| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

仮面ライダーLARGE

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第六話「AGITΩ」

 
前書き
平成ライダーの一人を出します。タイトル見ればだれかわかりますよね~ 

 
 滝さんと敷島博士の助けもあって、俺は無事にも今日中に復帰することができた。しかし、この後が面倒だった。
 俺の危機を感知して弾の奴が駆けつけに来てくれたようで、そこで対面した敷島博士はいろいろと弾や俺たちに質問攻めを続けた。
 彼はどうやら強化人間のライダーに興味があるらしいのだが、一方の人間ライダーを拒絶したり嫌っていたりしているのだ。その理由はわからない。滝さんに至っては1号ライダーから続く歴代ライダーとの交流から彼らのことしか知らないために最近のライダーには興味がないらしい……いい人なのに少し残念だ。
 「……で、その敷島博士さんよ」
 博士のこれまでの経緯を聞くにつれて弾の表情は徐々に曇り始めた。
 「ようするに、アンタが俺や雷羽、朱鳥を強化人間なんかにしやがった奴らの同類ってことなんだな?」
 「おい少年、この爺さんだってな……」
 滝がフォローするも、椅子に座り続けては弾の強張った表情を見る敷島はしぶしぶと口を開けた。
 「いいや、君の言うとおりだよ。私達、科学者が未来ある君ら若者を強化人間に替えてしまったのは誰でもない私達だ。奴らに誘拐され、人質を取られていたといえどもそんな言い逃れは通用せん。今更言い逃れはせんし私のことは好きにするといい……」
 と、言い掛けた途端。「だが――」とこう付け加えた。
 「ワシを殺す前に――このワシの復讐を終わらせてからにしてくれないか?」
 「爺さん、どういうことだ?」
 復習なんて華やかじゃないなと滝は目を細めた。
 「刑事さんがいる場では言いづらいがな――昔、孫とその家族が人間のライダーから命を奪われた過去がある……」
 「……浅倉か?」
 滝のその問いに敷島は羽織っている白衣を両手で強く握りしめると、その眼鏡越しの目からはわずかに涙が浮かんだ。
 「娘の家族が全員奴に殺されてな。当時奴は逮捕後死刑が確定される確率が高かった。しかし、あの悪徳弁護士……北岡の弁護によって奴は死刑を免れて懲役十年の判決で終わった。ワシの家族以外にも多くの命が奪われたというのに――さらに奴らは仮面ライダーの力すらも手にした。奴らがこれ以上人々を苦しめないためにも、ライダーを生み出した本家である私の手で奴らを葬るのだよ」
 そういうと、枯れ葉白衣のボタンをはずして翻すと、そこにはアーマーで覆われたボディーと腰部にはライダーベルトが装着されていた。
 「アンタ……まさか体を?」
 滝は目を丸くして、絶句しかけた。
 「うむ、奴らを葬り去るための力だ。かのライダー『ディケイド』と同スペックの性能を秘めたこのボディーは生身のライダーたちの肉体を粉々に粉砕してやれる力は十分にある!」
 「北岡と浅倉――確かにインターポールの情報によれは二人ともミラーライダーっていうことらしいが……」 
 と、滝はかつてのデータからライダーの情報を思い出した。インターポールは今に至るまでライダーの情報をくまなく捜索し続けている。もちろん、今この場にいる雷羽や弾がライダーだという事も知っている。
 「……」
 そんな会話を横に、俺はこの敷島博士がこうもライダーの種類に偏見を持っているのがなぜなのかを知り、心が苦しくなった。
 ライダーの全員が全員、正義の味方じゃない。もちろんライダーにもショッカーライダーやシャドームーンのような悪の仮面ライダーの存在も否定できないだろう。
 しかし、悪い強化人間のライダーが居れば、当然わ悪い人間が仮面ライダーになっていたりもする。
 全部の人間ライダーにも悪いやつばかりじゃなく正義の味方だっている。しかし、中には仮面ライダーが殺人鬼だったり、正義を捨てて金のためならなんだってする悪徳な人間がライダーになって活躍する事実に、ライダーに憧れる彼の心はより痛んだ。 そして、敷島博士はそんな悪い人間ライダーによって大切な人たちが殺されて、自ら復讐に走るために自身の身体を強化人間に改造するその姿は実に悲しい結果だ。
 「敷島の爺さん」
 しかし、弾も最初は彼に対する怒りから、哀れな顔になって博士にこう言った。
 「……アンタの気持ちは、十分わかるぜ。大切な人を悪党の人間ライダーに殺されたから、それで人間ライダーを恨む気持ちっていうのは否定はしない。偏見持つなって言われても被害者の遺族からすれば凄い難しいもんだよな。でもさ、こんな若造の俺が言うのもなんだけど、人間のライダーにも結構真面な奴が多いんだぜ。なぁ、いっそのこと人間のライダーも味方に加えて悪い奴らをやっつけてみる気はねぇかよ?」
 「……」
 しかし、敷島は黙ったままだった。今の彼にはまだその決意には至っていないのだろう。当然と言えば当然だ。
 「……考えておこう。しかし、わしがマンライダーを憎むことには変わりない。こんなご時世だ、いつしか人や機械も『良心回路』を備え付けなくては制御できん時代にもなりかねんな」
 そんな意味深い言葉を残した彼は、俺たちに背を向けた。
 「まぁいいや。雷羽、朱鳥を助けるために今から仲間集めに行くぞ。滝さんってのも来るか?」
 次に弾は滝にも振り返った。
 「俺がか?」
 「いつまでも強化人間のライダーびいきするんじゃなくて、人間ライダーにも興味持ちなよ。すげーいい奴らだからさ!」
 「……」
 まぁ、本郷達は世界中を飛び回って日本へ滅多に駆けつけに来ることは難しいだろう。日本は今どきのマンライダーたちが守っているというのだし、ここはダメもと気分で試しに人間ライダーのツラを見てみる必要もありか?
 「そうだなぁ――ああ、面白そうだし行ってみるぜ。いつまでも強化人間をひいきするもんじゃねぇしな。インターポールたるもの、何にでもグローバルにだ!」
 そういって、滝はサングラスをかけて羽織っていたジャケットを着なおすと、
 「――敷島さんよ、今回はウチの雷羽を助けてくれた恩があるってことで。今回ばかしは礼を言っとくぜ……まぁ、また来るかもしれねぇがな」 
 それだけを言い残して、滝を含めた三人は敷島博士の自宅を後にした。
 「……」
 最後に一人残った敷島は、ふとデスクに飾ってある写真立てを手に取った。
 写真立てに入れられた写真には、今は亡き息子とその嫁、そして自分のことが大好きでいてくれた小さい孫娘が写っている。
 孫は、毎日この研究所に遊びに来ては「おじいちゃん! おじいちゃん!」と大変懐いてくれて、そんな孫は彼にとっての宝であった。
 しかし、そんな孫と娘夫婦が目の前で血まみれとなって自宅の荒らされた居間で重なり倒れている記憶が蘇ってしまうと――
 ――許せというのか、奴らを……!
 写真に数滴の涙がこぼれ落ちた。


