましょう」
 勇美も覚悟を決めたという風に振舞った。
「では、始めなさい」
 そこに依姫が試合開始の合図を掛けたのだった。
 遂に始まった、黒を基調とした勇美と白を基調とした妖夢の戦い。この勝負で文字通り白黒付けられるだろう。
 だが、両者ともじっと互いを見据え、中々行動を始めなかった。互いに相手の出方を見計らっているのだ。
 それは二人とも相手の攻撃を切り崩す戦法を取っているからである。勇美に関しては今までの戦い方から見ても一目瞭然だろう。
 一方で妖夢もそうなのであった。同じ剣士として相手の攻撃をいなす事に主眼を置いた依姫よりは剛の戦法寄りであったが、刀を扱う者として柔の戦い方も心得ているのだ。
 だが、先に切り出したのは妖夢の方であった。柔の大切さを知っていても、ここぞという時は剛にならなくてはならない事を彼女は知っていたのだった。
「はっ!」
 掛け声と共に妖夢は足で地を蹴り、勇美へと肉薄していったのだ。
「お覚悟!」
 そう言って彼女は右手用の刀『楼観剣』を鞘から引き抜き、勇美目掛けて振りかざしたのだった。
「来ましたか!」
 勇美はそれを見て、咄嗟に──予め生成していた機銃を懐から引き抜いたのだ。
「【星弾「プレアデスブレット」】!」
 そして、手馴れた様子で自分に馴染んだ星の弾丸を吐く銃の引き金を引いた。
 シャリシャリとかき氷を削るかのような音を立てて次々に弾が打ち出される。
 このままいけば妖夢に命中するだろう。だが妖夢とて剣の腕を磨いた身。そう易々とは攻撃を通しはしなかったのだ。
 楼観剣を振りかざす中で、今度は左手で二本目の刀『白楼剣』を引き抜いた。
 そして、その刀と楼観剣の二本で、彼女に迫り来る星の弾丸を次々と切り落としていった。パチパチと斬られて弾ける星のエネルギーは、どこか不思議な印象があった。
 当然勇美は呆気に取られてしまった。相手の攻撃に合わせて打ったものが決定打にはならなかったのだから。
「これが『二刀流』の力ですか……」
 低く呟く勇美。彼女は今その概念を噛み締めていた。
 二本の刀を使いこなす戦法は依姫でさえも行わない事である。彼女の戦闘スタイルには合っていないからかも知れないが、何にしろ依姫にはない斬新とも言える戦い方故に勇美は彼女との稽古では見られない手法に戸惑うしかなかったのだ。
 真剣というものは創作物で軽々と振り回されるイメージが強いが、実際は非常に重量のある代物なのだ。
 故に二刀流が格好良いからといって、とてもではないが簡単出来る事ではないのである。
 にも関わらず、目の前の妖夢はそれを軽々とやってのけているのだ。その事だけでも彼女の実力を証明しているのだった。
 そして、勇美の放った弾丸は粗方妖夢の二刀流により切り落とされてしまっていた。
 もう一回引き金を引いて応戦すべきだろうか? いや、目の前に肉薄した妖夢はそれを決して許しはしないだろう。
(だったら!)
