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魔法少女リリカルなのはStrikerS~青年と機動六課物語~

作者:雪月花
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第15話『ホテルアグスタ』

 sideティアナ・ランスター









出張任務から帰ってきてからの数日間その間も毎日毎日基礎訓練……正直自分が強くなっている実感が全然わかないでもスバルやエリオ、キャロのような優秀な仲間がいて周りには天才と歴戦の勇者ばかり…。

 カズマも毎日面倒くさがりながらも訓練をこなし最近はどんどん力をつけて来ている、あたしだけ…あたしだけがみんなから置いて行かれている。

 なぜ、自分がここに居るのか……なぜ、あの人はあたしを部下に選んだのか…最近は、そんなことばかりを考えている……でも、今はもっと強くなって自分の強さを証明するしかない。









 魔法少女リリカルなのはStrikerS~青年と機動六課物語~
 第15話『ホテルアグスタ』









 sideカズマ・キサラギ








はやて「ほんなら今回の任務のおさらいや。今まで不明だったガジェットドローンの制作者及びレリックの収集者は現状ではこの男…違法研究で広域指名手配されている次元犯罪者ジェイル・スカリエッティの線で捜査を進めてる」

フェイト「こっちの捜査は私が進めるけどみんなも一応覚えておいてね」

F全員「はい!」


 フェイトさんに返事をして再びモニターに映っているスカリエッティの写真を見る……ふむ、高笑いとか似合いそうな顔してんな。


リイン「で、今日これから向かうのがここ。ホテルアグスタ」

なのは「骨董美術オークションの会場警備と人員警護。それが、今日のお仕事ね」

リイン「取引許可の下りているロストロギアがいくつも出品されるので誤認してガジェットが出てくるかもしれないので私たちが警備に呼ばれたです」

フェイト「この手の大型オークションだと密輸取引の隠れ蓑になっていたりするし…いろいろ油断は禁物だよ」

はやて「現場には昨夜からシグナム副隊長やヴィータ副隊長など数名の隊員が張ってくれてる」

なのは「私たちは建物の中の警備に回るから前線は副隊長の指示に従ってね」

F全員「はい!」


 さてさて、何も起きなければいいけどな。









 ◇◇◇◇◇









カズマ「なあ、ティア」

ティア「なによ?」


 隣に居るティアに訪ねる。ティアは軽く睨んでくる。


カズマ「お前、最近どうしたんだ?」

ティア「別にあんたには関係ないわよ。無駄口叩いてないでしっかり見張りなさい。あたしは向こうに行くから」

カズマ「へいへい」


 そう言うとティアは一人反対方向の見回りに行った……まったく関係ないわけ無いだろうが。


カズマ「こちら、スターズ05。シグナムさん聞こえますか?」

シグナム『ああ、聞こえている。なにか問題でも起きたのか?』

カズマ「いえ、特に何も起きていません。俺は少し森の方を見てこようかと思うんでその許可が欲しいんです」

シグナム『……わかった、許可しよう。だけど油断はするなよ』

カズマ「了解」


 シグナムさんとの念話を切って森の方に歩みを進めた。









 sideティアナ・ランスター








ティア「まったく、あいつはこういう時は妙に勘が鋭いんだから」


 そう呟きながら見回りを続ける……まあ、そこがあいつの良いところなんだけどね。


ティア「………」


 あいつがあたしの事を気にしていてくれている事が嬉しくて少し口元が緩む。
だけど、あたしの頭にはあの夜の光景が浮かぶ。なのはさんとカズマが抱き合っていて…そして……。


ティア「偶然よね偶然」


 そう心の中で結論をだす……ていうか、なんであたしがあいつの事でこんな事考えているのよ!
いいじゃない、あいつが誰を好きになろうとあたしの知った事じゃないわ!


ルキノ『ガジェットドローン陸戦型来ました!数は30、35…』

アルト『Ⅲ型も4機います!』


 その時、ロングアーチから通信が入った。
どうやら来たようね。今は、あいつの事は後回しで任務に集中しないと!