 
 そのころ、雷羽と滝を連れて弾は東京都内のとある喫茶店を目指して歩き進めていた。
 「っつうかさ、弾っての」
 気になっていた滝は思い切って団に訊ねた。
 「あ?」
 「今から合うその人間ライダーはどういう奴なんだ?」
 「すっごい良い人だって。安心しなよ滝さん」
 「それで、その人はどういう人なんだ?」
 次に俺が訊ねた。
 「ああ、初めて出会ったライダー先輩で、俺に料理を教えてくれた恩師でもある人だ。おかげで今じゃあ我が五反田食堂の味はリッチでマイルドな味付けで大評判!」
 「どういう人なんだ?」
 俺は訊ねた。
 「あってみりゃわかるよ! 本当にいい人なんだ。天然だけど」
 弾の紹介を聞いてる間にも目的のレストランにたどり着いた。
 「あ、あぎ……なんつうんだこれ?」
 看板にはアルファベット標識でレストラン「AGITΩ」という看板があった。
 「アギトっていうんだよ」
 と弾の答えに、滝はそれを聞いてハッと思い出した。
 「もしかして――資料にあった仮面ライダーアギトのことか?」
 一時、クウガかクウガの変異体なのかと誤認され、間違われることもあったが、ちゃんと別の亜種ライダーという結果におわったものだ。
 けっこうオシャレで綺麗なレストランであることから、ここに仮面ライダーの人間がいるなんて印象がどうもわいてこない。
 「とりあえず入ってみろよ」
 そういって、弾は先頭を切ってレストランに入った。
 扉についていた鈴が店内に響いて、三名の若い客が入ってきたことで一人のウェイトレスの女性が声をかけてきた。
 「いらっしゃいませ! ご指定のお席は喫煙と禁煙のどちらで――」
 「やぁ真魚さん!」
 そのウェイトレスの名を弾が呼ぶと、
 「あら、弾君! 久しぶり~」
 「翔一さん、帰ってきてる?」
 「ええ、翔一君なら一週間前にフランスから帰ってきたわ。待ってて、今呼んでくるから」
 そういうと、ウェイトレスは厨房の方へ行って、その翔一という青年を呼び出してきた。
 「うわぁ~弾君! 久しぶりだねぇ」
 「翔一さんもお変わりないようで――フランス、どうでした?」
 「いやそれがさ――フランス料理の修行でフランス来たのにいろいろとややこしい事件に巻き込まれて参ったよ? まぁ、ここじゃなんだし丁度休憩に入るから席に座って待っててよ!」
 そういって、翔一という青年は厨房へ帰って行った。
 「なんだ、あいつは――」
 滝はそんな翔一の雰囲気が、2号ライダーの一文字やアマゾンみたいに陽気で天然っぽい印象と重なった。
 「あの人が仮面ライダーアギトで、俺に最高の料理を教えてくれた恩師なんだぜ滝さん」
 「ふ~ん……」
 いがいと爽やかな青年で自分が想像するシリアス像とはすこしかけ離れたことから妙に調子が狂うも、その瞳だけは自分が知るライダーたちと同じ目をしていた。
 その後、三人は席に座っていると、休憩が入った翔一がこちらへ向かい合わせに座ってきた。
 「いやぁ~フランスも結構スリルあって凄かったよ? 料理の修行で来ただけなのにまさか、あんなことやそんなことになるなんて驚きの毎日でさ」
 「フランスで何かあったんですか?」
 と、アギトである翔一の身を思ってからやや不安に弾は訊ねた。翔一も彼と共にショッカーの怪人と戦ったこともあるから、より詳細かつ面白そうに話し出した。
 「いやさ、フランス来て早々にあのデュノア社のお嬢さんがデブっとしたライダーから狙われててさ、助けようと思ったら実はそのライダーは正義の味方でデュノアのお嬢さんを守る側だったんだよね。いやぁ、真の黒幕はバダンとかいう怪人でさ、そのライダーと一緒に戦って怪人を倒したんだよね~……まぁ結局最後はデュノア社のお嬢さんもハッピーエンドだし、フランス料理の修行も無事に終わったことだし、一件落着で俺は日本へ帰ってきたのでした~!」
 「でっぷり? ライダー……」
 すると、翔一のいう「でっぷりライダー」という単語に、弾と滝は同時に俺の方を見た。
 「え、何だよ? いっとくけど、俺はこのかた海外には一度も行ったことないからな」 
 「そう――だよな? 英語の成績が常に1のお前に海外なんていけないよなぁ」
 そう弾が納得した。悔しいが英語は苦手な科目だった。
 「確か――そのライダーはショッカーから脱走してきた味方側の人だったね」
 そう翔一は続けた。
 「そうか、俺や雷羽達以外にもショッカーに改造された人間がいたんだな……」