 ならばと思い、勇美は意を決して奥の手を使う事にしたのだ。
「【爆符「スターバースト」】!」
 そう勇美がスペル宣言すると、彼女の持つ星の銃が突如乳白色に光を放った。
 そしてすかさずそれを妖夢目掛けて投げ付けたのだ。
「何をするので……!」
 攻撃の要である銃を自ら投げ捨てるなんて、どういうつもりだろう? そう思う余裕しか妖夢には与えられなかった。
 何故なら、彼女に投げつけられた銃が一気に爆発したからである。
「!!」
 驚いて、その場から身を引こうとする妖夢だったが、時既に遅しであった。彼女は爆発に巻き込まれて、したたかに身体を弾き飛ばされてしまったのだ。
「くぅ……っ」
 ダメージを少々負いながらも、妖夢は距離を置きつつ体制を整えた。
「くっ……」
 そして、このようなトリッキーな芸当をしでかした勇美を睨み、見据えた。
「やりますね、勇美さん。見事な戦法ですよ」
 漸く息を整えて、妖夢は自分に一杯食わせた勇美に尊敬半分、忌々しさ半分の心持で声を掛けたのだった。
「いえ~、あんまり見事なものじゃないんですよ~……」
 そう間の抜けた声と共に、爆発の煙が収まり、勇美の姿が見えた。
「ええっ?」
 そして妖夢は拍子抜けしてしまった。そこにあったのはまるでコントの爆発に巻き込まれたかのような勇美の姿だったからである。
「これって所謂『自爆技』ですから、そう格好良いものじゃないんですよ……けぷぅ」
 言いながら煙を口から吐く勇美。今の彼女は大丈夫だぁ? と聞かれたら余り大丈夫ではないだろう。
「そうなんですか……」
 妖夢は何か脱力してやるせない気分となるしかなかったのだった。
 哀愁漂った雰囲気となってしまった庭園だが、漸く妖夢は言葉を発した。
「いや……まあ……取り敢えず、仕切りなおしって所ですね……」
「いえ、ダメージは明らかに私の方が大きいですね……ぷふぅ」
「……」
 しかし、シュールな雰囲気を持ち直させるには至らなかったようであった。

◇ ◇ ◇

 だが、いつまでも両者とも気の抜けるようなやり取りをしている訳にはいかないだろう。互いに距離を取り直した二人には再び緊張に包まれていた。
「最初は妖夢さんから来たから、今度は私から行かせてもらうよ」
 言って勇美は新たにまたも銃を生成した。
 勇美が今回銃を使う事に拘っているのは、妖夢が熟練の剣士であるのを意識しての事である。
 漫画では銃よりも剣の方が強いという描写が多いが、実際の戦闘では飛び道具で出も早い銃と、相手に接近しなければいけない剣とでは当然銃に分があるのだ。
 勇美は熟練の剣士たる妖夢と比べて、特別に銃の訓練を受けた訳ではない。しかし、妖夢に勝つには銃に執着するしかないと勇美は踏んだのである。
 そして、勇美が今生成した銃は、愛宕様の力を借りた『炎の銃』であった。
「行きますよ! 【炎銃「フレイムガン」】!」
 そう勇美はスペルを宣言すると、真紅に染まった銃の引き金を引き、銃口から銃身と同じ色の激しい炎を火炎放射器のように放出し始めた。
 その炎は蛇のような胴長の生物のようにうねりながら妖夢に襲い掛かっていった。
 そして蛇が大口を開けるかのように妖夢に覆い被さると、彼女は一気に炎に包まれたのだった。
 それを見て、勇美は「やったか?」と思った。直撃をしたのだから当然だろう。だが……。
「甘いですよ」
 その声の主は他でもない、妖夢であった。
「!」
 勇美は驚いてしまう。ちゃんと攻撃は確かにヒットした筈であったからだ。
「これってどういう……」
 勇美がそう疑問をぶつけようとしたのを遮るかのように妖夢は淡々と告げる。
「【幽鬼剣「妖童餓鬼の断食」】……」
 それが妖夢が炎の奔流に飲まれた時に放ったスペルの正体であった。
 見れば勇美の放った炎を、妖夢の刀がみるみるうちに吸い込んでいったではないか。
 しかも、心なしか妖夢の体力が幾分か回復したように見えた。
「まさか、炎を吸収したのですか……?」
「ええ、いくらかエネルギー補給をさせてもらいましたよ♪」
