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ロックマンZXO~破壊神のロックマン~

作者:setuna
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第三十三話 少女達

パンドラを退けたエールはヴァンがいる場所へ向かう。

幸い、ヴァンが破壊したメカニロイドの残骸が目印となってくれたので迷うことなく進むことができ、遺跡の真上に位置する場所で何かが激しくぶつかり合う音がした。

そこではヴァンとプロメテが激しい戦闘を繰り広げており、ヴァンがアルティメットセイバーのチャージセイバーを繰り出すのと同時にプロメテも鎌を振るって衝撃波を繰り出す。

衝撃波同士がぶつかり合った反動で両者は吹き飛ばされるが、難なく体勢を整えた。

「ヴァン!モデルVが!!」

「エール…」

「ほう…モデルZXのロックマン…お前がここに来たと言うことはパンドラを退けたか…認めよう、お前も俺達の仲間だ小娘。お前もこのゲームに参加する資格がある。モデルOのロックマン…今回はここまでだ。」

「逃げるつもりか?」

鋭くプロメテを睨み付けるヴァンだが、プロメテは笑みを深めるだけだ。

「逃げる?そんなわけがないだろう。こんな狭い場所じゃ楽しめないからな…もっと広い場所で戦おうじゃないか…安心しろ、すぐにその機会が来る…絶望と怒りに満ちた良い舞台を用意してやる…楽しみに待っていろヴァン…!」

好戦的な笑みをヴァンに向けながら言い放ち、プロメテもパンドラ同様に転送の光に包まれて消えた。

すると向こうでセルパン・カンパニーの飛行艇が上昇していくのが見えた。

「くそっ!!」

それに気付いたヴァンがバスターショットを飛行艇に向けてチャージバスターを発射するが、距離が離れすぎていて届かない。

「あそこまで飛ばれたらモデルHXでも間に合わない…!」

モデルHXの速度を持ってしても最新鋭のセルパン・カンパニーの飛行艇の最高速度には敵わない。

徐々に見えなくなっていく飛行艇にヴァンとエールは悔しげに見ていたが、プレリーからの通信に我に返る。

「「プレリー?」」

『ヴァン!エール!今、セルパン・カンパニーの飛行艇が飛んでいったわ!』

「悪い、プロメテとパンドラに邪魔されたせいでモデルVの発掘を阻止出来なかった」

「飛行艇がどこに向かったのか…そっちで追跡出来る?」

『分かった。反応を追ってみるわ!ちょっと待ってて…!…こ…これは…!?』

「どうしたの!?」

ただ事ではなさそうな様子にエールが尋ねた。

『二人共、一度ガーディアンベースに戻ってきて…!』

「「…?」」

プレリーの様子に疑問符を浮かべるが、取り敢えず指示に従うことにして二人は近くのトランスサーバーを利用してガーディアンベースへと帰還した。

「ヴァン!」

「エール!」

「どうしたプレリー?」

「顔色が悪いよジルウェ?」

ブリッジに入ると、慌てた様子のプレリーとジルウェの様子に二人は目を見開く。

「モニターを見て二人共!」

「とうとう奴が…セルパンが動き出したんだ!!」

『繰り返す!全国民に告ぐ!!』

モニターから聞こえたセルパンの声にヴァンとエールの視線がモニターに向けられた。

『私の名はセルパン!!これよりロックマンによる人々の救済…プロジェクト・ヘブンを実行する!!究極のライブメタル・モデルVが間もなく復活する!!その時こそ新たな世界の幕開けとなる!!そして……モデルVの力で私は新世界の王となる!!』

「とうとう、この国の人達にまで本性を見せたか…」

「新世界の王…あんな奴が…ふざけないで!!」

セルパンの野望に怒りを覚える二人。

二人の後ろでモニターを見ていたプレリーとジルウェも表情を険しくする。

「あいつの好きにさせない…そうだよなエール?」

「ヴァン…ええ、セルパンはアタシ達が必ず止める!!」

『モデルVは進化を促す力だ!進化についていけぬ者はモデルVの糧となり私の力となる!進化についていけぬ者に生きる意味を与えてやろう!!お前達の怒りと恐怖…絶望が…負の感情がモデルVのエネルギーとなるのだ!!』

「プレリー様!エリアOの市街地にイレギュラーが大量発生しました!」

オペレーターからの言葉に全員の表情が緊迫したものになる。

「エリアO…近くだ…すぐに行ける!!」

「プレリー!アタシ達をエリアOに!!」

「分かったわ、私達ガーディアンも人々の救助とイレギュラーの侵攻を阻止するわ。あなた達はイレギュラーを指揮しているリーダーを倒して…ガーディアンベースをエリアOに向かわせて!!」

「「「了解!!」」」

プレリーの指示にオペレーター達は頷く。

「フォルスロイドは全て倒したから…あいつらだな」

ヴァンの脳裏にモデルVの遺跡で言い残したプロメテの言葉が脳裏を過ぎる。

“逃げる?そんなわけがないだろう。こんな狭い場所じゃ楽しめないからな…もっと広い場所で戦おうじゃないか…安心しろ、すぐにその機会が来る…絶望と怒りに満ちた良い舞台を用意してやる…楽しみに待っていろヴァン…!”