 できればぜひとも会ってみたいものだ。もし話が通じるのなら仲間に加えたいと弾は思ったことだろう。
 「そうなんだ――で、そろそろ本題に入りたいんだけど翔一さん」
 そこで、弾はようやく本題に入った。周囲もその空気に包まれたことで翔一も今までの笑みは消えて真剣なまなざしにあくぁった。
 「……どうしたの?」
 「翔一さん、貴方の力を貸してほしいんだ!」
 「――話してみて?」
 三人に微笑みながら、翔一はこれまでのいきさつを弾たちから聞き終えると、両手を組んだ。もちろんうなずきながら納得する方である。
 「……そうか、わかったよ! その、朱鳥ちゃんっていう雷羽君のガールフレンドを助けるために協力するね!!」
 「が、ガール――」
 俺の頭上から真っ白な湯気が沸き上がった。第三者からそんなこと言われるなんて思ってもみなかった。
 「あれ? 違うの? 雷羽君とその子はカップルじゃないの??」
 首をかしげる翔一を見て滝は、
 ――こいつ、隼人やアマゾン以上に天然だ……
 「でも、ありがとうございます!」
 俺はふかぶかと仮面ライダーアギトこと、津上翔一さんにお礼を言った。
 「気にしないでよ。お互いライダー同士助け合わないとね!」
 「よし! これで役者はそろったな。しかし――」
 しかし、滝は本当にコイツが仮面ライダー化という風格がどうも疑わしかった。そのため、
 「俺も一緒に戦闘に出てもいいか? なに、俺もちょっとしたライダーのアシスタントを務めてんでな。アギトっての――お前の戦いぶりを見せちゃもらえないか?」
 そうアップで迫る滝のニヤニヤに翔一はついつい苦笑いした。
 「あはは――どうぞ」
 「そんじゃ、よろしくな!」
 そういって、ドン! と彼は翔一の背中を叩いて笑い出しながらその片腕を翔一の後首へ絡めて親しく接し始めた。
 「――この人……」
 そんな滝を見て、弾は彼が翔一に興味を持ったことを感じた。彼はそこら辺にいる堅苦しい大人とは違って純粋で誰とでも仲良くなれる男のようである。
 さっきまでは強化人間のライダーだけしか信用していないという偏見が見られる彼であるが、別に人間ライダーをストレートに嫌うような人には見えない。おそらく、強化人間の先人ライダーと共に幾度も世界を救い、今でも行動を共にしているため、人間ライダーとのかかわりはなかったのだろう。
 一見単純極まりない男に見えるが、少年のように純粋でまっすぐ、正義感がつよくて自分が抱くライダー象を最も大切にしている人なんだな。きっと、仮面ライダーを名乗る悪党は人間だろうが強化人間だろうとも許せないのだろう。
 すると、そんな間に勢いよく扉のベルが鳴り響いた。
 二人のスーツを着た男が勢いよく彼らの元へ駆けこんできたのだ。
 「滝さん、こんなところにいたんですか!」
 一条警部である。そして彼の隣にいるもう一人の男は、
 「津上! また君の力を貸してもらいたい!!」
 かつて、アギトと共に戦った戦友で警視庁怪人対策班「SAUL」より仮面ライダーをベースに開発されたメカスーツG3Xの装着者の氷川誠警部補である。滝や一条同様の仮面ライダーの戦友と呼べる人間の一人だ。そんな彼が先輩の一条警部と共にレストランAGITΩへ来店してきたのは単に飯を食いに来たわけではない。
 「えぇ!? でも、俺もこの人たちにも協力しないと――」
 「それには心配はいらんよ。内容は同じだ」
 そういって、一条は持っていた折り目だらけの紙を滝に渡した。
 「滝警部、これを!」
 渡された紙に書かれていた文通には――
 「こいつは、果し合いじゃねぇか! 朱鳥ちゃんを攫ったアイツらの!!」
 「なんだって!?」
 俺は立ち上がってその文通を受け取って内容を読み上げた。
 『明日、蓬町で待っている。約束を破れば桑凪朱鳥の命はない』
 「よりにもよって場所が蓬町だなんて!」
 朱鳥に連れられたあの商店街の人たちが住む下町。連中はあえてこの場所を指名したというのは、こちらにハンデを付けるためか? 
 「住宅地をそんな場所に指定するなんて!」
 一警察である一条と氷川は、ショッカーの残忍性に怒りをあらわにする。
 「ショッカーに卑怯も酔狂もラッキョもねぇよ。奴らは勝つためなら手段を択ばない外道共さ」
 ショッカーという組織をライダーたちの次に深く知る滝は、予想通りの予感が的中したようである。
 「一条警部、それと氷川っていうG3Xの。勿論二人も協力してくれるよな」
 滝の問いに二人は力強く頷いた。