 妖夢はいつもの生真面目な振る舞いとは違って、どこかおどけた様子で言ってのけた。
「やりますね……」
 対して勇美は、やはり悔しそうな表情で唸った。
 先程の半ば自爆のような反撃でダメージは概ね同等となっていたというのに、これで回復をした妖夢に抜かれてしまったのだから。
 追い込まれたと痛感する勇美。だが、彼女にとっての絶望はこれで終わりではなかったのだった。
 妖夢は刀を一端鞘に納めると、居合いの構えを取った。そしてスペル宣言をする。
「【獄界剣「二百由旬の一閃」】!」
 そして宣言と共に鞘から楼観剣が振り抜かれると、辺りに衝撃のようなものが走った。
 更に、続いて剣圧がほとばしった。
「きゃああっ!」
 それに勇美はものの見事に捉えられたしまったのだった。剣の衝撃により彼女は弾き飛ばされてしまう。
 弾かれてしまった勇美は、したたかに地面に体を打ち付けてしまった。
「ううっ……」
 宙を舞った時の恐怖と、体に走った痛みに思わず唸る勇美。
「やりすぎてしまいましたか……?」
 妖夢は思わずそう呟いた。真剣勝負に情けは禁物だが、相手を必要以上に追い詰めるのもなるべくなら避けるべきであるのだから。
「ひどいですよ~妖夢さ~ん……」
 そして涙声で勇美は妖夢に訴え掛けるかのように唸った。
「大丈夫ですか……?」
 さすがに妖夢は心配になって勇美に呼び掛ける。だが……。
「な~んちゃって♪」
「!?」
「金山彦命、我に力を! そしてスペル発動! 【機銃「航海服者のマシンガン」】!」
 うつぶせ状態だった勇美はいつの間にか両手に持った機関銃の銃口を妖夢に向けると、引き金を引いたのだ。
 そして端を切ったかのように銃口から無数の鉛弾が放出されると妖夢を襲ったのだった。
「くぅぅっ……!」
 唸りながらも当然妖夢は二振りの刀でそれらを切り落としていく。
 ガキンガキンとけたたましい音を打ち鳴らしながら機関銃の弾は順当に切り落とされていった……かのように思われた。
 だが、何せ機関銃から放たれた銃弾。如何せん弾数が多かったのだ。妖夢は全ての弾を切り落とす事が出来なかったのである。
 そして、打ち残した弾は……妖夢本人へと向かっていったのだった。
「くぅっ……!」
 とうとう妖夢は銃弾を、幾つかその身に浴びてしまったのだ。彼女に当たった弾はぶつかるとパンパンと小型の花火のように弾けて衝撃を打ち込んでいった。
 ひとしきり銃弾が妖夢に打ち込まれた後、彼女は思わず後ずさってしまった。
 そして、妖夢ははあはあと息を荒げながら勇美を見据えて言った。
「……勇美さん、とんだ食わせ者ですね。追い詰められて意気消沈しているかと思わせておいて、こうも一転攻勢してくるなんて」
「ええ、何たってこれは『私が望んだ勝負』ですから、ちょっとの事ではへこたれてなんかいられませんって♪」
 勇美はそう得意気に言った後、この勝負を見守っている依姫へと目配せしたのだ。
 その瞬間、依姫ははっとなってしまった。
 月の酒を盗んだ幽々子と一触即発になる……と見せかけた一芝居を打って、勇美を妖夢と戦わせる為の演技だったのであるが。
 ──どうやら一杯食わされたのは依姫の方であったようだ。この展開に持ち込む為に、勇美はわざと依姫の手の内で踊らされたように見せかけたのだった。
 そして依姫は幽々子の方へと見やる。
「まさか貴方、この事を……」
「さあ、どうかしらね~」
 言いながら幽々子は白々しく扇子で口元を隠しながらころころと笑った。
「……」
 やはりこの者はとんだ食わせ者だ。こうも二度も自分を欺くとは。そう依姫は思うしかなかったのだった。
 ここで視点は勇美達に戻る。新たなスペルを発動した勇美であったが、まだ彼女の攻撃は終わってはいなかったのである。故に勇美は攻撃を再開する事とする。
「何勘違いしているんだ? まだ私の機関銃攻撃は終了してないわよ?」 
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