ティア「シャマル先生!あたしも状況が見たいです!前線のモニターもらえますか?」

シャマル『了解。クロスミラージュに直結するわ。クラールヴィントお願いね』


 シャマル先生から送られてきた前線のモニターを見ると今まさに副隊長達がガジェットを倒している所だっだ。


ティア「これで、能力リミッターが付いているって言うの…?」


 そう、呟きあたしはギュッっと拳を握る。
やっぱり、あの人達は凄い…そう思うと自分の弱さに腹が立ってくる。


キャロ『ティアさん、ケリュケイオンに反応!転送魔法でガジェット出現!援護お願いします!』

ティア「了解、直ぐにそっちに行くわ!クロスミラージュ!」

クロスミラージュ[set up ready]


 キャロからの念話を切ってバリアジャケットへとセットアップする。








 sideカズマ・キサラギ









カズマ「ちぃ!こいつ等数が多いな!」


 俺は一人森の中でガジェットと戦闘中。
やっぱり、一人できたのは失敗だったな……てか、こいつ等さっきより動きが良くなったような気がする…。


カズマ「誰かが有人操作に切り替えたのか?―――うぉ!?」


 ギリギリの所でガジェットからの攻撃をかわす。


カズマ「ブレイブハート!カートリッジロード!」

ブレイブハート[load cartridge]


 銃口をガジェットの団体さんに向ける、このまま一掃してやる!


カズマ「魔力集中……くらえ!イノセントバスター!!」


 銃口に魔力を集中させてそれを一気に射出、なんとかその場にいたガジェットを破壊することができた……だが、時間をかけ過ぎたな。
みんなは無事だろうか…。


カズマ「…早く戻らないとな」


 そう呟き、スザクに乗る。最高速でぶっ飛ばすぜ!!









 Sideティアナ・ランスター









 敵の量が全く減らない。
それに、強化されているせいで当てたとしても全く手ごたえがない。だけど、ここで守りに回ったらいきづまるここは攻めなきゃ!


ティア「エリオ、センターに下がって!あたしとスバルのツートップで行く!」

エリオ「は、はい!」

ティア「スバル!クロスシフトA、行くわよ!」

スバル『おうっ!!』


 スバルに指示をだして、前線に駆け出す。
スバルがウィングロードでガジェット達を引き付けている間にあたしは、カートリッジを4つロードする。


ティア「証明する、特別な才能や魔力が無くっても、一流の隊長たち部隊でだって――」


 周りに浮かんだ無数の魔力弾に自分の魔力を上乗せして、ガジェットに狙いを定め引き金に指を添える。


ティア「あたしの……ランスターの弾丸はちゃんと敵を貫けるんだって!」

シャーリー『4発ロードなんて無茶だよ!それじゃあ、ティアナもクロスミラージュも―――!』

ティア「撃てます!」

クロスミラージュ[Yes.]

ティア「クロスフアイヤー!」


 一気に引き金を―――


ティア「シュート!!」

 引く―――!









 Sideカズマ・キサラギ









カズマ「ん?あれは……スバル!」


 ちょうど、防衛ラインに戻ってきてみるとスバルがウィングロードで逃げ回っている―――いや、違う…これは、クロスシフトA。ティアの作戦か?
だけど、いま使う作戦じゃない……なんか、いやな予感がする。


カズマ「!?あの馬鹿!?」


 その予感は見事的中して大量に放たれたティアのクロスファイアーの弾丸が一つだけ狙いをそれスバルの方へ向かう。


カズマ「スザク!!」


 急いでスバルのところに向かうスザクに俺のありったけの魔力を使い、だせるスピードの限界までだす。
これでも、間に合うかどうか瀬戸際だ!自分に防護結界を張っている暇はない!


カズマ「間に合えーー!!」


 さらに、スピードを上げるこの後自分がどうなっても構わない!


