| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

おぢばにおかえり

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第五十八話 入学前のその三十七

「千里ちゃんそんな感じで奇麗になって」
「それでなのね」
「デートとかすればいいわね」
「デートですか」
 そう言われるとです。
「まだ経験ないですけれど」
「高校の時も?」
「はい、そんなことは」
「あの子と一緒に歩いてない?」
「あの子っていいますと」
「だから後輩のね」
「阿波野君ですか」
「あの子とは何もないのね」
「はい、ないです」
 私ははっきりと答えました。
「そうしたことは」
「何か一緒にお墓地に行ったり神殿に行ったりしてるでしょ」
「それは」 
 別に、でした。
「何でもないですよ」
「そうなの?」
「はい、あの子が自然についてくるか」
 それか、あです。
「一緒にって言いますから」
「それで、なのね」
「一緒に歩いているだけで」
 本当にそれだけです。
「何もないですよ」
「そうなのね」
「はい、何でもないですよ」
「あの子はどう思っているのかしら」
「どうとも思ってないですよ」
 阿波野君にしてもです。
「絶対に」
「そうなの?」
「はい、あの子は只の後輩で」
 本当にそれでしかなくてです。
「私にも何ともです」
「思ってないのね」
「そうですよ」
 私に何か思ってるとかないです、絶対に。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