「そっか…プロメテの言っていたことはこれのことだったんだ…」

エールもプロメテの言葉を思い出したらしく、エリアOはプロメテの言う、自分達との戦いの舞台と言うことなのだろう。

「取り敢えず、今は休んで…落ち着かないかもしれないけど…少しでも疲れを取ってね」

プレリーの言葉に頷いてブリッジを後にするヴァンとエール。

「ヴァン!」

「サルディーヌか?」

「良かった…無事だったんだ…」

「ああ、心配かけてごめんな。それから最近相手にしてやれなくて悪かった」

自分に懐いてくれているサルディーヌの相手をしてやれないことにヴァンは申し訳ないと思っていた。

「良いよ、ヴァンが忙しいのは知ってるし…エールもお疲れ様」

「うん、ありがとうサルディーヌ」

ヴァンと一緒にいることが多いが、エールとも比較的会話するのでサルディーヌとエールの仲も悪くない。

「ヴァン、絶対セルパンをやっつけてね。この国を救えるのはヴァンとエールだけだから!」

「ああ、任せとけ」

「でも無理しちゃ駄目だからね!ヴァンに何かあったらプレリーお姉ちゃん悲しむんだから!!」

「…?そりゃあ、仲間だからな」

「………あんたそれ本気で言ってる?」

「違うのか?」

ジルウェと同じく色恋沙汰に疎いヴァン。

色気よりも食い気なヴァンに色恋沙汰はまだまだ難しいのだろうか?

「………まあ、プレリーもはっきりしないし…それにお兄さんのこともあるしねぇ…こればかりは時間かなぁ?」

「???」

一人で納得しているエールにヴァンはサルディーヌの相手をしながら疑問符を浮かべるしかなかった。

そしてしばらくの間、エリアOに向かう前にプレリーは地上部隊への指示を出していた。

「ふう…」

「プレリー様?」

プレリーの溜め息に気付いたオペレーターが振り返る。

「あ、ごめんなさい…つい…」

「良いんですよ。プレリー様…ここ最近あまり休んでいないじゃないですか…少し休まれては…」

プレリーはこのガーディアンベースの司令官なのだ。

レプリロイドなので多少の無理は平気と言ってもやはり限界が存在する。

もし倒れられたりしたらと思うとオペレーター達の不安も分かると言うものだ。

「平気よ、これから先…ヴァン達が私よりももっと危険な目に…」

「アタシ達のことを思うなら少しくらい休憩してよプレリー」

「え?」

振り返ると、ヴァンと共に退室したはずのエールの姿があった。

「それじゃあ、アタシはプレリーを休ませるからエリアOに着いたら教えてね」

「分かりました、プレリー様をお願いします」

「ちょ、ちょっとエール!?」

プレリーの自室に引っ張っていくエール。

逃げようにもロックマンの腕力に勝てるはずがなく、あっさりと自室に連行されてしまった。

「エール…」

「実はヴァンやジルウェには内緒で買ってたんだー。このフルーツタルト。今時珍しいフルーツてんこ盛り!」

「わー、美味しそう…そうじゃなくて…」

フルーツタルトを見て瞳を輝かせたプレリーだが、すぐに正気に返った。

「後少しで、最後の戦いだからさ…今のうちにプレリーと話しておきたいと思ったの」

「……………」

エールの言葉にプレリーは沈黙した。

エリアOに着けば大量のイレギュラーとの戦闘になり、そしてそれが終わればセルパンとの決戦だ。

無事に帰ってこれるか分からない危険なミッションである。

「ねえ、プレリー」

「あ…何?」

「最後の戦いの前にヴァンに何か言わなくていいの?プレリー…ヴァンのこと…好きなんでしょ?」

「………え?」

レプリロイドの高度な情報処理能力を持ってしてもエールの言葉を理解するのに時間がかかった。

「一応言っておくけどLIKEじゃなくてLOVEの方だからね」

それを聞いたプレリーの表情が真っ赤になる。

「あ、いや…その…」

「最初はプレリーのお兄さんの面影を見てたんだろうけど…今は違うでしょ?そうでなきゃ、初めての手料理とか振る舞おうとか思わないもんね」

今でこそ失敗して爆発する頻度は少なくなったが、最初は本当に酷かったものだ。

正直、自分の教え方が悪いのかとエールは自信喪失しかけたこともある。

それなのに諦めずに成功品を作り上げてご馳走し、そして時々手料理をご馳走してヴァンのことを度々気にかけている態度を見てエールは確信した。

プレリーはヴァンのことが好きになったのだと。

「その……」

「プレリー、余計なお節介かもしれないけどさ…伝えたいことがあったら言った方がいいよ。プレリーだって言ってたじゃない。“後悔だけはしないで”って…あいつさ、デリカシーがないけど良い奴よ。」