 *

 後日、蓬町に向かって空を行く一帯の人型のシルエットがあった。体は人の体であるが、背に生えた黒い翼にカラスを象った頭部は人間ではなかった。
 ラージにとられた片腕を鋭い刃へ改造したカラスロイドは憎きラージを葬るというリベンジに燃えていた。
 「クックック……仮面ライダーLARGE――九豪雷羽! 今日こそがキサマの最後だ」
 上空をマッハ3の速度で蓬町へ向かうカラスロイドであったが、脳内のレーダーシステムが後方から迫りくる別動隊の機影を確認した。
 ――ISか?
 うるさい蚊が飛んできたというような様子で彼は面倒だがとその場で浮上して止まった。
 すぐにも自衛隊のISが見えて、カラスロイドの周りを虜囲んだ。
 「そこのIS、所属と行動を――」
 そのISの一人が問おうとした途端、彼女立は一斉に自分の目を伺った。
 体は人間のはずが、背には黒い翼が生えて頭部は鳥――鴉の頭になっている。さすがにコスプレでも何でもないし、人間かと疑うほどであった。まるで、日本の某妖怪を思わす姿だ。
 さらにもう一人のISは、その目の前の対称がISでもなければ人間でもない人ならざる存在であることに気づいた。
 そして、震えながらその存在の名を呟く。
 「か、怪人……!」
 刹那、そのISは一瞬の風と共に体を一瞬で八つ裂きに切り裂かれ、肉片に変わって地上へ崩れ落ちてしまった。
 「なっ!?」
 隣に浮上している僚機はそれに気づいたころにはおそく、自身もまた同じような姿に果て、周囲のISは自身が気づいたころには、己が体がただの肉片に替えられてしまい、ISの部隊は一瞬でカラスロイドの鋭い凶器の刃によって惨殺されてしまった。
 「人間の分際で、我らショッカーの前に立ちふさがるなど馬鹿な奴らだ」
 しかし、こうもISというハエがうるさく上空や地上を偵察してショッカーとバダンの怪人を捜索しているとなるとやや面倒である。
 「まぁいい、今はLARGEを葬ることだけを考えておくか――」
 そういうと、彼は蓬町とは違う方向へと進路を変えたではないか。 
 

