| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

おぢばにおかえり

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第五十八話 入学前のその三十四

「怒ろうかって思ったし」
「千里もかなり怒ったのね」
「そうなの、本当にね」
「気持ちはわかるけれど立腹はよくないわよ」
 このことは注意されました。
「いつも言ってるでしょ」
「ええ、それはね」
「だからね」
「そうした時こそよね」
「気持ちを落ち着けて」 
 そうしてというのです。
「あの子にも言うのよ」
「わかってるけれど」
 それでもでした、あの時は。
「立腹したわ、先輩のことを言われたら」
「悪くだとっていうのね」
「どうしてもね」
「だからそれがね」
 どうしてもというのです。
「よくないのよ」
「そこをあえてなのね」
「立腹せずにっていうのね」
「そう、落ち着いてね」
「阿波野君に注意すればいいのね」
「千里は確かにその人を尊敬していても」
 お母さんは私に言いました。
「他の人はそうじゃないし」
「阿波野君もなのね」
「悪いお話ばかり聞いたら」
 そうならというのです。
「悪く思うことも当然だし」
「それはね」
「千里もわかるでしょ」
「その人の悪いことばかり聞いたら」
 それが嘘でもです。
「やっぱりね」
「悪く思うでしょ」
「ええ、どうしてもね」
「だから彼もね」
「阿波野君もなの」
「そう思ったのよ、それできついことを言ったのよ」
 先輩ご自身に対してというのです。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