カズマ「よし!間に合っt―――っ!?」


 ギリギリの所でスバルと魔弾の間に自分の身体を滑り込ませティアの魔弾が直撃、その魔弾の勢いでスザクから足が離れ身体が空中に投げ出され重力により落下する。
 

スバル「カズマー!!」


 俺が最後に聞いたのは自分の名前を呼ぶスバルの声だった。









 sideティアナ・ランスター









ティア「うそ……で…しょ…」


 カズマが落ちる……あたしの撃った…(たま)が……あいつに…。


ヴィータ「ティアナ!この馬鹿!!」


 ヴィータ副隊長の声でハッと我に返りヴィータ副隊長の方を見るとカズマを支えて空中に浮いていた。


ヴィータ「無茶やって、味方を撃ってどうすんだ!」

スバル「あの、ヴィータ副隊長。今のもコンビネーションのひとつで―――」

ヴィータ「うるせぇぞ、タコ!なにがコンビネーションだ!その結果、カズマに直撃したんだぞ!もし、こいつが間に入らなかったらお前がこうなってたかもしれないんだぞ!それでも、そんなこと言えんのか、お前は!!」

スバル「それは……」

ヴィータ「もういい、後はあたしがやる!お前等みたいな馬鹿は、二人まとめてスッ込んでろ!」


 そう言うと、ヴィータ副隊長は一旦カズマをシャマル先生の所へ連れて行き直ぐに前線に戻っていった。
あたしとスバルは、ただその場に立ちつくすしか無かった……。








 side八神はやて








はやて「え、カズマくんが!?それで、大丈夫なん?」

シャーリー「はい、シャマル先生によると命には別状無いそうです。一応、精密検査も含めて今、病院に搬送中です」

はやて「それならよかった。ほんなら、残りの報告は後で…うん、ほな」


 通信を切って「ふぅ~」っと息を吐く。


ヴェロッサ「そこの、お嬢さん。オークションはもう始まってるよ」

はやて「あ…」


 見知った顔が近づいてくる。


ヴェロッサ「いいのかい、中に入らなくて?」

はやて「ご親切にどうも、せやけどこれでも一応仕事中ですんで。どこかのお気楽査察官とちごて忙しい身なんです」

ヴェロッサ「ほほぉ……」

はやて「てか、またお仕事をほったらかして遊んでるんとちゃいますか?アコース査察官」

ヴェロッサ「酷い言いようだね。これでも、一応仕事中だよ。はやて」









 sideヴィータ









ヴィータ「よし、全機撃墜」


 あたしはグラーフアイゼンを肩に担ぎ一息入れて軽く辺りを見回す。


シグナム「こっちもだ。召還士は追い切れなかったがな」

ザフィーラ「だが、いると解れば対策も立てやすい」

ヴィータ「だな」


 ちょうど、シグナムとザフィーラも戻ってきた。そんなとき、あたしはふとあることに気がつく。


ヴィータ「そう言えばティアナの奴は何処行った?」

エリオ「はい、裏手の警備に…」

キャロ「スバルさんも一緒です」









 sideティアナ・ランスター









スバル「……ティア、向こう終わったみたいだよ」

ティア「そう……。あんたは行きなさい、あたしはここの警備をしてるから…」

スバル「あのね……ティアは全然悪くないよ!私がもっとしっかりしていれば、カズマも―――」

ティア「行けっつってんでしょ!!」


 あたしは、スバルに強く言い放つ、最悪だ、自分の失態なのにスバルに当たるなんて…。


スバル「ごめんね……また、後でね。ティア」


 そう言ってからスバルの足音が聞こえ徐々に遠ざかっていく。
それを聞いてあたしは内心ホッとする、こんな顔誰にも見せられない。


ティア「あたしは……あいつを……っ」


 後悔という言葉だけが脳裏を過ぎる。
だけど、真実は変わらない、あたしが……カズマを撃ってしまったという事実は決して……。


ティア「ごめんなさい……ごめんなさい……ごめん…なさい……」


 瞳から涙を流しながら誰にも聞こえないくらい小さな声で謝り続ける。
それと同時に胸がズキズキと痛みすごく締め付けられるのがわかる。


 ああ、そうかあたしはあいつの事が……カズマの事が好きだったんだ。 
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