「………ヴァンのこと…だけど…」

「うん」

プレリーは細々と語り始めた。

「…最初はお兄ちゃんに姿がそっくりで複雑だったけど…彼と交流を重ねて、彼を知っていけばいくほど気になってた…優しくて鈍くて…凄く勇気のある人…」

「へえー…想像以上に夢中って感じ…言わないの?気持ち…」

「…………怖いの」

「怖い?フラれるかもしれないから?」

「それも…あるけど…もし、ヴァンがお兄ちゃんみたいに帰ってこなくなったら…」

「そっか…」

プレリーの“お兄ちゃん”は最後の…モデルVのオリジナルとの戦いで消息不明となった。

心から慕った存在が帰ってこなくなると言う辛さはエールには痛いほどに分かる。

下手をしたら自分だって母親と同じように…。

「アタシも、分かるよ。プレリーの気持ち…大事な人が帰ってこなくなるかもしれないって思うと…気持ちを伝えない方が良いかもしれないって思うかもしれない……下手をしたらジルウェも母さんと同じようになってたかもしれないからさ」

「え?」

「少し前にジルウェとね…あの時…ヴァンがアタシとジルウェの前に現れなかったら、モデルZをあの時に渡そうとしてたみたいなの」

「それって…」

あの時のジルウェはモデルZが変身を維持してくれなければ本当に危なかったのだ。

そんな状態でモデルZを託すと言うことは、もし少しでも運命が違っていればジルウェは死んでいたことになる。

「アタシさ…この戦いが終わったら…ジルウェに気持ちを伝えたいと思うんだ。」

「エール…」

「子供扱いされて終わりになるかもしれないけど、だったら振り向いてもらえるように努力して攻めて攻めまくる!アタシ…何もしないで後悔したくないからさ…」

「……強いのね」

「そんなことないよ…プレリー…あの時言ってくれたプレリーの言葉を返すよ…“後悔だけはしないで”ね」

「…………ええ、エール……今更かもしれないけど、私達とジルウェさんがあなたとヴァンを監視していたことを黙っていてごめんなさい…でも…何もみんなであなた達を騙そうとしていたわけじゃないの。ジルウェさんは報告の時、いつもあなたのことを楽しそうに話していたわ。きっと…ジルウェさんもあなたのことを…」

「そう…かな…そうだといいな…大丈夫、アタシは誰も恨んだりなんかしてないよ。だってアタシはみんなのおかげで誰かを守るために戦うことが出来るんだから…きっとヴァンも同じ気持ちだと思う…きっと、ヴァンもプレリーのことを気にしてると思う…あいつ、アタシとプレリーとじゃかなり扱いが違うんだよ?プレリーのことあいつなりに女の子として扱ってる感じ…だからプレリーも頑張って…あいつは自分を信じてくれる人を裏切らないから」

「………」

それでもプレリーの表情は晴れない。

もしヴァンが“お兄ちゃん”のようにミッションから帰ってこなくなったらと思うと…。

それに気付いたエールが口を開いた。

「アタシはさ、プレリーのお兄さんのことは良く知らないけどさ…モデルZのオリジナルになったんだから凄く優しい人なのは分かるよ…そんな人がプレリーのお姉さんを悲しませたいなんて思うわけない…プレリーのお兄さんも帰るつもりだったんだよ。プレリーのお姉さんの所に……凄いよね…プレリーのお兄さん…自分が死ぬかもしれないのに自分が信じるもののために戦い続けたなんて…そしてプレリーのお姉さんもきっとその人を信じ続けていた…プレリーは二人の妹なんでしょ?だったらヴァンを信じてあげて…」

「…………」

「……さて、食べよ?甘い物を食べれば元気出るから」

「ええ…ありがとう…エール…私、勇気を出してみるわ」

微笑むプレリーの言葉にエールはタルトを頬張りながら微笑んだ。

「大丈夫!プレリーは可愛いからきっと上手く行くって!」

「ありがとう、エールも頑張って…気持ち…伝わるといいわね」

エリアOに着くまでの間、二人は親睦を深めた。

最後の戦いまで、後僅か…。 
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