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人徳?いいえモフ徳です。

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五十九匹目

「という理由で砂糖の大量摂取は肥満などの生活習慣病の原因となりますのでご注意下さい」

クリスティナ様とリオネ様はアイテムボックスを使えないという事で、僕はお二人が帰る馬車に乗せられ王城に来る事となった。

サイダーの入った瓶とソファーと砂糖とレシピを献上した。

「ああ。わかった。気を付けよう」

国王様が頷いた。

さがっていいと言われたのでマナー通りに下がる。

部屋を出るとボーデンがいた。

「お前も大変だなぁシラヌイ」

「ボーデン、ちょうど良かった。相談があるんだ」

「いいぜ。来いよ」

謁見の間からかなり歩いて、ボーデンが与えられている執務室に着いた。

もう慣れた物だが、相変わらず気味の悪い瓶が並んでいる。

仕事道具だから仕方ないし、幾つかはボーデンに薬品系錬金術を教わった時に使ったけど。

テーブルを挟んで、ボーデンと向かい合うようにソファーに腰かける。

「で? 相談って何だよ」

「ああ。うん。店で使う調味料の事なんだ」

アイテムボックスから白い粉の入った小瓶を二つ取り出す。

「この薬品の名前はサッカリンとサッカリンナトリウム。砂糖よりもとても強い甘味を出すんだ」

「砂糖とは違うのか?」

「えーと…前に分子式教えたよね? 砂糖とサッカリンは式が違うんだよ」

「要するに全くの別物って訳だ」

「で、これどれだけ食べても太らない、健康に害も無い優れものなんだよ。少なくとも僕の前世では」

「マジで?」

太らないって所に反応した。

ボーデンも女の子なんだなぁ。

「うん。でも一応有機化合物だし、こっちの世界の薬品と化合しないとも限らないからさ」

サッカリンもサッカリンナトリウムも一応安定した物質で、普通に調理する場合に置いては危険な化合物になることはない。

が、それは前世の世界の話。

この世界には魔法や魔力というファクターがある。

それらがどう作用するかが怖いのだ。

「アタシに協力しろって?」

「ダメかな? 」

「いや。構わねぇよ。最近エリクシールの調合以外やることが無くて暇してたんだよ。
傘下の暇な錬金術師連中にも手伝わせよう」

「ありがと、ボーデン」

「よし。じゃぁ報酬としてもふらせろ」

手招きされたので、ボーデンの隣に腰かける。

尻尾を差し出すとボーデンが両手で尻尾を抱き締めた。

「お前、尻尾ばっかりでかくなるな」

「人が気にしてる事に触れないでよ」

僕の尻尾は今も少しずつ大きくなっている。

でも身長は全く伸びる気配もないし、筋肉もつかない。

まぁ、お父様がハイエルフ、お母様が神獣。

つまりは長命種なので成長が遅いのは仕方ないのだけど…。

「ま、気にすんな。タマモ様なんて建国の時から姿が変わってねぇらしいしな」

「くゅー…」

気長に待とう…。








別にくーちゃんやメリーちゃんに身長差付けられそうになって悔しい訳ではない。

悔しい訳ではない! 
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