 
 蓬町では昨日から警視庁より避難誘導が行われていた。怪人とライダーの先頭に巻き込ませないためにも早急に商店街を無人と化したのである。
 そんな商店街の入り口に唯一いるのは、雷羽と弾、翔一、滝や一条・氷川率いるG3ユニットである。
 その中で滝は黒いプロテクトアーマーを纏い、頭部は髑髏を象ったメットを被り、両手にはG3ユニット御用達のサブマシンガンGM01スコーピオンを二丁両手にしており、その彼の隣にはライダーをベースに開発された強化外骨格のメカスーツG3Xを纏う氷室と、G3システムの量産型であるG3マイルドを装着した一条の姿であった。
 「へぇ~あんな大きな子までがライダーにねぇ……」
 彼らの隣に停車している専用機動車Gトレーラー車内の指令ルームより、ユニットメンバーの一人で尾室隆弘という青年はモニターから雷羽の体系を見て、氷川のようなG3装着者や仮面ライダー達に憧れる気弱で影の薄い自分と比較してしまった。
 「強化人間という、兵器にさせられた可哀そうな被害者よ。あまり羨む目で見るのはやめなさい尾室君」
 そういって彼の隣に立つ女性でこのメンバーの班長を務める小沢澄子はそうやって彼の観察をやめさせた。
 「す、すみません――」
 「強化人間、か……」
 科学者である彼女はそんな仮面ライダーへと体を改造された元一般人から出た善良な強化人間達を被害者という目をむけて同情していた。
 ニューヨークから来た帰国子女にしてIQ180という頭脳を持った天才科学者でもある彼女は、ISの開発者である篠ノ之束とは犬猿の同期であった。
 彼女はかつて機械として完璧を追求してしまった「G4」での反省を痛感し、人命と権利を重んじつつ今後のGシリーズの開発を続けている一方で、理性的な性質の彼女は宿敵である束の作ったISを酷く嫌っていた。
 結局は女性限定の兵器。しかし社会の構造は男性社会、しかしこういったミリタリー、兵器の世界では女性社会が構築されていく。それはこの世界のバランスを崩し、崩壊を呼ぶ意味を示していた。そこに付け入ってショッカーやバダンと呼ばれる組織が乱入して来たら――これ以上は恐ろしくて考えたくもない。
 そんな車内の間に彼女の元へ一通の連絡が飛び込んだ。
 「――なんですって?」
 一瞬驚くも、すぐに冷静沈着な姿勢に戻ると、そのまま無線を手にとって外の雷羽達へ緊急の報告を伝えた。
 「氷川君、滝警部と民間のライダー君たちも聞いているかしら?」
 無線を取って小沢は外にいる彼らに
 「たった今、例の怪人が自衛隊のIS部隊と遭遇するも突破して方角を此処ではなく新宿へ向かっているそうよ」
 「なっ!?」
 寄こしてきた果たし状の内容は全く違った。その展開に一条と氷川はGシステムのメット越しから驚くものの、一方のライダー姿の滝はこうなることを薄々予想していたのか、すぐさま警視庁から支給されたオフロードバイク「トライチェイサー2000A」に跨った。
 「新宿へ急ぐぞ!」
 滝はそう皆に呼びかける。
 雷羽と翔一はそれぞれのバイクへ、、氷川もG3X専用車両のガードチェイサーへ跨って、バイクに乗れない一条と弾はGトレーラーへ乗って移動することに。
 「くそっ! こういう時こそスカイライダーが居てくれりゃあなぁ――!!」
 かつての仲間の一人を口にする滝はバイクのスロットルを思いっきりふかしあげた。
  
 

 
後書き
次回
「LARGE再び」 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